スマートフォンで地図を見ているとき、GPSが数メートルずれて現在地が表示される経験を誰もがしたことがあるのではないだろうか。SwiftNavigationは自動運転車やIoT向けに、この誤差を1センチ単位に縮めた高度なGPSを提供している。CEOのTimothy Harris氏に聞いた。

Timothy Harris
SwiftNavigation
CEO
UCバークレー卒、ボストン大学法科大学院で法務博士。サプライチェーンのコンサルティング、企業財務などを経て、2013年にSwiftNavigationを設立。

誤差を1センチ単位に縮小

―GPSモジュールの強みを教えてください。

 車やIoT向けにセンチメートル単位の精度を誇るGPSを提供しています。通常のGPSは衛星との三角法で光が返ってくる時間から居場所を推測しているのですが、衛星の軌道や測定している時計、通過する空気などエラーが起こる場所が多く、3~5メートルの誤差が生じてしまいます。私たちはレシーバーのほうにエラーの情報を集め、誤差を計算することでセンチレベルの正確性を実現できる仕組みを開発しました。これを低コストで提供し、新しい市場を切り開こうとしています。

飛行機向け技術を転用

―どのような経緯でビジネスがはじまったのでしょうか。

 もともとは、風力発電の飛行機を作っている会社から、この会社が生まれました。空で電力を発電するドローンや凧を作っていたんです。私の共同創業者たちは、この会社で飛行機をコントロールするシステムを手がけていたのですが、この高度な技術はもっと別の幅広いところに応用できることに気が付いたのです。

Image: SwiftNavigation

自動運転では誤差が致命的

―ビジネスは拡大していますか?

 ビジネスモデルとしては、GPS製品を売り、ネットワークの利用料も取っています。データを集めて、トラッキングすることができます。

 既に2500の顧客がいます。建設機械、農業機械、自動車、ドローン、ロボティックスなどのメーカーが多いですね。スマートフォンで、居場所が急にジャンプしてしまうのは特に問題ないかもしれませんが、車の場合は大問題で、運転手が命の危険にさらされます。精度の高いGPSは、自動運転車が高速道路を走行したり、トラクターがまっすぐに農地を走ったりするのに役立ちます。

Image: SwiftNavigation

日本に強い関心

―今後の展望や日本への関心を教えてください。

 私たちは他のセンサーや自動運転の管理システムに手を出すつもりはなく、ひたすらGPSに集中して、この領域のマーケットリーダーになりたいと考えています。すでにグローバルに展開をしており、顧客の半分はアメリカですが、半分はインターナショナルです。ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカ、アジア、オーストラリアと世界中の次世代システムに関わっています。

 日本は自動運転やロボットの先進国の1つですから、とても重要な市場と捉えていて、私自身、月に1回は日本に行っています。すでに協業や顧客企業が日本にいくつかありますが、もっと育てていきたいと思っています。



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