アメリカは「自由の国」と言われるだけあって様々な人種、価値観、思想があるため、多様なビジネスが生まれる。アメリカにはちょっと日本では考えられないビジネスもあることはたしかだ。今回、「The Silicon Valley Startups 100」ではスケールの大きいビジネスやアメリカでしかできないであろうビジネスを「マリファナ」「空飛ぶタクシー」「人工肉」「宇宙」の4つに分けて紹介する。「マリファナ」・「空飛ぶタクシー」編はこちら。
多様な考え方があるから生まれた「人工肉」
多くの人種と考え方があるアメリカ。最近になり日本でもベジタリアンやヴィーガン(超菜食主義者)といった言葉を耳にするようになった。アメリカではより健康的により環境にやさしい食を求める人が多い。現在アメリカでは彼ら彼女らを対象に植物由来の原料を使用した肉や卵を開発するスタートアップが増えている。今、スタートアップはどんな「食」を作り出しているのだろうか。
1. 肉のようで肉じゃない「Impossible Foods」
Impossible Burgerで有名なImpossible Foods。ウィートプロテインとポテトプロテイン、砂糖、アミノアシッド、ビタミン、そしてヘムと呼ばれる赤い液体、多糖類の一つであるキサンタンガム、そして日本人には馴染み深いこんにゃく、ココナッツオイルと枝豆を混ぜ合わせる事で合成肉を作っている。Impossible Foodsは現在、全米5000以上のレストランでImpossible Foodsの合成肉を提供している。設立年:2011年
Funding:3.875億USドル(Series D)
URL:https://impossiblefoods.com/
2. NBAのトッププレイヤーたちもサポートする「Beyond Meat」
Beyond Meatはスーパーなどで購入可能な合成肉を製造・販売している。合成肉は大豆、遺伝子組換え作物を使用せず、グルテンフリーで製造されている。合成肉の提供先はアメリカスーパーマーケット大手のSafewayやKroger、レストランやホテルなど幅が広い。価格はハンバーガーのパテ227gで5.9ドル(約655円)だ。Beyond Ambassadarsというサポーターの中にはNBAのスター選手であるカイリー・アービングやクリス・ポールが名を連ねる。
設立年:2009年
Funding:IPO(2019年5月2日)
URL:https://www.beyondmeat.com/
3. 卵を使わない卵「Just」
Justは卵を使わない合成卵、動物性食品を使わないマヨネーズやドレッシング、クッキー生地を製造・販売している。合成卵は植物から作られており、Just はWalmartやアメリカ大手スーパーWholefoodsなどで購入可能だ。設立年:2011年
Funding:2.2億USドル(Series D)
URL:https://www.ju.st/
将来いつでも、誰でも「宇宙」に行けるようになるか
宇宙は人類のロマンという人も多い。スタートアップの中にも商業用宇宙船の開発をする企業が現れた。月旅行を成功させようとしているイーロン・マスク率いるSpaceXを筆頭に宇宙に挑戦するスタートアップを紹介する。
1. 日本でも話題、イーロン・マスク率いる「SpaceX」
Tesla MotersのCEOとしても有名なイーロン・マスク率いるSpaceX。SpaceXが2023年に計画している月周回飛行計画へのチケットをZOZOの経営者・前沢友作氏が購入し、日本でも話題となった。2002年に設立された同社は、2008年に民間ロケット開発企業として初めて地球周回軌道へロケット打ち上げを成功させ、これまでにロケットを75回打ち上げている。設立年:2002年
Funding:2.4億USドル(Series J)
URL:https://www.spacex.com/
2. いつでも誰でも人工衛星を打ち上げられる「Rocket Lab」
Rocket Labは誰もが簡単に衛星を打ち上げることを可能にするかもしれない。同社は2018年に世界で初めて小型ロケット「エレクトロン」の商業打ち上げに成功している。これまでロケットの商業打ち上げは大企業や宇宙関連の機関がサービスを提供しており、打ち上げコストも高額だった。しかし同社はロケットの製造工程に3Dプリンターを採用したり、他の顧客とロケットをシェアして打ち上げることで、より低価格な打ち上げサービスを提供している。設立年:2006年
Funding:2.15億USドル(Series E)
URL:https://www.rocketlabusa.com/
3. 3Dプリンターでロケット開発する「Relativity Space」
Relativity Spaceはロケットの開発をしているスタートアップ。特徴はロケットを3Dプリンターで作り上げていること。また従来のロケットの部品数が10万個あったのに対し、Relativity Spaceのロケット「Terran 1」は部品数を1,000個まで下げることに成功。ロケット開発の自動化を目指している。Relativity SpaceのCo-foundersであるTim Ellis氏とJordan Noone氏はForbesが選ぶ「30 Under 30」のManufactuaring & Industry部門に選ばれている。設立年:2016年
Funding:4510万USドル(Series B)
URL:https://www.relativityspace.com/
マリファナが家まで届くという日本ではちょっと信じられないものから、ちょっと食べてみたい人工肉、将来は空から出勤できるかもしれない「空飛ぶタクシー」、宇宙が身近に感じられるような夢のあるスタートアップを紹介した。アメリカでは日々、新しいスタートアップが生まれている。これからどんなアイデアを持ったスタートアップが出てくるのだろうか。
「マリファナ」・「空飛ぶタクシー」編はこちら。