2011年に設立されたWalkMeは、ウェブシステムのユーザーエクスペリエンス改善ツールを提供するスタートアップ。同社はユーザーエクスペリエンス改善ツールのパイオニアであり、フォーチュン500企業のうち40%が同社の顧客であるという。これまでに2億1750万ドルを調達し、時価総額10億ドルを超えるユニコーンでもある。今回はPresidentのRephael Sweary 氏にインタビューした。

Rephael Sweary
WalkMe
President
マネージメント・アカデミック・スタディーズ大学で経済学について学んだあと、バルティモア大学でMBAを取得。Jetro PlatformsのCEOや起業家を経て、2011年にWalkMeのPresidentに就任。

多くのユーザーはテクノロジーを使いこなせていない

―まずは御社のサービス内容から教えてください。

 WalkMeは、いわゆるデジタル・アダプション・プラットフォームです。今、多くの企業が顧客や従業員向けのソフトウェアを開発し、正確性と効率性を維持するために多額の投資をしています。しかし、残念ながらせっかくのテクノロジーをユーザーが使いこなせておらず、せっかくのテクノロジーを生かし切れていないのが現状です。WalkMeは、ユーザーをサポートし、こうしたテクノロジーとユーザー間のギャップを埋めることで、サポート業務を軽減し、生産性と予見性を向上させます。

―サービス内容について、具体的に説明してもらえますか?

 当社のサービスは大きく4つに分かれています。まず1つ目が、ガイダンスです。WalkMeはユーザーの作業をリアルタイムでサポートします。たとえば、銀行のプラットフォーム上で自動送金手続きする際、「ここをクリック」といった指示を画面上で直接、吹き出し型のポップアップなどで提示します。ユーザーがそこをクリックすると、また次の手順を指示します。カーナビをイメージしていただければわかりやすいかと思います。あれは、行き先さえ入力すれば、世界中のどこにいても次の動作をわかりやすく教えてくれますよね。あんな感じで、我々のツールを使っていただくと、どんなソフトウェアやウェブサイトでも、簡単に使えるようになるのです。

 次に、エンゲージメントです。カーナビは道を間違えると、正しい道への戻り方を自動で教えてくれますが、通常のソフトウェアにそういった機能はないので、ユーザー自身がサポートデスクなどに問い合わせないといけません。それどころか、自分が操作を間違えたことに気づかないこともあります。そこでWalkMeでは、誤った操作を指摘し、自動で正しい手順のガイダンスを開始します。

 3つ目が機械学習による分析です。お客様のソフトウェアやアプリケーションの使用データを収集し、ユーザーが抱える問題やガイダンスを入れるべき箇所、異なるプロセスでのエラー発生率などを分析します。その内容に基づき、適切なガイダンスやエンゲージメントのメカニズムを構築していきます。

 最後に、ソフトウェアやウェブサイト、アプリケーションを利用中、ユーザーは何度も「エンプティクリック」、つまりただ単にある場所から次の場所へと移るためだけの、中身のないクリックを繰り返します。たとえば、パスワード変更をする際、まずはアカウント、それから設定、セキュリティとクリックを繰り返し、やっと目的の場所にたどり着きます。WalkMeならば「パスワード変更したい」と意思表示したユーザーに代わり、すべてのクリックを済ませたうえで、自動的にパスワード変更ページを表示します。

 こうしたサービスによりユーザー体験が向上し、従業員や提携企業、顧客や潜在顧客のユーザビリティを向上させられるのです。

Image: WalkMe

業界を問わず、あらゆるシステムに対応

―WalkMeのツールを使うには専用のシステムに入れ替えなければならないのでしょうか?

