価格透明性を実現したマーケット
―サービスの概要と使い方を教えてください。
「StockX」は買い手と売り手をつなぎ、限定版のスニーカー、時計、ハンドバッグ、ストリートウェアなどを安心して売買をしていただくためのプラットフォームです。
我々のプラットフォームはEコマースWebサイトとしてはユニークなモデルを採用しています。買い手が商品を購入したい場合には、サイト上で入札します。その際に、他の入札者の価格、そのアイテムの過去の価格履歴のすべてを見ることができます。株式の取引では価格履歴の透明性を担保していますが、このモデルを商品売買で実現している例は私の知る限りは「StockX」以外にはありません。
―具体的に売買のプロセスはどのように進むのでしょうか。
我々のプラットフォームはライブマーケットプレイスです。リアルタイムな市場データを確認しながら、売り手は希望価格を提示(Ask)し、それに対して買い手が入札(Bid)し、AskとBitが一致すると自動的に取引が行われます。
またマーケットプレイスで扱うすべての商品は当社の認証センターにて認証されています。これにより売り手と買い手は高い信頼関係のもとに安心して取引を行うことができます。
―どのように認証を行っているのですか。
現在、ニュージャージー州デトロイト、アリゾナ州、イギリス、オランダに認証センターがあります。売り手からセンターに送られた商品は、全て開梱され、製造上の欠陥や出荷時の損傷がないか、偽物ではないか、専門家チームによる複数の異なるチェックを受けます。その後に「StockX」によって認証された証跡である認証タグをつけ、再梱包して買い手に送ります。
スニーカー売買のマーケットプレイス
―競合他社との差別化ポイントを教えてください。
スニーカーだけでも過去の取引を含めると2万6000点、その他の商品も含めると商品カタログは7万6000点にのぼります。これら膨大な商品を認証するインフラを持ち、プラットフォーム上にすべての価格履歴、取引履歴を保持しているという点が、まさに競合他社との差別化ポイントと言えます。
在庫の棚にある商品のみを販売している小売業者とは異なり、過去に販売された商品も今日新しくリリースされた商品もすべて販売できます。買い手が欲しいものが売り切れている状態はなく、欲しいタイミングで欲しいものを希望価格で購入できるという供給面のメリットでも差別化できていると考えています。
―ビジネスモデルを教えてください。
モデルは非常にシンプルな電子商取引モデルです。当社はマーケットプレイス上で売り手と買い手をマッチングし、取引が成立した際にテイクレートを受け取ります。テイクレートとはマーケットで販売されるすべてのトランザクションの割合です。スニーカーとストリートウェアは9.5%、時計は9.9%、ハンドバックは13.5%です。
―CEO着任の経緯を教えてください。
創業者のJoshが会社を設立して2日目に彼らの構想を聞き、その将来性に大変興味を持ちました。そこで約3年間アドバイザーという形で関わりサポートを続けてきました。
その期間我々は強い信頼関係を築いており、私のキャリアチェンジと、StockXの規模が拡大するタイミングが一致し、CEOとして正式に参加し始めました。今まさに、グローバルに事業展開していく成長期であり、規模を拡大させていくための転換期でもあり、この時期にこの役職に就けたことを大変光栄に思っています。
世界中の需要に応えるインフラ構築を目指す
―今後のグローバル展開についてお聞かせください。
世界約200カ国に買い手がおり、ビジネスの25%以上が海外であるため、既にグローバル企業であると言えます。しかし世界中にある需要にすべて対応し規模を拡大するためには、現地の言語、港、現地通貨、支払方法等をローカライズして提供する必要があります。需要が特に多い重要地域での供給準備を現在進めているところです。大きな需要と供給のバランスが保たれれば、商品はより入手しやすい適正価格となり、送料も下がり、買い手は早く商品を手にすることができるわけです。
―アジア市場をどのように見ていますか。
日本と中国本土に注目をし、支払方法の実現を推進中です。両国とも当社商品に対する需要が高く、特に日本は我々のプラットフォーム上で最も急成長している国の一つです。日本には主要なストリートウェアブランドもあるため、東京に拠点を置くチームを雇い、そのカテゴリにおける供給基盤を構築する機会を模索中です。
―中期目標と長期ビジョンをお聞かせください。
第4四半期にStockXの国際的な拡大に大きく寄与する商品の発売があり、非常に活発な期間になると予想されます。そのために、ヨーロッパ本土に認証センターを開設し、イタリアにもローカライズしました。まもなくヨーロッパの他の3つの言語にもローカライズ予定です。世界中の主要市場をみて、需要がある重要地域に対して、現地でリーダーシップをとれる人材を育成し、言語、通貨、支払方法のサポートなどのインフラ構築を進め、グローバルへの展開を順次進めていきます。