どのデバイスからでも対戦ゲームが可能
―まずはnWayが提供しているゲームについて教えてください。
nWayは2011年に私と「グランド・セフト・オート」などのゲームを手がけたDave Jonesによって設立されました。私たちのビジョンはPlay StationやNintendo Switchといったコンソールを使用してプレイするマルチプレイヤーゲームのクオリティを携帯電話やパソコンといったプラットフォームに持ち込むことでした。つまりは携帯電話やパソコンといったプラットフォームの垣根を超えてコンソールクオリティのゲームを対戦できるようにするということです。
まず私たちが開発したのは「ChronoBlade」というゲームです。これはコンピュータからログインしても、携帯電話からログインしても、瞬時に対戦相手とつながってシームレスに対戦できるというゲームでした。
その後、「Power Rangers Legacy Wars(パワーレンジャーレガシーワー)」という「パワーレンジャーシリーズ」とタイアップした対戦ゲームを開発しました。コンピュータと戦うシングルプレイヤーでの対戦はなく、全てオンラインにいる他プレイヤーと対戦するものです。これは1年で42万ダウンロードを記録しました。
現在はコンソールゲーム、携帯電話、コンピュータ、どのプラットフォームからでも一緒にプレイできるゲームを開発しています。
Image: nWay
―他のゲーム開発企業との違いを教えていただけますか。
たしかに、私たち以外にも携帯上で対戦できるゲームを開発している企業はたくさんあります。しかし、それらは主にシングルプレイヤーゲームです。対戦相手はコンピュータということになります。私たちが開発しているのはアプリを起動した瞬間から12秒以下で携帯電話の向こう側にいる他の人間とコンソールクオリティの対戦ゲームができるモバイルゲームです。
これは3つの理由から難しいとされています。1つはWi-Fi、LTEの問題です。ハイペースで進む対戦ゲームはパケット通信量がかさむため、モバイルゲームには向いていません。私たちはこの問題を独自のテクノロジーで解決し、シームレスで高速にプレイできるようにしました。
2つ目はCPUやオペレーションシステムが異なる携帯電話が数多く存在する点です。アンドロイドだけでも異なるタイプのオペレーションシステムが存在します。そこで起きるのは自分のケータイのゲームスクリーンと他の人とでは異なってしまうことです。これが起きる理由はCPUが異なるとゲームをプレイする際に起きる計算が少しずつ違ってくるためです。私たちはシミュレーターと呼んでいるテクノロジーを開発し、ゲームで起きているすべての計算をできるようにしました。
3つ目はゲームの3Dグラフィックをきれいに映し出せない携帯電話があるということです。iPhone5sなど、すでに古くなってきている機種は3Dグラフィックをきれいに映し出すのが難しいのです。私たちは多くの最適化を行い、これらの機種でもコンソールゲームのような3Dグラフィックに見えるような工夫をしました。
eスポーツにもすでに進出
―今、eスポーツが流行っていますが、この分野への進出は考えていますか。
私たちはPower Rangersのゲームですでにeスポーツへ進出しています。今年の6月にAmazonとパートナーを組み、彼らのモバイルeスポーツトーナメントに参加しました。
―日本企業とのコラボレーションの可能性はありますか。
そうですね。日本のアニメや映画会社とパートナーシップを結び、ゲームを開発することができると考えています。
―御社の将来の展望についてお聞かせください。
将来的にゲーム業界はコンソール、モバイルといった垣根はなくなると考えています。ですから、私たちはこれからもクロスプラットフォームでプレイができるゲームテクノロジーの開発、そしてどんなデバイスでもプレイできるマルチプレイヤー対戦ゲームを作っていきたいと考えています。