 いいえ、WalkMeは一般的なシステム全般に対応しています。WalkMeはプラットフォームに依存しないテクノロジーですから。当社の顧客の多くはSalesforceやWorkday、SAP、Oracle、Microsoft上でWalkMeを活用しています。また、各社が独自に開発したソリューションに統合することも多く、iOSやアンドロイドなどのモバイルアプリケーションやウェブサイト上で当社のツールを使っていただいています。

―企業のプラットフォームなどに御社のソフトを統合するには、どれだけの時間がかかるのでしょうか?

 お客様にもよりますが、短期間で済みます。マスターカードでは2週間で完了しました。1カ月半くらいかかることもありますが、これはどちらかというと相手先の都合ですね。どんなデザインにするかといったことを決定するのに時間がかかる場合です。

―かなりスピーディですね。ターゲットとなる業界はありますか?

 WalkMeは業界を問わず活躍できるツールなので、金融業から政府、小売店などあらゆる分野で使っていただけます。日本にも、大きなポテンシャルを感じています。アメリカの次に日本ですね。

―先ほど政府や金融機関と言いましたが、そうなるとセキュリティの問題も出てくると思うのですが?

 WalkMeは主要な法令や制度に適合しており、セキュリティやプライバシー保護には自信があります。当社ではお客様の使用データを分析する際でも、お客様自身のデータを入手することはありません。我々に必要なのはあくまでWalkMeの利用パターンですから。

 現在、当社ではクラウドサービスから完全オフラインまで、多様なパターンを用意しています。ハイブリッドでご利用いただく場合もあります。お客様の希望されるセキュリティレベルに合ったサービスを提供しています。

Image: WalkMe

創業のきっかけは、母親のオンラインバンクの手続きを手伝ったこと

―他社にはない強みなどがあれば教えてください。

 そうですね、この業界自体、我々が作ったものだと言えます。当社は経験値も高いですし、顧客の抱える問題や洗練されたソリューションについても理解しています。現在、2000社を超えるお客様を抱えており、フォーチュン500企業の40%が当社の得意先です。これほどの規模の会社は他にありません。

―どういった経緯でこのようなビジネスが生まれたのでしょうか?

 大きなきっかけとなったのは、当社の共同創業者の体験です。彼の母親が銀行のオンライン手続きにつまずき、彼に相談してきたのです。言葉で説明するだけではらちが明かず、彼自身も同じ銀行にログインして、実際の画面を見ながら「左側にあるグリーンのボタンを押して」などと解説しました。そこでやっと手続きを完了することができたのです。こうした経験から、彼は視覚的にわかりやすいガイダンスツールの必要性に気づきました。

 事業機会を模索する中、企業などのソフトウェアにも同じ問題があることがわかりました。今はどんどん新しいソフトウェアが登場しており、一般的な社会人が最新技術にキャッチアップするのは至難の業です。また、今は世代間のギャップも大きいですね。デジタルの経験や知識も世代によって差があります。そういったギャップを埋めるために、WalkMeのようなソフトが役に立つのです。

Image: WalkMe

アジア展開を加速。特に日本に注目

―次に、御社のグローバル展開の戦略について教えてください。

 先ほども言いましたが、今は日本に大きなポテンシャルを感じています。2019年にはさっそく新しいオフィスを置く予定で、今はローカライズの最中です。

―日本以外の地域にもオフィスがある国はありますか?

 はい、アメリカ以外ですと、オーストラリアにオフィスがあります。あと、シンガポールにもオープンします。顧客は日本やロンドン、テルアビブなど世界中にいらっしゃるので、今は365日、24時間体制でリアルタイムのサポートを実施しています。

―創業は2011年と伺いましたが、短期間でここまで成長できた理由は何だと思いますか?

 それだけのニーズがあったということですね。これまでのツールでは企業が抱える問題を解消できなかった。我々のようなデジタル・アダプション・プラットフォームが必要だということです。今後は上場を視野に、さらに拡大していこうと思っています。人がテクノロジーを理解するだけでなく、テクノロジーが人を理解できるよう、サービスと技術を強化していきたいと思います。



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