2012年に設立され「Force Touch」と呼ばれる感圧タッチ技術を持つNextInput。現在急速に成長するセンシング業界で新たな風を吹かせている。今回は30年のシステムデザイナー経験を持つCEO、Ali Foughi氏にインタビューした。

(2021年にQorvoが買収。2023年6月追記)

Ali Foughi
NextImput
CEO
マサチューセッツ州ウースター工科大学卒。システムデザイナーとして30年のキャリアを持つ。LTX-Credence、Maxim、TDK Inven Senseで勤務したのち、NextInputを共同創業し2015年CEOに就任。

広い用途を持つ感圧タッチ技術

―NextInputはどのようにして作られたのですか?

 次世代のHMI(Human Machine Interface)を革新し、フォース・センシング技術を使って市場に介入するという考えからです。Force Touchを市場に投入するための最善の技術はMEMSだと考えています。そのため、当社はソフトウェア技術と機械的IPを組み合わせたMEMSベースのセンサーに焦点を当て、トータルソリューションを実現しています。

―Force Touchとよばれる技術について教えてください。

 当社は、進化し続ける革新的なHMIに焦点を当てたForce Touch技術のリーダーです。そのHMIは、人と携帯電話、その他のモバイル端末の間に入ることができ、自動車、工業、IoTの分野にも応用することができます。片方に人がいて、もう片方に機械があれば、その接点を進めていきます。当社は1次元、2次元、3次元の「タッチ」に注目しています。

 Force Touchは力のレベルを感知する力センサーから構成され、線形化と三角測量のためのソフトウェアアルゴリズムと力伝達に必要な機械的IPがあります。指の位置を知るには、三角測量が必要です。そして、画面全体にわたって正確な力レベルを測定するには、この入力デバイス、ガラス、およびこれが構築される方法がスクリーン全体で線形ではないので、線形化する必要があります。アルゴリズムは、三角測量と線形化に必要です。

―この技術の使用例を挙げてください。

 たとえば、iPhoneには画面にForce Touchが使用されています。これからはホームボタンやサイドボタンをなくして、側面にボタンがないスマートフォンが数多く出てきます。ボタンとしてスイッチはすべて、Force Touchに置き換えることができます。そうすることによって、防塵、防水になり、見栄えもはるかに良くなります。

 この技術では、力のレベルを設定することができます。軽く触れた場合は何も作動させず、30グラムか50グラムの力を加えると、何かを作動させるということが可能です。それによって、誤作動を防ぎ、作動させたいときにのみ作動します。手袋をしていても指が濡れていても使うこともできます。中心部はシリコンなので、1.5メートルから落としても、6メートルほど投げても大丈夫な信頼性の非常に高いつくりになっています。

 ガラス、金属、革、木、どんな素材どんな形でも使えます。どこに置いても大丈夫です。温度変化にも非常に優れ、一言で言えば、頑強で、シリコンの信頼性があり、温度性能が良く、非常に小さく、リーズナブルで経済的な価格に設定してあります。

モバイル、自動車、産業応用の3つの市場

―どんな顧客がいますか?

 モバイル、そして自動車と産業応用の3つの市場があります。

 当社はモバイルの市場で牽引力を発揮してきました。デザイン賞を受賞したこともあり、これから大量の出荷を予定しています。そして、自動車での用途は数年後ですが、まずは、モバイルと自動車に焦点を当て、数ヶ月後にはIoTやその他にも進出していこうと思っています。

―市場の成長について教えてください。

 センサーは急速に成長している分野です。自動車産業、IoTデバイスのスマートフォンでのセンサー活用は、二桁の大幅な成長率を記録しています。スマートフォンや自動車の車内がより快適なものになってほしいという需要があるからです。

 当社の市場はモバイルと自動車だけで50億円から100億円ほどであると予想しています。産業用IoTの市場を追加すると、100億円規模に近づき、今後2、3年でその市場に対応していくことになります。

―日本進出について教えてください。

 日本のパートナーは品質に厳しい傾向にあり、ベンダーの品質向上に役立ちます。過去15年間の私の経験で、品質要件を理解しています。

 日本に事務所を設立し、日本の顧客にも提供していくつもりです。日本は素晴らしいゲーム機器、モバイル端末、自動車、産業機械を作っています。IoTロボットは大きな取引先になりえます。電球を交換するのに必要な、持つには十分で、それでいて電球を割らない指の力加減の技術を持っているからです。

―この会社の今後のビジョンは?

 世界最高のフォース・センシング・ソリューション企業を築き上げること、それが当社のビジョンです。

 革新的に、速く動いていきたいと思っています。当社にとって10年は一生です。目標は、その一生をほんのわずかな時間と考え取り組むことです。今後数ヶ月で市場に出ることになります。今後3年ほどで、フォース・センシング業界で主要な企業となることを目指しています。



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