UdacityはNanodegree ProgramというAIやML、Data Science、Cloud Computing、プログラミングなどのカテゴリー別に分けられた50以上のオンラインプログラムを企業や政府、個人向けに提供している。今回はCEOのGabe Dalporto氏に話を聞いた。

過去のスキルではなく、未来のスキルが必要

―まずUdacityのCEOに就任された経緯を教えてください。

 私がUdacityに参画したのは8ヶ月ほど前です。長らくフィンテック業界にいた私がUdacityに参加した理由は、本当に個人的なものです。 私は田舎の地域であるウェストバージニアで育ち、他の地域と同じように経済的な混乱を目の当たりにしてきました。産業の近代化と自動化が進んだがゆえに、それに合わせられない人々に何が起こったのか。彼らは中流階級の生活と高収入を享受する代わりに、最低限の生活を保てる賃金を稼いでいました。

 私は、「どうやってこの問題を解決するのか」ということをずっと考え、「私たちは彼らのような人々に対し、過去のスキルではなく、未来のスキルを訓練する必要がある」と思いました。私にとって未来のスキルとは、ソフトウェア開発やデータ分析、デジタルマーケティングなどのことです。 ちょうどこの頃、UdacityのFounderであるSebastian Thrunに出会い、 彼は私に、「間違いない、全くその通りだ。ウェストバージニアだけではなく、世界規模でやってみないか」と言い、私はUdacityに入る決断をしたのです。  

Gabe Dalporto
Udacity
CEO
MITでニュークリアエンジニアリングの修士号を取得。JP Morgan ChaseでVice President、Atomic Financialを設立、Leading TreeでのCMO, CFOなどを経た後に、自社のCEOに赴任。
 

GoogleやAmazon、Facebookでの「成功」に導くオンラインプログラム

―Udacityが提供するオンラインプログラムについてお聞かせいただけますでしょうか。

 私たちは世界中の労働者に将来のキャリアに向けたスキルアップを提供しています。 世界経済フォーラムは、今後10年間で10億人がAI、機械学習、自動化のために職を失うと予測しています。誰かがその10億人の労働者を再教育する必要があるのです。

 Udacityは10年ほど前にMOOCs(誰もオンライン上で無料で参加できる講義)というカテゴリーを作る手助けをしました。大学のコンテンツをオンライン化し、無料または安価にしたもので、スタンフォード大学の教授が様々なテーマについて話しているのを見ることができました。それは素晴らしいことでしたが、MOOCsモデルの問題点は、『ブルース・リーの映画を見て空手を学ぶことはできない』ということです。空手は実践することで初めて空手を学ぶことができるのですから、MOOCsもただ講義を見ているだけで、実践的に使えるのかといえばそうではありません。

 ですからUdacityでは、将来のキャリアに焦点を当て、将来のキャリアでのハンズオンスキルを提供しています。私たちは、雇用可能な職務経歴書から始めて、逆算していきます。機械学習エンジニアになりたい方は、実践的な経験が必要ですので、実際にソフトウェア、アルゴリズムをデータセットに実装し、結果を出してもらいます。

 このような実践的なスキルをプログラムに組み込むことで、雇用可能な仕事のスキルを最速かつ最も効率的に習得できると考えます。

 典型的なコースは、まず初めに専門家からの5分間のビデオ講義、ハンズオンキーコーディングに続いて、別の短い講義またはコーディングが交互に繰り返されます。月の終わりには没入型のプロジェクトを行い、目に見える成果を出してもらいます。それを数ヶ月間繰り返すことで、ある種の実践的な仕事のスキルが身についていきます。ビデオ講義は、全て録画されていますので、夜中の2時でも、午後4時でも、子供を学校に送った後でも、いつでも自分のペースで見ることができます。  

テクノロジーが急激に進化する今こそ、人材育成に力を入れるべき

―多数の一流大企業の顧客や彼らとのパートナーシップをお持ちですが、なぜ彼らは今人材育成に力を入れていると思いますか。

 エンタープライズ市場では、製品市場の適合性は驚くべきものです。Fortune 500社やグローバル2000社の大企業は、今、デジタルトランスフォーメーションを行っています。彼らは、自社のビジネスを変革するために必要な人材やスキルセットが不足していることに気付いています。これらのスキルセットの多くは、雇用することすらできません。AIエンジニアやデータサイエンティストを雇いたいと思っても、世の中には十分な数の人材がいないのです。そこで彼らは私たちとパートナーを組み、一度に500人、1000人、2000人のトレーニングをしようとしています。

―それぞれの企業が異なるミッションを持っていると思いますが、企業ごとにプログラムやチームの構成をされるのですか。

 それは非常に重要なポイントですね。私たちが企業とパートナーを組むとき、彼らは専用のカスタマーサクセスチームとソリューションアーキテクトを持っています。私たちは彼らと提携し、まず初めに人材評価を行います。多くの従業員にテストを実施してもらい、彼らがどの程度のスキルを持っているかを確認します。スキルマッピングを行い、あなたはどうなりたいですか?今のあなたの才能は何ですか?そして、そのゴールに到達するための学習パスはどうあるべきなのかということを詰めていきます。

―新型コロナウイルスによってオンラインでの教育は注目されると思いますが、この状況についてのお考えをお聞かせください。

 現在は人々にとって重要な局面だと考えています。大学が閉鎖され、企業の研修などもオンラインに移行せざる負えなくなりました。現在の状況は「教育の受け方」そのものを根本から見直すきっかけになっていると考えます。

 現在、10億人以上の人々が、文字通り隔離されています。今はそのような人たちにとって、スキルアップのための投資をするには絶好の機会なのではないでしょうか?隔離生活が終わった際に、私たちが提供しているNanodegreeプログラムを完了していることで、すぐに仕事につくことが可能なスキルを身につけ、職につくことができます。もし新しいスキルを人々が身につけるとすれば、今がその時だと思います。

全ての業種が同じ「難題」に直面している

―今後どのような業界とパートナーシップを組んでいきたいですか。

 業種ごとにアプローチの仕方は違います。しかし、どの業種でもデジタルトランスフォーメーションは起きています。全ての業種が同じ難題に直面しています。どの業種も未来のテクノロジーが過去のテクノロジーと違うということに気づき、コストの削減に直結することからモノを自動化しなければいけないと感じています。その結果、われわれは多くの業種とパートナーシップを組んでいます。

―最後に、将来のビジョンを教えてください。

 将来のキャリアを見据え、世界の労働者のスキルアップに貢献していきたいです。2025年までには100万人がNanodegreeを取得していることを目指しています。

 また自然言語処理、機械学習を利用した自動翻訳も検討しており、より多くの言語で配信していきたいと考えています。



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