RightHand Roboticsは、ロボットアームに物体の形態・形状を機械学習させるシステムを企業に提供しているスタートアップだ。アパレル、電子機器、食品、製薬などの業界向けにEコマースのフルフィルメントの自動化ソリューションを提供している。
創業者でCSOのLeif Jentoft氏は「私たちはハーバード、イェール、MITそれぞれの大学研究者でチームを作り、ロボットの手が物を掴むシステムを実現しようとしました。大きな転機は、DARPAチャレンジで受賞したことでした。その後、軍事用に限らず、製造業・製薬業など様々な業界のニーズを調査しましたが、特に大きな課題はロジスティクスにあると気づきました。日本では考えにくいかもしれませんが、アメリカの多くの倉庫では従業員の出勤率が低いという問題を抱えていたのです」と語る。
Leif Jentoft
RightHand Robotics
Co-founder & CSO
ハーバード大学で工学・応用科学の博士号を取得。在学中の起業を経て、研究グループのメンバーでRightHand Roboticsを共同創業。現在はChief Strategy Officerを務める。
ピックアップロボットは既に多くの企業、スタートアップが開発しているが、RightHandの特徴の一つは、エンドツーエンドで仕組みを提供している点である。ハードウェアとしてのロボットアーム、それを動かすソフトウェア、その動きを最適化する機械学習の全てを提供することで、円滑なオペレーションやトラブル対応を実現。加えて、同社のロボットは「マスターレス」であり、初めて見る製品に対しても人間からの指示なしに対応できる設計となっている。
「これらの強みにより、業界の指標として良く使われる3つのR、つまりRange of products(対応製品の多さ)・Rate of picking(処理の早さ)・Reliability(システムの信頼性)のいずれでも顧客から高い評価を受けています」とJentoft氏は語る。
同社は2019年10月に日本法人も立ち上げており、日本を大きく伸びる市場と見込んでいる。日本では卸売業大手PALTACが最大顧客。Jentoft氏は「日本での事業拡大には大きな関心があり、分野を問わず様々な日本企業とパートナーとなり、課題解決ができることを楽しみにしています。私たちのロボットだけでは最高のフルフィルメントサービスは実現できないので、良いパートナーとの協業が不可欠です」と語る。長期的なビジョンは、ロボットが全ての道具を操作できる未来を作ること、物流のピッキングにおけるリーディングプロバイダーになることだという。
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