Zinierは、フィールドサービスオペレーションをデジタル化し、AIと自動化にフォーカスしたプラットフォームを提供している。今回はVP of MarketingのNelson Haung氏に話を聞いた。

フィールドサービスに特化した、他にない独自プラットフォーム

―まずZinierの事業について教えてください。

 当社は、フィールドサービスを担うエンジニアや技術者などから成る大規模チームにフォーカスした、オペレーションプラットフォームを提供しています。今までは、テレコム業界や類似ユースケースに特化してきましたが、石油やガス、再生可能エネルギーなどのエネルギーセクターも対象に事業の幅を広げているところです。

 例えば、エレベーターはメーカーが納品した後、メンテンナンス会社がメンテナンスを行います。同様に、通信インフラでも、サービスの販売元であるテレコム企業が、サービス提供に必要なインフラを所有またはリースし用意します。テレコム企業の社員がフィールドサービスまで担っている場合もありますが、多くは委託業者がインフラの運用、メンテナンスや修理などのフィールドサービスを担っています。私たちが日々依存している通信インフラは、様々な請負業者から成る巨大なエコシステムが維持しているのです。当社のプラットフォームは、この巨大なエコシステム全てをターゲットにしています。

Nelson Haung
Zinier
VP of Marketing
2007年University of California、Davis校、電気工学で学士号取得。AT&TでDesign Engineer、BrocadeにてSales Engineerを務める。その後、2013年University of WashingtonにてMBA取得。SalesforceにてDirector of Product Marketingを務めたのち、2018年8月にZinierのVP of Marketingに就任。

―エコシステム全体を対象に、フィールドとバックオフィスを繋ぐプラットフォームということですね。製品について教えてください。

 そうですね。フィールドのエンジニアとバックオフィスのスーパーバイザーやコーディネーターがユーザーになります。テレコム企業の業務委託者がフィールドで提供するサービスも、テレコム企業のブランドを背負っているわけですから、テレコム企業としては末端の作業員まで管理する必要があります。また、業務委託者が下請けを使う場合がありますので、そこでも管理が必要になります。

 Zinierは、柔軟なプラットフォームの上に、顧客が自ら個別にカスタマイズできるField Service Elementsや、新製品のISAC(Intelligent Service Automation and Control)を構築しています。プラットフォームに作ったワークフローは、ユーザー自身が逐次変更可能で、変更はすぐに反映されます。まだ開発段階にありますが、ドラッグ・アンド・ドロップでの操作など、ユーザビリティの改善を継続的に行っています。

 ISACはAIを使い、例えばエンジニアのスキル、作業に必要な資格、現在地から現場までの距離、過去の対応履歴データなどを基に適任者を選定し、バックオフィスのコーディネーターに情報を提供します。コーディネーターはそれを基にエンジニアをアサインし、同時に、エンジニアたちのスケジュール管理も行えます。他にも、メンテナンスの予測などでも活用でき、顧客のニーズに応じて活用方法を最適化できます。

 フィールドにいるエンジニアは、iOSとAndroidに対応したスマートフォン用のアプリを使い、作業内容を確認します。過去のデータを元にした、最も効率的な作業手順をアプリを通じステップ・バイ・ステップで展開し、エンジニアはそれに従い作業を行います。そしてエンジニアは、作業が完了するとアプリから完了報告を行います。バックオフィスは、作業状況などの情報を現場からリアルタイムに入手でき、それらはダッシュボードで可視化されます。

 当社は、強みをフィールドサービスに持たない大企業のビジネスユニットとは違います。フィールドサービスに特化したコアテクノロジープラットフォームをゼロから開発し、オペレーションをエンドツーエンドでカバーする、業界内唯一の存在です。

製品ロンチから1年半で7カ国に拠点

―海外戦略、特に日本への進出について聞かせてください。

 当社は、米国に本社があり、既にメキシコを起点に南アメリカと、シンガポールを拠点に東南アジア、そして、インドやオーストラリアなどのアジア・パシフィックに進出しています。アジアにおいては東南アジアに特に注力し、そこからさらなる事業拡大を目指すことになるでしょう。ただし、今年はヨーロッパへの進出が目標です。

 海外進出も重要ですが、それ以前に、既存製品の改善、ツールの開発や、新しいアプリや製品の開発、5G対応など課題は山積みです。



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