スタートアップの世界では、かつて「希少な存在」とされたユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)を超え、さらに巨大なスケールを誇る企業が次々と登場しています。それが、デカコーン(100億ドル以上)やヘクトコーン(1,000億ドル以上)と呼ばれるスタートアップです。

SpaceXやByteDance、OpenAIといった企業は、グローバル市場を舞台に革新的なテクノロジーとビジネスモデルで急成長し、既存産業にも大きな影響を与えています。

本記事では、デカコーン・ヘクトコーン企業の定義やユニコーンとの違い、世界の代表的事例、日本の現状、そしてその成長を支える要因をわかりやすく解説し、大企業や新規事業担当者にとっての示唆を紹介します。

目次
デカコーン・ヘクトコーン企業とは
ユニコーン企業との違い
世界のヘクトコーン企業たち
デカコーン企業は日本に存在する?
デカコーン企業への成長を支える要因
新規事業担当者への示唆
まとめ

デカコーン・ヘクトコーン企業とは

スタートアップの成長段階を示す用語として、ユニコーン企業(企業評価額10億ドル以上の未上場企業)が広く使われています。これをさらに上回る巨大スタートアップを表す言葉が次の2つです。

・デカコーン(Decacorn)企業:評価額が 100億ドル(約1.5兆円)以上 の未上場企業
・ヘクトコーン(Hectocorn)企業:評価額が 1,000億ドル(約15兆円)以上 の未上場企業

デカ(Deca)はギリシャ語で10、ヘクト(Hecto)は100を意味し、スタートアップの成長規模を直感的に表しています。

ユニコーン企業との違い

ユニコーン、デカコーン、ヘクトコーンはすべて未上場企業を対象とした呼称ですが、その規模と影響力に明確な差があります。

区分 評価額 代表例
ユニコーン 10億ドル以上 Stripe、Airbnb(上場前)など
デカコーン 100億ドル以上 SpaceX、Bytedance、Shein
ヘクトコーン 1,000億ドル以上 OpenAI(2024年時点で推定)、かつてのByteDanceの一部評価など

デカコーン以上になると、単なるスタートアップではなく、既存産業と並ぶ経済的影響力を持つ存在となります。

世界のヘクトコーン企業たち

世界のヘクトコーン企業はこちら

SpaceX(米国)
民間宇宙輸送のパイオニアとして、ロケットの再利用技術を確立し、宇宙輸送のコストを大幅に削減しました。商業宇宙開発と通信インフラの両面で、世界的な影響力を持つ企業です。

ByteDance(中国)
動画共有アプリTikTokの成功で世界的なユーザー基盤を獲得し、広告収益を爆発的に伸ばしました。ソーシャルメディアとコンテンツプラットフォームの構造を変革。データ活用とAIによるレコメンドアルゴリズムの先進性が成長を支えています。

OpenAI(米国)
生成AIのリーダーとして、ChatGPTやDALL·Eなどのプロダクトを通じて新たな市場を創出。AIの急速な普及を牽引し、教育・業務効率化・創造産業における革新を加速しています。

Anthropic(アンソロピック/米国):
AIの安全性と透明性に重点を置く次世代スタートアップで、Claudeシリーズを展開。クラウド企業や大手IT企業からの巨額投資を受け、AI倫理と実用性の両立を追求しています。

xAI(米国)
イーロン・マスク氏が創設したAI企業で、AI研究をより「真実に基づく」形で進めることを掲げています。Grokなどの製品を展開し、X(旧Twitter)との連携を通じたプラットフォーム型の成長を模索中。

デカコーン企業は日本に存在する?

日本では、まだデカコーン級の未上場スタートアップは誕生していませんが、近年はユニコーンが増加しつつあります。。背景には以下のような課題と可能性があります。

・海外に比べリスクマネーの供給が限定的
・海外市場でスケールするスタートアップの少なさ
・近年の官民連携によるスタートアップ育成政策で環境改善が進行中

デカコーン企業への成長を支える要因

デカコーンやヘクトコーンが生まれる背景には、次のような要因があります。

・巨大かつグローバルな市場をターゲットにする発想
・プラットフォーム型やAI活用など、スケーラビリティの高いビジネスモデル
・CVCやメガファンドによる数十億〜数百億ドル規模の投資
・アクセラレーターやエコシステムによる支援体制の成熟

新規事業担当者への示唆

大企業の新規事業担当者にとっても、デカコーンやヘクトコーンの成長ストーリーには次のような学びがあります。

・世界規模の課題解決を起点にビジネスを考える重要性
・初期段階からスケーラビリティを前提に設計する発想
・資金・人材・パートナーの獲得におけるグローバル連携の必要性

こうした視点は、大企業の新規事業でも将来の成長を加速する上で不可欠です。

まとめ

デカコーンやヘクトコーンは、ユニコーンを超える規模と影響力を持つ未上場企業を指し、グローバルに急成長する新産業の象徴です。その背後には、大規模市場への挑戦、革新的なビジネスモデル、強力な資金調達力があります。スタートアップの成長段階を理解することで、大企業もより戦略的に連携や投資を考えられるようになります。



RELATED ARTICLES
シリコンバレー在住・出張者必見、10月のおすすめイベント5選
シリコンバレー在住・出張者必見、10月のおすすめイベント5選
シリコンバレー在住・出張者必見、10月のおすすめイベント5選の詳細を見る
シリコンバレー在住・出張者必見、9月のおすすめイベント5選
シリコンバレー在住・出張者必見、9月のおすすめイベント5選
シリコンバレー在住・出張者必見、9月のおすすめイベント5選の詳細を見る
エンジェル投資家とは?|ゼロから始める新規事業開発 #13
エンジェル投資家とは?|ゼロから始める新規事業開発 #13
エンジェル投資家とは?|ゼロから始める新規事業開発 #13の詳細を見る
ベンチャーキャピタルとは?|ゼロから始める新規事業開発 #12
ベンチャーキャピタルとは?|ゼロから始める新規事業開発 #12
ベンチャーキャピタルとは?|ゼロから始める新規事業開発 #12の詳細を見る
資金調達ラウンドとは?|ゼロから始める新規事業開発 #11
資金調達ラウンドとは?|ゼロから始める新規事業開発 #11
資金調達ラウンドとは?|ゼロから始める新規事業開発 #11の詳細を見る
ユニコーン企業とは?|ゼロから始める新規事業開発 #09
ユニコーン企業とは?|ゼロから始める新規事業開発 #09
ユニコーン企業とは?|ゼロから始める新規事業開発 #09の詳細を見る

NEWSLETTER

TECHBLITZの情報を逃さずチェック!
ニュースレター登録で
「イノベーション創出のための本質的思考・戦略論・実践論」
を今すぐ入手!

Follow

探すのは、
日本のスタートアップだけじゃない
成長産業に特化した調査プラットフォーム
BLITZ Portal

Copyright © 2025 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.