Image: CodeSignal
CodeSignalは、スキルベースで評価を行うエンジニア採用プラットフォームを開発・提供している。リモート採用の需要が拡大する中、2020年は売上が4倍に成長し、同年12月のシリーズBラウンドで2500万ドルを調達し、事業展開を加速させている。「優秀な人材の発掘とチャンスの提供」を第一のミッションとする同社のCEO & Co-FounderであるTigran Sloyan氏に話を聞いた。

能力・スキルのあるエンジニアが見落とされている

――まずCodeSignal設立の経緯を教えてもらえますか?

 私は、マサチューセッツ工科大学で数学とコンピューターサイエンス、そして経済学も学び、卒業後はGoogleやOracleなどの大企業で働きました。当社の共同創設者の1人は、私よりも優秀なエンジニアですが、有名大学の出身者ではありません。そのため、彼がエンジニアとして就職先を探してキャリアを築くのは非常に難しかったのです。

 今は、世界のどこにいても無料で学ぶことができ、エンジニアの知識教育やスキル教育は民主化されています。しかし、学歴の格差がキャリア形成の格差につながり、スキルや能力が正当に評価されていません。実際はスキルを持った優秀な人材も、学歴や職歴重視で採用を行う企業からは見落とされています。私は、こうした問題を解決するためにCodeSignalを設立したのです。

 才能を持っている優秀な人材は、人類にとって貴重な資源です。パンデミックから地球温暖化まで、問題を解決しているのは才能ある優秀な人材です。才能が埋もれている問題を解決することは、世界的な問題の解決にもつながると考えています。

Tigran Sloyan
CodeSignal
CEO & Co-Founder
マサチューセッツ工科大学(MIT)で数学とコンピューターサイエンスの学位を取得。OracleでApplications Engineerを務めた後、アルメニア共和国でローカルビジネスのレビューサイトを設立しCTOを務めた。その後、Bay AreaのスタートアップのCTOや、GoogleでPartner Technology Managerを務め、2015年にCodeSignalを共同で創業しCEOに就任。

「技術力」を評価。採用にかける手間・コスト・時間も削減

――御社はスキルベースで評価できるエンジニア採用プラットフォームを提供しています。どんな特徴があるのでしょうか。

 当社の製品の主な特徴は、技術評価を中心にしていることです。様々な種類と経験値のエンジニアの評価に対応する、標準化された評価テスト機能や、遠隔で技術面接を行うための機能を複数備えています。

Image: CodeSignal エンジニアの技術力を数値化して評価できる。

 遠隔技術面接ソリューションには、高解像度のビデオ通話、双方で編集できるホワイトボード機能や、実際のコーディング環境でコードを書いて行うユニットテストなどにおいて、面接官をアシストする自動評価機能があります。

 エンジニア職には、非常に多くの応募が集まります。特に大企業では、1〜2日の間に数千人が応募してきます。当社の評価テストは、応募前の事前評価にも使用でき、応募者の選定プロセスにかかる手間と時間を削減し、レジュメからバイアスを持つことなく、優秀な候補者を選定できます。

売上が前年比で4倍成長。アジア市場にも期待

――ビジネスモデルを教えていただけますか?

 例えば、評価を行った回数で利用料を請求すると、企業は経費削減のためにレジュメフィルターをかけた人材のみに評価を行うなど、対象を限定してしまうかもしれません。それでは、誰もが自分の能力を発揮できるチャンスが与えられる“レジュメを超えた採用”、という私たちのミッションに反しますので、無制限で利用できるビジネスモデルをとっています。

 価格は、小規模な組織で年間1万ドル程度、大規模な組織ですと年間100万ドル近くになることもあります。採用候補者の評価や管理に費やす時間を考えれば、費用対効果は高いと考えています。2020年の売上は前年比で4倍に成長しています。

――CodeSignalを使っている日本企業がいるそうですね。今後の目標として海外展開も視野に入っていますか?

 そうですね。CodeSignalを使っていただいているのは、グローバルな多国籍企業の日本法人で、米国本社が当社の直接の顧客で日本でも使い始めたという流れが多いです。

 コーディングは非常に国際的な言語ではありますが、日本などの海外市場では言葉の壁がありますし、日本市場で事業を展開するのであれば、日本の文化や採用プロセスをもっと理解する必要があります。

 ただし、日本を始めとするアジアの国々では、欧米よりもかなり速いペースでソフトウェア市場が成長していますし、ソフトウェアエンジニアの求人が増えていますので強い“引力”を感じています。



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