未来を予測するため、消費者の「行動データ」に着目
―まずはRevolution Credit 設立までのキャリアと起業のきっかけについて聞かせてもらえますか。
私のキャリアはシステムインテグレーションから始まり、次に経営戦略コンサルタントとして金融サービスや電子決済の業界に入りました。そしてインターネットバンキングの草創期に、オンラインバンクの構築に携わりました。それから大手銀行でマーケティングビジネスのグローバルデータ責任者になりました。その中で、興味をひかれたのが信用スコア構築だったのです。
―そうして、Revolution Credit設立につながるわけですね。
はい。大手信用調査会社のExperianでの経験から、今アメリカで主流の信用スコアシステムは過去の行動に基づいたデータセットを使用しており、正確性が不十分だと感じていました。過去こうだったから、将来もこうだろう、という予測は消費者行動に関していえば、現実的ではありません。
そこで私は行動科学と行動経済学にもとづく、いわゆる行動データが短期的なパフォーマンスを予測するうえで、最良の要因であることに気づいたのです。
―行動データというのはどういったものですか?
たとえばFacebook、Twitter、Googleなどの利用履歴がそうですね。検索履歴や、旅行や生活様式など、その人の行動スタイルが良くわかります。消費者の信用スコアを構築する際、このような行動データをみることで、経済行動を知る以上に有用な情報を得ることができます。ですから、私はこうした行動データを用いたサービスを提供することにしました。
―金融活動以外の情報から、信用力を構築するという考え方ですね。
その通りです。試行錯誤の結果生まれたのが、経済的な健全性を図るための健康診断のようなシステムです。Revolution Creditというのはつまり、行動学データ分析をもとに信用力を構築するプラットフォームなのです。
経済感覚をはかるゲームや、教育動画の視聴履歴を信用スコアに換算
―具体的に、どのようにして消費者の信用力をはかるのでしょうか。
私たちは消費者行動をプロファイリングするためのパズルやゲームをプレイする、あるいはノウハウを提供する動画を視聴する、といったモジュールを完了してもらうことで、信用力構築への意思や意欲を含めた行動をデータとして収集し、3つの行動スコアに変換して信用力を算出します。
―実際のユースケースを教えていただけますか?
たとえば店頭でクレジット払いを利用したいのに、上限金額に引っかかって買い物できないとします。その際、買い物客に我々のプラットフォーム上でRevolution Credit内にあるいずれかのモジュールを完了してもらうことで信用力がプラスされ、「クレジット利用上限額が500ドルアップします」と承認される可能性があるわけです。
―日本市場への展開についてはどのようにお考えですか?
日本の銀行システムや規制はとてもしっかりしているので、非常に興味深いと思っています。
―日本市場に参入する場合、まずはどういった戦略から始めるのか、ビジョンはありますか?
日本市場に参入するなら、まずは自動車会社と協力することが重要だと考えています。彼らは自動車ローンという巨大なクレジットビジネスを持っていますから。