(2021年にJamfが買収。2023年6月追記)
企業のモバイル戦略を揺るがす脅威
―Wanderaのビジネスモデルを教えてもらえますか。
Wanderaは、モバイルセキュリティを手がけており、モビリティ戦略に役立つサービスを企業に提供しています。モビリティ戦略は、関係者のデータ入手を容易にし、企業の生産性を高める役割を担っています。しかし一方で、データにアクセスしやすくなればなるほど、個々のモバイル端末を狙った攻撃にも晒されやすくなります。我々のミッションは、そういったリスクを軽減し、クライアント企業にとって安心なモビリティを提供することです。
―競合他社との違いは何ですか。
今日、モバイルは企業のインターネット利用の50%以上を占めています。常時接続は悪意や危うさをはらんでいますが、企業の対策は脆弱です。そのため、アナリストたちが指摘するとおり、モバイルセキュリティはビジネスにおいて重視し優先すべき問題です。
では、Wanderaは競合他社と何が異なるのか。我々は、専用のクラウドゲートウェイによってモバイルセキュリティを確保している世界で唯一の企業です。我々の顧客は、モバイル端末上にアプリケーションを展開、配備することで、デバイスの保護のみならず、埋め込まれたゲートウェイを通るデータ送信のためのプロフィールを構成します。言い換えれば、我々は、モバイル上の高い可視性を提供するわけです。そして、クラウドマシンのラーニング知能によって、リアルタイムで脅威を見きわめます。モバイルが急速に発展する中、我々は非常にユニークなアプローチで問題解決に臨んでいるのです。
Image: Wandera
専用のクラウドゲートウェイを活用し、リアルタイムで脅威に対応
―どのような技術がプラットフォームを支えているのですか。
まず、セキュリティの核をなしているのは可視性です。データの中のインサイトと知識が豊富であればあるほど、例外を見つけ脅威を発見することは容易になります。モバイル端末などのエンドポイントにまで、我々は高い可視性を確保していて、他のモバイルセキュリティ企業の追随を許しません。
一方で、我々はインラインのクラウドゲートウェイも有しています。これにより、ブラウザやアプリケーションが異なってもリアルタイムで見渡せます。そして何がデバイスに起きているか、デバイスから発せられたデータをリアルタイムで観察し、情報を脅威と関連づけることが可能です。ゼロデイアタックも効果的に特定できます。
なおデータを分析し、例外を検出するための技術として、我々は、クラウドマシンのラーニング知能に巨額の投資を行っています。Miriamと呼ばれるものです。
―学習機能やデータ技術を活用している企業は数多いですが、Wanderaのエンジンはどのように異なるのでしょう。
2点あります。まず1つは、我々が見ているのはモバイルデータ専用のデータだということです。もう1つは、我々は、このマシンラーニング(機械学習)のエンジンを、モバイル使用目的のためだけに、一から築き上げていることです。その結果、過去からまさに今しがたのデータまで焦点を当てることができます。
独自のサービスに対し、アナリストや顧客企業から高評価
―Wanderaの強みや個性を打ち出す定量的なデータがあれば教えてください。
2017年に「the Market Guide to Mobile Threat Defense」とよばれる調査レポートが、強い影響力を持つアナリストGartnerにより公表されました。これは、モバイル脅威防御ソリューションにおける世界のトップ10企業を挙げると共に、様々な切り口からベンダーを分類しランキング付けするものです。このレポートの全チェックボックスで高評価を得たことは、我々がビジネスを進めるうえで非常に価値があり満足できるものでした。
Image: Wandera
―どんな顧客がいますか?
さまざまなジャンルにわたる500社以上のグローバル企業の顧客がいます。すべて有料会員です。中には85,000以上のエンドポイントにWanderaのシステムを用いている世界的なテクノロジー企業もあります。
彼らに共通しているのは、最新のデータを必要とするナレッジワーカーを抱え、従業員のモバイル端末のデータに神経をとがらせ、IPを守りリスクを軽減したがっている点です。本ソリューションを導入すると、彼らは、何が水際で食い止められたか念入りに効果検証しますが、その成果は目覚ましく、顧客維持率は90%を誇ります。
―どのような経緯で、このビジネスモデルを思いついたのですか?
約15年間にわたり、手探り状態でHTTPに関する技術を発展させるうちに、待ち時間なしでウェブトラフィックを浄化する有害ソフト対策を考えつきました。それをモバイルに応用したのです。遅延やドレーンをもたらすVPNsは好まれないため、エンドユーザーに透明性と高性能を実感してもらえるシステムの構築は困難を極めました。クラウドゲートウェイはそれを克服し、利用者に可視性をもたらす理想形といえます。
―今後のビジョンをお聞かせください。
我々は、モビリティが過渡期にあると考えています。目標は、モバイルOSが他のエンドポイントやネットワークに浸透する中で、顧客に多くのアプリを利用してもらい、モバイル全体でのセキュリティを提供することです。モバイル用のプラットフォームを構築し、クラウドゲートウェイを用いて、増加する可視性とベネフィットを顧客に提供し続けたいと考えています。