Otonomoは、データ通信機能を持つ車両のデータをメーカーから直接入手して管理、提供する自動車情報専用プラットフォーム。今回はCo-founder & CEOのBen Volkow氏に話を聞いた。

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自動車メーカーから正規入手した車両データを収集・管理

―まずは御社のビジネスについて教えてください。

 今、すべての車が何らかの形で「つながって」います。トヨタ、日産、GM、フォードなどメーカーを問わず、工場から出荷された時点で車両に何らかのモデムを搭載し、常にデータ通信を行っているのです。自動車からメーカーのデータベースには、30秒に1回という頻度で情報が送信されています。そこで、Otonomoでは、それらのデータを収集、管理するデータサービスプラットフォームを提供しています。

―具体的にどういった車両データを集めているのですか?

 位置情報やスピード、制動、走行距離といった道路上の情報からシートベルト、エアバッグ、屋根の上部、エンジンやガソリンといった車両の情報まで、多岐にわたります。最近ではセンサーやカメラなどもそうです。カメラから得た情報なんか危険の特定に役立ちますから、自治体が欲しがる場合も多いですね。他にも、道路情報の電光掲示板の内容や道路工事情報などはオンライン地図の会社に提供しています。

Ben Volkow
Otonomo
Co-founder & CEO
イスラエル軍除隊後、Panasonic Mobile Communicationsなど複数の企業で勤務、起業に携わる。2015年にOtonomoを創業。CEOに就任し、現在に至る。

自治体、地図製作会社、保険会社、メディア、広告会社などが活用

―自治体と地図製作会社以外に、どのような業界に顧客が多いのでしょう?

 私たちは自動車メーカーのデータベースから情報を得ていますので、AIGなどの保険会社やシンガポールのようなスマートシティ、メディア会社に広告関連会社など、あらゆる業界からの需要があります。

―データの具体的な活用例を教えてください。

 スマートシティの場合、事故情報を集約して、市内の危険個所にフラグを立てることができます。保険会社なら、アクセルやブレーキの使用状況を集め、優良運転者に割引サービスを提供できるでしょう。ガソリンスタンドはガソリン残量を知ることで、残量が少ない車が近隣に現れたらクーポンを配信する、といったマーケティング活動を実施します。他にも、当社のサービスを利用すれば、これまでになかった素晴らしいサービスを生み出す可能性があるのです。

―大変な需要が見込まれるサービスになりそうですが、競合はいますか?

 はい、大小さまざまな企業がいます。でも、競争はいいことだと思います。競争がなければ、マーケットは生まれませんから。大手でいえば、IBMやSAPがライバルにあたりますね。

ドライバーファーストの姿勢でデータ管理を徹底

―他社にはない御社の強みがあれば、教えてください。

 まずは、技術力です。当社の開発チームは非常に優秀ですし、特許も数多く取得しています。また、我々がマーケットプレイスであるというのも、大きな強みです。AmazonやAirbnbを見ればわかるとおり、マーケットプレイスというのは、勝者が支配する世界です。大手1社が80%ほどをおさえ、20%を他社で分け合うような状態です。我々はその80%を獲得できる企業だと自負しています。

 あとは、当社はプライバシー保護に力を入れています。我々が扱っているのはデータ、しかも非常に繊細で重要なデータです。当社は、ドライバーファーストの姿勢を取っています。クライアントやデータベースを持つ自動車メーカーももちろん大切ですが、まずはドライバー優先です。そのためにはデータの透明性が必要なので、どんな情報を誰に渡したのか、ということをきちんと公開します。データマーケットとして生き残る上で、非常に重要なことだと思います。

―日本の自動車メーカーとも提携しているのでしょうか?

 もちろんです。アメリカ以外では、日本とヨーロッパのメーカーと取引しています。日本の企業は賢く、勤勉です。今後はデータを必要としてくれる顧客を探し、新しいサービスを日本でも展開したいと考えています。保険会社やスマートシティ、小売業者などとパートナーシップを組んでいきたいですね。

―日本展開について教えてください。

 現在は日本へ定期的に出張者を派遣しています。日本市場は我々にとって非常に重要です。日本は非常にまじめで、社会がきちんと整備されている国ですので、ここで仕事ができることは私にとっても幸福なことです。

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