Image: ZeroAvia
航空業界にゼロエミッション・パワートレインでの燃料を提供目指しているZeroAvia。持続可能な燃料を模索し、水素燃料電池に着目した。今回はCo-founder & CEOのValery Miftakhov氏に話を聞いた。

化石燃料に頼らない航空機を目標に

―まずご自身の経歴とZeroAvia設立の経緯を教えてください。

 私はロシア出身で、20年前にアメリカへきました。PhDを取得し、McKeinsey and Company、Googleで働き、その後、eMotorWerksという電気自動車向けの分散型バッテリー管理プラットフォームを開発するスタートアップを立ち上げました。

 そして、私たちは送電網からバッテリーへのエネルギーフローを管理するハードウェアとソフトウェア両方を持つプラットフォームを開発し、送電網運用者や再生可能電気の供給者などに提供しました。2017年の終わりに会社が買収され、その頃にZeroAviaのアイディアが浮かんだのです。それは、航空機産業の脱炭素化でした。私たちはまず、航空機産業のバリューチェーンから外れたパワートレイン部品にフォーカスしました。その分野で活躍している航空機製造業者は数多く存在していましたが、燃料の種類や有益な推進力への燃料の転換が問題でした。

 そこで、私たちはパワートレイン会社としてZeroAviaを立ち上げ、水素の燃料電池が一番のアプローチだ、という結論に達しました。私自身もヘリコプターなどを飛行するパイロットで、「Sustainable Transportation(持続可能的な交通)」へ私の情熱を向けたのはごく自然なことでした。

Valery Miftakhov
ZeroAvia
Co-founder & CEO
ロシアで物理学を学び、アメリカで素粒子物理学の博士号を取得。McKinsey and Company、Google勤務でビジネスエコシステム、インキュベーション活動などを経験した後、Electric Motor Worksを立ち上げる。2018年ZeroAviaを設立し、CEOに就任。自身もパイロットとしてヘリコプターなどを操縦している。
 

―具体的にはどんなプロダクトを開発しているのでしょうか。

 化石燃料エンジンの代替品が私たちの製品です。私たちはオペレーターや航空会社と共に仕事をし、航空機製造業者へ私たちのエンジンを利用してもらえるように働きかけています。私たちが開発したパワートレインは燃料貯蔵、水素燃料電池システム、配電、電力変換、モーターの機能を有しています。いくつかの外部部品を統合するため、複数のパートナーとも協力しましたが、コントロールシステムやエンジンマネジメントソフトウェアなど、ほとんどを自社で開発しました。

 私たちの技術を利用した20フィート(席数にして19席ほど)の航空機の商業運用を3年後に開始することを目標としています。このような航空機は世界中で2000から3000機ほどあり、ほとんどが短距離運行用です。私たちは500マイルの運行を最大とした、完全ゼロエミッション水素電気航空機を3年後には商業運用したいと思っています。

業界のパイオニア的存在に

―ビジネスモデルを教えてください。

 私たちは航空業界では比較的よくある、運用者がリース会社に時間毎の料金を支払うモデルを採用しています。時間毎の料金の提供によって、今まで化石燃料のエンジンで運用してきた時よりも運用コストを削減することができます。テクノロジーによって環境に優しいものを選択できるのですが、高額なのが一般的です。しかし、低料金で環境に優しいものを選択することができるので、技術や運用の拡張性もこれまでよりずっと早くに進められると考えています。

―会社の強みや競合他社との違いはどのような点でしょうか。

 実際のところ、500マイルを飛行する20席ほどの航空機部門では競合はいないと思います。私たちがターゲットとする短距離、小型機のバッテリー電気会社は何社か存在しますが、その市場は比較的小規模です。実際の商用への応用は、長距離向けの大型機から始まるのではないかと予測しています。世界には技術的な競合が2、3社と研究機関がありますが、これらはビジネスでの取り組みは行っていないと考えています。航空業界を広く見わたせば、もちろんドローンなどのを開発している企業もありますが、私たちのターゲットとは市場が異なるので直接的な競合会社とまではいきません。

 これから競合が台頭してくる可能性は十分にあると思いますが、我々はこの分野で最初に水素電気航空機を商業化すると確信しています。

より大型かつ長距離飛行への挑戦

―御社ではロンドン、イスラエルにオフィスを構え、ノルウェーでもビジネスを展開していますね。国際的なビジネスという観点での考えを聞かせてください。

 航空業界という性質上、ビジネスの海外展開は必須となりますね。エンジン製造者、機体の製造者は世界を相手に販売をしていますので、規制環境に関する課題は比較的少ないかと思います。多かれ少なかれ、規制環境は世界で統一されています。実際の運営は、分散したチームが必要となりますが、イギリス・ロンドンにあるセンターでは、研究開発が行われています。また、カリフォルニア、イギリスの2拠点に優秀なチームを立ち上げ、最近ではイギリスの政府機関Department of Business, Energy and Industrial Strategy(BEIS)、Aerospace Technology Institute(ATI)そしてInnovate UKから助成金を受け、水素電気パワートレインでの300マイル飛行デモンストレーションに活用することを発表しました。

―将来的に日本での事業拡大を検討した場合、どのようなパートナーを求めていますか。

 日本は水素を様々な用途に応用することに関心を示しています。水素電気航空機の製造や日本市場への参入に向け、日本政府のサポートを受けられればと思います。燃料電池の技術を持っている大規模な自動車会社、OEMなどとの業務提携にもとても興味があります。日本ではまだビジネスを展開していませんし、アジアという意味でも同じです。アジアのオペレーションセンターとして日本で仕事ができれば、面白くなるでしょうね。

―最後に中・長期のビジョンをお聞かせください。

 長期のビジョンとしては、航空市場全体における駆動が水素ベースに移行するのではないかと考えています。水素を扱う側は、パワートレインをベースとした燃料電池が恐らく市場の大部分を占めるでしょう。会社としての長期目標は、革新的なパワートレインを構築し、より大型の航空機に電力を供給し、長距離飛行を実現することです。中期の目標は2023年に初の製品を発表後、3~4年以内に100フィートまでの大型の航空機にパワートレインを導入することです。



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