決済プロセスの負担を軽減する、国際的な送金システム
―まずはCEOの経歴をお聞かせください。
大学を出た後はスタートアップと大企業を行ったり来たりしていました。スタートアップの経営に参加し、それを大企業に売却する、というプロセスですね。Nokiaに売却したVienna Systemsなどもそうです。
―大企業とスタートアップの双方を経験されてきたのですね。そんな中、どういった経緯でVeemを立ち上げたのでしょうか。
当初の理念は、実にシンプルでした。街角でコーヒーを買う時と同じ手軽さで、会社の決済も行いたい、ということです。
今、企業が国際的な決済をする場合、銀行のシステムに頼ることが多いですよね。しかし、ATMなど、銀行のテクノロジーというのはどうにも時代遅れだと感じていました。
支払いをする側は銀行に足を運んで膨大な入力フォームを埋めなければなりません。やっと送金しても、それがきちんと相手に届いたかどうか、先方から「ちゃんと入金されていました」と連絡が来るまでわかりません。
同じく、支払いを受け取る側も、一体いつどのように送金されてくるのかわかりません。2国間で決済をする場合は通貨も違えば言葉も違いますから。不安感や不便さは募るばかりです。そうした状況を改善するため、我々はユーザー体験を根底から覆すような送金システムを構築することにしたのです。
―具体的にはどういったユーザー体験になるのでしょうか。
たとえば、送金手続きに必要な手順は、ダッシュボード上の入力フォームに金額などを入れて実行ボタンを押すだけ。すると受取側に「企業Aから○○円の送金がありますが、銀行口座経由にしますか?直接送金にしますか?」などとアラート通知されるので、希望の条件を入力してOKするだけ。これだけで、国際送金が終了します。
―銀行とも提携しているということでしょうか?
我々はきちんと認可された金融団体で、多くの銀行とも提携しています。暗号通貨も取り扱っていますよ。我々は最先端の決済処理インフラであり、仮想通貨決済のパイオニアでもあるのです。
「ビジネス版PayPal」のような存在へ
―競合はいますか。また他社にはない、御社の強みはどのような点でしょうか。
今一番のライバルは、銀行振込システムです。しかし銀行振り込みというのは、非常に不便です。時間も手数料もかかります。我々のサービスなら送金や入金手数料はかかりませんし、何よりスピーディなので、ユーザーの満足度も非常に高くなります。
―御社の利益はどこから生まれるのでしょう。
外国為替手数料になります。当社のやり方は、一度に多くの外貨を購入し、それを銀行よりも割安な価格で提供しています。
―今後のビジョンをお聞かせください。
今、我々は複数の会計システムを統合しています。今後はこれを拡大していこうと考えています。また、分割払いや支払い予約など、時間的な幅を持たせたシステムを構築していきたいとも思います。
長期的な目標でいえば、銀行振込に代わる存在になりたいですね。銀行経由の送金は膨大な額に上りますから、その手数料負担などもばかにできない金額です。我々のサービスならそれを企業に返還することになるので、ビジネスユーザーにとって大きな価値になるでしょう。
―最後に、日本市場をはじめ、海外展開についてどのように考えていますか。
日本や中国は、非常に大きなマーケットなので、大変興味を持っています。すでに投資してくれる日本企業もあるので、良いパートナー関係を作っていきたいと思っています。