
伊藤園の「お〜いお茶 カテキン緑茶」のテレビCMに起用されたAIモデル(AI model提供)
<目次>
・日本国内で注目される生成AI広告事例
・テック大手による生成AI広告サービスの統合
・倫理的課題と消費者認識
・TECHBLITZが選ぶ、広告向け生成AIスタートアップ5選
日本国内で注目される生成AI広告事例
日本では、生成AIを活用した広告キャンペーンが次々と登場している。特に注目されたのは、2023年の段階で伊藤園が制作したテレビCM。このCMでは、生成AIによって作り出されたモデルが登場し、「未来の自分のために今始めよう」というメッセージを伝えている。年配女性が若返るというビジュアル表現を通じて、健康飲料としての価値を強調し、多くの視聴者から話題を集めた。
以下で、大手企業による活用事例を見ていこう。
パルコ(PARCO)
モデル、ナレーション、音楽すべてを生成AIで作成した広告動画を公開。実際の撮影を行わずにプロンプトから人物や背景を生成し、独特な映像表現を実現しました。
KDDI
人気CMシリーズ「三太郎」を生成AIでアニメ風にリメイクした特別動画を公開。過去の映像をAIで加工し、新旧ファン層を巻き込むプロモーションが成功しました。
アサヒ飲料
緑茶飲料「アサヒ 颯」のプロモーションとして、「AI徹子」がユーザーの悩みに答える音声サービスを展開。黒柳徹子の声を再現したこの試みは、「本物そっくり」と好評でした。

シャンパンピンクとグリーンの世界観に、実在しないAIモデルがたたずむ(パルコ提供)
テック大手による生成AI広告サービスの統合
大手テクノロジー企業も生成AI技術を広告分野に積極的に統合しています。Googleは独自の生成AI「Gemini」を活用し、YouTube動画タイトルや説明文の最適化、新しい動画アイデア提案など、多岐にわたる広告支援機能を提供している。また、日本国内でもGoogle Cloud主催のイベントで企業向けソリューションが紹介され、多くの関心を集めた。
Metaもまた、自社開発のAIモデル「Llama」を基盤とするツール群で広告制作プロセスを効率化している。特に中小企業向けには画像拡張機能、大手企業向けには背景生成ツールが提供されており、それぞれ異なるニーズに応じたサービス展開が行われている。
一方で、MicrosoftはBing検索エンジンやEdgeブラウザ内で生成AIによる広告表示機能を試験導入しており、新たな収益モデルとして注目されています。
倫理的課題と消費者認識
一方で、生成AI活用には多くの倫理的課題も存在する。ニールセンによる最近の調査では、多くの消費者が生成AIによる広告について「退屈」「混乱」といった否定的印象を抱いていることが明らかになった。特に、高品質な出力であっても従来型広告ほど印象深くないという結果は、ブランド信頼性への影響を示唆している。
さらに著作権問題も重要な論点だ。生成AIモデルは膨大なデータセットから学習するが、その中には著作権保護されたコンテンツも含まれることがある。このため、適切な使用許諾やクリエイターへの補償について議論が進められているほか、トレーニングデータ内に含まれる偏見や差別的要素がそのまま反映されるリスクもあり、公平性確保への取り組みが求められている。
TECHBLITZが選ぶ、広告向け生成AIスタートアップ5選
TECHBLITZ編集部が選ぶ広告・マーケティング向け生成AIを提供するスタートアップ5社はこちら。
AI model

設立年 | 2020年 |
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所在地 | 東京都渋谷区 |
Omneky

設立年 | 2019年 |
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所在地 | 米国カリフォルニア州サンフランシスコ |
Typeface

設立年 | 2022年 |
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所在地 | 米国カリフォルニア州サンフランシスコ |
Booth AI
設立年 | 2022年 |
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所在地 | 米国カリフォルニア州サンフランシスコ |
Rephrase.ai

設立年 | 2019年 |
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所在地 | 米国カリフォルニア州サンフランシスコ |