Image: Swiftmile
Swiftmileは都市、企業、大学などに電動スクーターや電動自転車などのマイクロモビリティ車両向け充電ソリューションを提供し、都市の混雑緩和、クリーン化に貢献しているスタートアップだ。今回は開発者であり、Co-founder & CEOのColin Roche氏に話を聞いた。

充電ステーションがスマートシティ化を実現

―まずはSwiftmile設立の経緯を教えてもらえますか。

 私は20年以上、製品設計とビジネス開発をしてきました。前職のスタートアップでは人間工学に基づいた筆記用具である「The PenAgain」を発明し、世界25か国以上で、1,000万個以上販売しました。その後、私は次の時代に必要となるものはなんだろうと常に考えてきました。

 あるとき、私が支援する団体が開催したパーティの景品で電動自転車を頂いて、子供の頃に芝刈り機のエンジンを外して自転車に取り付けて使っていたことを思い出しました。それからいつもその電動自転車を利用するようになりました。

 そこからよりバッテリーは安価になり、モーターもより効率性の良いものができるだろうと予測しました。そして「未来はどうなるだろう?」と考え、そこからアイデアが生まれました。電動自転車、電気スクーター、未来の車のためのマイクロモビリティ充電プラットフォームを構築しよう、と。私たちは早速、それらを「PET's:a personal electric transports」と呼び、検証を進めました。そして2015年にSwiftmileを設立しました。

Colin Roche
Swiftmile
Co-founder & CEO
California Polytechnic State University-San Luis Obispo卒業後、Pacific Writing InstrumentsのCEOを務める。その後、Jiawei SolarchinaのVisePresidentとして加わり、2015年にSwftmileを設立、CEOに就任。
 

―では、具体的にどういった製品を提供しているのでしょうか。

 私たちは様々な車種の電気車両を充電可能なプラットフォームを構築しました。一般的にスクーターなどはトラックで回収され、充電されますが、コストが高く、1台につき約9ドルかかります。回収する際にはスクーターをトラックに投げ込み、重ね重ね積まれていくため、その過程でスクーターは損傷していきます。またそれと同時にスクーターなどの利用で減ったスモッグや排出ガスなどが、結果的にトラックなどがスクーターを回収することで帳消しになってしまいます。

 私たちは交通量が多いエリアに充電ステーションを設置し、利用者が電気車両を駐輪すれば充電されるというシンプルな仕組みを開発しました。充電ステーションでは、接続されたときに、電圧は何ボルトかを検出し、次に、それがどのメーカーのものであるかを検知(例えば、Wise、Bird、Spenceなど)、それから数秒後に充電を開始します。

 さらに、どの車両に、いつ、どのくらい充電したか、という履歴データを記録し、それらを市や電気車両の利用者に公開しています。とてもシンプルなソリューションですが、スマートモビリティに最適なスマートシティツールと言えます。

―ビジネスモデルを教えてもらえますか。

 電気車両のオーナーに分単位で充電使用料を請求します。

 フォード社が抱える電気スクーター企業Spinのように私有地を持っている場合、彼らは私たちの大きな顧客となります。私たちから充電ステーションをリースして、彼らがホテルやショッピングセンターにSpinブランドとして設置しています。

 われわれはアメリカに製造工場を持っています。充電ステーションというハードウェアと、管理・運営するソフトウェアを融合させることで、車種・メーカーが異なるシェア電気車両に充電することができるサービスを提供できています。

―他社にはない、御社の強みはどのような点でしょうか。

 私たちは、フィールド内充電システムという新しいカテゴリを生み出しました。この市場が本当に必要になったのは、ここ2年です。私たちは幸運にも4年前からシェア電動自転車用に充電するシステムを開発しており、2018年1月に電気スクーターのシェアリング市場が爆発的に拡大したとき、私たちはすでに充電システム市場をリードしていました。電気スクーター向けにハードウェア構成を変更するだけで、すぐに市場に提供できたわけです。

 さらに私たちはサプライチェーンを持っており、必要に応じて世界中に出荷し、各都市の抱える問題にすぐに対処することができます。スクーターがある場所での大きな問題はスクーターが乱雑に扱われ、いろいろな場所に雑然と置かれていることです。また充電するハードウェアと運用を独自に開発することは大きな投資が必要です。そのために私たちは世界中のどの都市にもすぐに提供できるようハードウェア、ソフトウェアの両面を兼ね備えています。

アメリカから世界へ、再生可能なソーラースマートステーションを拡大

―中期目標と、長期ビジョンを教えてください。

 短期的な目標は2020年末までに、2020ヵ所の充電ステーションを構築すること。それは順調に進んでいます。長期的には、ソーラーで作り出した電気を充電ステーションのバッテリーに充電し、その電気をスクーターに充電する、100%再生可能なソーラー発電充電システムを構築する世界的なリーダーとなることです。

―今後の海外展開についてお聞かせください。

 私たちは現在、中東、そしてドイツ、イギリス、フランスなどヨーロッパへ展開しています。そして今は、ベルリンの市政府と協力しています。スクーターがある場所は、同じような課題を抱えていますので、私たちはそれに対してすぐに適切に対処できるソリューションを持っています。

―もし、日本で御社の製品を展開するとしたら、どのような企業がターゲットになってくるのでしょうか。

 シェアが可能なマイクロモビリティ車両は、交通機関を利用する方のファーストマイル、ラストマイルに適したソリューションですので、そこの必要性を認識いただいている企業がターゲットになってくると思います。公共交通機関の駅や停留所にSwiftmileステーションを作れば、人々はアプリで車両有無を確認し、電動車両を利用するでしょう。最終的には人々の生活のルーティーンの中に組み込まれていくと思います。その結果、街中は車が減り、交通量が減り、より空気がクリーンになります。東京などの都市とパートナー化して、実現を進められるようにしたいですね。



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