金融機関向けのコラボレーションツールSymphony4年前のインタビューでは、まだアジア市場への進出を果たしていなかったが、その後に日本を含むアジアに進出。急成長を遂げ、現在ではユーザー数も50万人以上にまで増えている。現在の競争環境や日本展開の状況などについて、CEOのDavid Gurle氏に話を聞いた。

コロナ禍、利用者が急増。競合はMicrosoft Teams

――前回取材したのは4年前でした。どのような変化がありましたか。

 創業してから5年半で、累計4億6000万ドルの資金調達に成功しました。2019年6月のシリーズEラウンドでは、1億6000万ドルの資金調達ができました。現在50万人以上のユーザーを持ち、顧客は360社にものぼります。年間の経常収益も6200万ドルを超えています。

David Gurle
Symphony Communication Services
CEO
1992年、仏ESIGETEL卒。Thomson Reuters、MicrosoftやSkypeなどで、コミュニケーション、メッセージシステムの分野にて、20年以上もの経験を有する。2012年にPerzoを設立し、Founder & CEOに就任。同社は2014年9月にSymphony Communication Servicesに買収。10月にSymphony Communication ServicesのCEOに就任。
 興味深いことに、私たちは現在アメリカ国内よりも他国の方で活発にビジネスを行っています。中でも、最も成長している地域は、香港、シンガポール、日本を含むアジアとオーストラリアです。アジア地域内でも最大の成長が見られたのが日本。2019年6月の投資ラウンドでは、三菱UFJフィナンシャル・グループがSymphonyに出資を行いました。

――改めて、現在のビジネスモデルについて教えてもらえますか。

 2つあります。まずシンプルに、ツールの利用料です。一人あたり月額20ドルで、ユーザー数が増えればボリュームディスカウントがききます。

 もう一つはソリューションビジネスです。私たちはSalesNOW、Salesforce、Boxなど十数社の エンタープライズ向けのソフトウェアをSymphonyに統合しています。これにより、お客様はSymphonyを使って、これらのシステムにアクセスできるようになります。

金融機関向けにセキュアなコラボレーションツールを提供。

――よくSlackやMicrosoftのTeamsと比較されるようですが、競合他社はどこですか。

 BloombergやMicrosoftです。Bloombergは、フロントオフィスの社員向けツールを提供しており、MicrosoftはSkype for businessとTeamsといった法人用ツールを提供しています。

 私たちは金融機関を顧客としているので、実はSlackは競合ではありません。その上、TeamsはSlackを大手向け市場から一掃してシェアを奪っている状況です。

 フロントオフィスの社員は、社内の他、社外の取引先とも連絡を取り合わなくてはいけません。今は大規模な金融機関ではSymphonyを使ってもらっていますが、社内のIT部門がコミュニケーションシステムをTeamsに統一するとなった場合はどうでしょう。そこで競争が生まれるのです。

メガバンクが導入。日本はイノベーションにオープンな市場

――新型コロナウイルスはどんな影響を与えていますか。

 人々はセキュリティやコンプライアンスを遵守した方法で、自宅から働く必要があります。そのため、Symphonyがそのツールとして利用されており、ユーザー数は急増しています。私たちも危機的な状況下で、期間限定でツールを無料で利用できるようにしました。

――日本でもオフィスを開設しています。日本での展開について教えてください。

 私たちは野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループから出資を受けています。日本国内で密接に連携を図っている段階で、主に企業内のチャットボット自動化に取り組んでいます。

 日本の大手金融機関は、私たちの重要な取引先です。日本の市場は、イノベーションや業務効率化システムの導入にもオープンです。コロナ禍以前は、顧客とチームの訪問のため日本に毎月行っていたほどです。日本の市場は、私たちにとって大変魅力的でエンゲージ率も高く、イノベーションに前向きだと感じています。

――日本の読者にメッセージをお願いします。

 テクノロジー業界は相互に連携し合っています。新しいモノが早く浸透しやすい業界でもあります。日本は人口規模が大きく、素晴らしい技術的ソリューションを開発する機会があります。

 私はテクノロジーが日々の生活を豊かにすると確信しています。日本は、自分たちに必要なテクノロジーを注視し、そしてうまくいったテクノロジーを国外に展開していくこともためらわず行ってほしいと思います。



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