Image: mentalmind / Shutterstock
日本のリサイクル率を知っているだろうか。環境省がまとめた統計によると約19.6%。世界各国、中でもEU諸国に比べるとその数値は半分以下にも満たない。一向にリサイクルが進まない理由は多々あるが、中でも施設の老朽化や労働人口の減少は大きな課題だ。今回の記事では、日本企業とも提携している米国発のAMP Roboticsの創業者であるMatanya Horowitz氏にリサイクル業界の問題点と、同社のソリューションについて話を聞いた。

AIとロボティクス技術を活用し、リサイクル業界の問題を解決

――まずAMP Roboticsの提供するサービスについて教えてもらえますか。

 AMP Roboticsでは、AIとロボティクス技術を活用して、リサイクル業界に立ちはだかる問題を解決しようとしています。

 多くの人々が、「本当にこの金属やプラスチックは再利用されるのか」とリサイクルビジネスに対して懐疑的です。

Matanya Horowitz
AMP Robotics
Founder
コロラド大学ボルダー校でコンピューター科学の学士号を修得したのち、ロボティクス技術の研究に携わる。カリフォルニア工科大学でPhDを修得し卒業後、2014年にAMP Roboticsを創業。

 業界の問題点は、これらの素材を仕分けするのに多額の人件費がかかり、コストが高い点です。AIを使えば、これらの素材を認識し、自動で仕分けするよう機械に教え込むことができます。私たちにはその技術があるので、工業用ロボットが自動で仕分けを行うことができます。

Image: AMP Robotics

――起業のきっかけは何でしたか。

 私はもともとロボティクス技術の研究をしていました。2013年ごろ、ロボティクス業界はAIのおかげで大きく成長しました。中でもディープラーニングが応用の幅を広げました。これらの自律型の技術は、ドローンなどに応用されていますが、私はこの新しい技術に出会い、非常に感動しました。

 AIをどんなことに使えるかと考えたときに、リサイクル施設等を訪れて現場の課題を目の当たりにしました。特にリサイクル業界の経験はなかったのですが、ロボティクスが画期的な解決策になるだろうと感じたのです。

コロナ禍で人材雇用が難しくなり、ロボットの導入が進んだ

――創業から現在までの道のりはどうでしたか。また、将来どのようにリサイクル業界が変わると思いますか。

 私たちの場合、ロボット自体はすぐに作れましたが、大型の機械として現場に設置可能となるまでは、数年ほどかかりました。

 また、クライアントが一度私たちと提携し、その後も継続して受注してもらえると、自分たちは正しいことをしているんだという認識を持つことができました。したがって、私たちはとにかくリサイクルパフォーマンスを上げ、なるべく多くのロボットを販売することに注力しました。

AMP Robotics社のロボットが自動でゴミの仕分けを行う Image: AMP Robotics HP

 2020年は、人材雇用がより困難な年でしたので、私たちの事業は成長しました。1回トライアルを行った企業が、その後一度に5〜6種類のロボットを注文するということもありました。ロボット技術が業界で大幅に採用されている指標にもなりましたし、私たちもたくさんの企業を支援することができました。

 今後は、既存の施設をアップグレードすることに集中します。AIの柔軟性も、今はまだ素材のみで仕分けできますが、将来的にはブランド別の原料や用途別など、一層高度な仕分けも可能になるでしょう。

少子高齢化の日本は、ロボットニーズがある

――日本企業とも協働しているようですね。

 私たちのクライアントの多くは、公共機関であったり、小規模事業者のリサイクル施設です。私たちは施設設計を助け、どの作業をロボットで置き換えられるかを一緒に考えます。

 日本の場合、数年前から事業提携が始まり、リョーシン社の方から連絡をいただきました。その後、私たちのオファーできるサービスを説明し、リョーシン社と交渉を行いました。その際に日本では、米国同様にリサイクルに関して問題点が多いことが判明しました。

 また、少子高齢化という社会構造もあり、人材雇用に苦労している現実も知りました。そこでロボットに置き換えるニーズが強いことが分かり提携に至りました。最初は小規模なロボットシステムを導入し、その後より大きな機械に移行しました。

――これまでに御社は約75億円程度の資金調達を行いました。調達した資金の使途とこれからの目標は何でしょうか。

 チームは非常に早く成長しています。より組織を強固にするためにも、従業員を増やす予定です。日本にもパートナーがいますが、ヨーロッパでも劇的に成長していますので、国際展開についても資金を充てる予定です。

 私たちのミッションは、リサイクルのコストを減らし、原料から抽出できる利益を増やすことです。海に漂うプラスチックゴミや、温室効果ガスなどの環境問題をリサイクルを行うことでポジティブな影響を与えることができます。

――最後に日本の読者に向けてメッセージをお願いします。

 リサイクル業界は変革の時を迎えています。リサイクルされる原料には価値があります。そして、提携に興味ある方には、リサイクルから、電子ゴミや有機選別などAIの可能性の幅と応用域の広さも伝えたいですね。



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