単一プラットフォームでグローバル雇用の管理負担を軽減
――まず、起業に至った経緯を教えてください。
私は、人事、グローバルワークフォースマネジメントそしてそれらに関連するテクノロジーに約20年以上携わり、この3つの要素が重なる分野に情熱を注いできました。
Papaya Globalを設立する以前から、ビジネスはより一層グローバル化していました。そして、企業が使う既存の手動システムでは対応できなくなることが、誰の目にも明らかでした。
そこで、当社の共同創設者の2人と私は、最初にグローバルな給与計算を自動化したシステムを構築しました。次に、給与支払を自動化し、現在はHRIS(人事管理システム)機能も設けています。
あらゆる雇用形態に対応した単一プラットフォームとして、従来手動で行われてきたプロセスを全て自動化したSaaSプラットフォームを提供することで、グローバルワークフォースマネジメント分野全体を改革できると信じています。
――御社は具体的にどのような顧客の課題を解決しているのかでしょうか。
一言でいうと、労働法や税制が異なる国々に住む人々の雇用、管理、給与支払に付随する課題を解決しています。例えば、給与計算には様々な法律が関連しており、国内の雇用でも計算は複雑です。複数の国の異なる法制度に則って手作業で計算するとなると、非常に大きな負担になります。15カ国分の給与計算がどんなに大変か想像してみてください。
当社のPapaya Platformでは、世界140カ国の給与計算に関連する情報を全て取得し標準化、そして一つのフローにまとめて自動化しています。従業員がいる国に事業体を設立し雇用する通常の形態だけでなく、事業体を設立せず雇用できるEmployer of Record(EoR)による雇用や、請負契約など、様々な雇用形態に対応し、現地通貨での支払いと現地の言語を使った給与明細も提供しています。
さらに、人材管理も自動化しています。顧客の既存ツールと統合して使え、データの一本化とグローバルワークフォースの一元管理が可能です。また、リアルタイムレポートも作成でき、企業はグローバルにどのくらいの人件費がかかっているか常に把握できるなど、高度なワークフォース分析をリアルタイムに行うことができます。
大規模な資金調達の成功が需要の大きさを示した
――競合他社との差別化ポイントは?
当社のテクノロジーが大きな差別化要因です。まず、当社のプラットフォームは、クラウドベースのSaaSソリューションで、あらゆるタイプの企業に対応しています。
給与計算ソリューションを提供する企業は複数ありますが、あらゆる種類のワークフォースが選択でき、入社から解雇まで全てに対応する、 “トータル・ワークフォース・マネジメント・ソリューション”を提供できる企業は当社だけです。
image : Papaya Global HP
また、導入・移行期間が短いことも特徴の一つです。EoR向けのオプション機能は数日で導入できますし、通常の給与計算は3ヶ月以内に全従業員分を当社プラットフォームに移行できます。
福利厚生とエクイティ管理もグローバルに提供しており、当社の顧客は世界中のどこからでも優秀な人材を獲得でき、雇用主と従業員の両者にとって最適なツールです。リモートワークが増えた現在では、こうしたことは大きなアドバンテージになっています。
Papaya Platformは、HRISやEPRと同じように、企業が常に使用するツールの一つになると思います。そして、それらツールとシームレスにマージすることで、グローバルワークフォースの管理を、単一のコントロールパネルを使ったシンプルなプロセス管理に変えることができます。
――大規模な資金調達に成功しています。その理由は何でしょうか?
私たちは、当社のテクノロジーソリューションが、業界標準を作っていると確信しています。そして、企業が人的資源を国外に求め始めており、そこに大きな需要があることを投資家の方々は理解しているのだと思います。また、他にない当社のテクノロジーは、大規模なイノベーションを求めている投資家の方々にとって非常に魅力的なはずです。
世界的には日本の従業員は大切されている
――日本人の商慣習に対してどのような印象をお持ちですか?
日本は、特にビジネスにおいてイスラエルの文化と全く異なり、正反対とも言える日本文化に深い感銘を受けてきました。
日本には、アジア最大の株式市場があります。アジアにおけるビジネスの中心地であり、国際的な事業展開に最も適した国の一つです。特にハイレベルな人材を採用したいと考えているテック企業にとって、必要な物が全て揃っている場所だと思います。
また、世界各国の労働法と比較すると、日本がいかに従業員を大切にしている国なのか、よくわかります。当社のように、最高級の“エンプロイーエクスペリエンス”の提供を目指している企業にとって、日本は素晴らしい場所だと思っています。
当社は、日本にも顧客がいますし、現地パートナーもいます。日本のパートナー企業とは、140カ国にいるパートナーの中でも特に優れた強い協力関係を築いています。