非アルコール性脂肪肝炎の新薬を開発
―まず御社の事業内容を教えてください。
当社が最も注力しているのは、NASH (非アルコール性脂肪肝炎)の患者向け新薬の開発で、現在は早期臨床段階にあります。NASH治療薬市場は医療サービスが十分行き届いていない市場であり、そこをプライマリーターゲットにしています。より多くの患者に新薬を届けるために、米国市場だけでなく中国市場もターゲットに活動しています。
NASHは間違いなく治療を必要とする疾患です。しかし、現在のところ承認された治療法はありません。治療薬の開発と発売を他社よりも先に実現することを目指しています。
―新薬開発における御社のアプローチを聞かせていただけますか。
当社のスタッフのほとんどは、創薬に長年関わってきた経験者です。最新の創薬技術を持ったスタッフと疾患生物学の専門家たちが手がけています。
また、臨床開発において迅速に対応するために、グローバル臨床開発チームを編成し、中国とアメリカで非常に効率的に開発を進めています。
―シリーズAに30Mドル、シリーズBで80Mドルの資金調達に成功していますね。
そうですね。米国サンフランシスコと、中国の上海にもオフィスを構えています。従業員も二つの事務所をあわせて約30名になりました。2019年内には40〜50名に増やす予定です。
CEOのWeidong Zhong博士と生物学者でありVice Presidentを務めているMartijn Fenaux博士と私が共同創業者ですが、3名とも前職ではNASHに関わった経験がありNASHに精通しています。NASH患者が治療薬を必要としていること、特に中国において新しい治療薬が必要とされていることを知っていました。
私たちがVCと最初に接触した時はまだ経営戦略をまとめている段階でしたが、私たちのビジョンとVCが投資先企業に求めていたビジョンがすぐに合致し、早期の会社設立を実現することができました。
Image: Terns Pharmaceuticals
最初からグローバル展開を目指している
―グローバル展開ということは日本企業とのコラボレーションも視野にありますか。
グローバル企業とのコラボレーションにとても興味があります。その企業がどこの国の企業かは関係ありません。
NASHは複数の薬を組み合わせ治療する治療法が最も効果的だと考えられています。そのため、当社の治療薬と組み合わせた投薬が潜在的に可能な薬を持っている製薬会社との協力に興味があり、今後事業展開が進む中で、グローバルに展開している製薬会社とのパートナシップを模索する予定です。
―パートナー企業には何を求めますか。
現段階では、患者にとって最良の結果をもたらす治療薬の組み合わせを一緒に探ることができる企業に興味があります。「NASH患者を治療するために最良の組み合わせを見つける」、このビジョンを共有できれば、コラボレーションの方法はすぐに考えることができます。
パートナー企業との共同開発に対してもオープン
―十分な資金調達を達成した今、それをどのように活用していく予定ですか。
直近の資金調達で得ることができた資金は、パイプラインにある前臨床と臨床試験中の新薬候補の開発を継続するために使います。
新薬の開発は、可能な限り自社内で行いますが、パートナー企業との共同開発にも当社はオープンです。ただ、2020年の終わりまでは自分たちで開発を進めるための十分な資金を得ているため、今すぐにパートナー企業を探しているというわけではなく、将来的にということです。アメリカ、ヨーロッパそして日本の企業を含む複数の企業と話し合いを行ったことはありますが、まだ何も具体的な計画はありません。
当社のビジョンは、「NASH患者にとって最善の結果に繋がる最良の薬」を開発し発売することです。そして、中国で他社よりも先に発売を始めることと、バイオ医薬品会社とのパートナシップを通じてその治療薬を世界の国々で供給していきたいと考えています。