注射器とカテーテルのハイブリッド
Velano Vascularは針の無い採血デバイスを提供しているスタートアップだ。同社が開発した「PIVO」というデバイスは、既存のIVカテーテル(血管内へ抗癌剤、栄養輸液等の薬剤の投与、血管造影、血栓溶解療法等に用いる)の内部により小さいゲージ、より硬いチューブを挿入し採血するもので、デバイスは一度使用されたら廃棄される。アメリカ全体で10〜20%いると言われる注射恐怖症の人、病院に入院している患者や夜間に血液採取をしなければいけない患者を対象としている。CEOのEric Stone氏は「私たちが提供しているのは注射器でもなく、カテーテルでもない、二つのハイブリット型無針治療デバイスです」と語る。
Image: Velano Vascular
採血に関わる問題を解決
採血には多くの問題がある。午前2時や3時などの深夜に患者を起こし、採血を試みても、それは患者の睡眠を妨げてしまう。またIVカテーテルは多くの機械的な理由から吸引力が落ちたり、検査に必要な血液が採取できない。だからと言って、セントラルラインと呼ばれる大きな手術用のカテーテルを使用すると今度は感染のリスクが高まる。「PIVOの目的はリスクの一部を軽減することです。また同時に患者の入院経験と医療従事者の採血のプロセスを向上させようとしています」とStone氏。
HIVや肝炎の患者の血液採取をする際、針のある注射器を使用すると、生命を脅かすような感染病に医療従事者が二次感染する恐れがある。PIVOはそれを予防し、医療従事者にとって安全な環境をつくり、また患者と医療従事者のコミュニケーションを密にできるようにする。
Image: Velano Vascular
ワンスティックフォスピタライゼーションの実現
「ワンスティックホスピタライゼーションを実現したいですね。つまりは患者が病院に訪れた際にはIVカテーテルで採血を行い、その後もう一度採血する必要がないようにしたいのです。また我々のプロダクトは世界中あらゆる人々の採血を可能にすると考えています」と語るStone氏。
現在はPIVOを50個ずつにパッケージ化し、病院の規模に合わせてそれらを提供している。アメリカだけでなく海外市場にも興味があるという同社。日本の病院や投資家との対話にもオープンだという。
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