世界中でリアルアセットを取引可能
―まずはTrustTokenについて、他社のステーブルコインとの違いを教えていただけますか?
設立当時から私たちは、お金と資産の運用は従来の方法から暗号資産としての運用にシフトすると見通していました。暗号資産が増えることで、資産の流動性が高まり、例えば、現実の世界で保有している資産をトークン化する際にインターフェースを明確にすることが規制されるなど、技術面や規制面で重要な課題に直面することも考えられました。
そこで、当社は通貨をより安定した資産の一つと捉え、当時最も需要があったステーブルコインの発行から事業を始めました。最初に発行したTrueUSD(以下TUSD)は、米ドルと連動しています。
TUSDは、Tether(USDT)と比較すると、より透明性が高く、より安定し、信頼できるコインです。Tether(USDT)にあるカウンターパーティーリスクも、当社のTUSDにはありません。また、それぞれの国のフィアット(法定紙幣)と連動することが簡単にできるので、実際に世界中のウォレットを使いアグノスティックに活動することが可能なことも当社の強みです。当社は、スイスのようなもので、取引所やウォレットの間で中立性を保ち、ステーブルポイントを構築しています。
価格の暴落などのリスクを排除、損をする可能性は低い
―TUSDのリスクをどのように回避しているのか教えてください。
当社が預かっている約2億ドル分の米ドルは、社内で保有せず複数の受託者(fiduciary)に分けて預けています。スタートアップが大金を保有することは、合理的ではありません。資格を持ったプロの受託者が、可視性を保ち、コンプライアンス、セキュリティそして法的にも抜け穴がなく価値を保証する方法で管理し、いつでもTUSDを米ドルと交換できる資金を確保しています。
―ビジネスモデルを教えてください。
とてもシンプルです。TUSDを支えている米ドルの利息が当社の利益になっています。
―米ドル以外の通貨と連動するステーブルコインを発行していますね。発行にあたり大変だったことはありますか?
そうですね、当社は法的な規制やコンプライアンスを重視していますので、それぞれの国の法律に基づいた規制とコンプライアンスを学びました。これが大変だったことの一つです。他には、現地の銀行と協力する必要がある場合は、銀行とパートナー関係を構築する際に銀行からのシステムやドキュメントなどのチェックが行われますので、これも大変でした。
「TrueJPY」の発行も視野に
―今後の目標として日本での展開も視野に入っていますか?
もちろんです。「TrueJPY」をローンチしたいですね。しかし日本は、規制面でもコンプライアンス面でもかなり厳しい国のひとつです。そのため、日本市場に参入するのであれば、事前に学ぶべき規制などが多くあると考えています。
―長期的なビジョンを教えてください。
当社のビジョンは、全ての人に経済的な自由を提供することです。そして、ミッションは金融サービスへのアクセスを拡大し人々をエンパワーする、つまり、従来の金融サービスではコンプライアンスなどの理由で対象とならなかった人々にも、少額資産でも金融サービスにアクセスできる機会を世界中で提供することです。