(2023年にIPO。2023年6月追記)
高出力の青色レーザーで、溶接技術が格段に向上
―まずは御社の製品について教えてください。
当社では現在、2つの製品を扱っています。1つ目が、AO-150という出力150ワットの青色レーザーです。こちらは薄い金属素材を溶接するのに最適です。そして最近、AO-500という製品を販売開始しました。これも同じく青色レーザーですが、出力が500ワットありますので、従来よりも厚みのある金属にも対応できるようになりました。
―青色レーザーが画期的ということですが、これまで使用されてきたレーザーとどのように異なるのでしょうか?
今、市場に出回っているレーザーのほとんどが赤外線レーザーになっています。まず根本的な違いは、光線の吸収率の差です。青色レーザーは金属への吸収率が高いので、銅でも金でも素早く溶かすことができ、結果的に溶接が楽にできるようになるわけです。
―収益モデルについて教えてもらえますか?
レーザー本体の価格に加え、実装のための作業やその後のサポート費用などですね。あとはレーザーを既存の製造システムに統合する場合のお手伝いもさせていただいています。
Image: NUBURU
急成長するデバイスや電子機器を、青色レーザーに特化した技術力と経験でサポート
―日本でも青色レーザーを開発する企業はあると思うのですが、このような同業他社にはない、御社ならではの強みはなんでしょう?
まずは、経験の差ですね。当社のマーケティングチーム、製造チーム、マネジメントチームには、工業用レーザー業界での経験30年以上というベテランがそろっていますから。また、同業他社は多いものの、当社以前に150ワットや500ワットという出力レベルに到達した企業はないでしょう。日本の企業でも難しいのではないでしょうか。出力が高いレーザーは厚い金属を短時間で溶接できるわけですから、性能面で他社を圧倒していると自負しています。
また、我々は工業用の青色レーザーに特化した企業だという点も、非常にユニークだと思います。その分、豊富な知的財産ポートフォリオを所有していますし、数多くの特許も取得しています。今も、テクノロジーにとどまらず、ハイパワー青色レーザー関連アプリケーションの特許を複数出願中です。
―どのような業界をターゲットとされているのでしょうか?
主に、バッテリーや電池パックの製造業者ですね。彼らはコンピュータから携帯電話、電気自動車、ドローン、飛行機など、あらゆるデバイスや電子機器を扱っています。この業界は世界中で急成長しており、高性能レーザー技術への需要も高まるばかりです。従来のIRレーザーでは実現が難しかった、スパッターフリー(溶接の際に金属の粉が飛び散らない)で気孔が発生しないレーザーのソリューションが求められており、それを叶えるのが青色レーザーなのです。貴金属業界からも注目されています。
青色レーザー市場のリーダーとしてグローバル展開していく
―どのような経緯でNuburuを立ち上げたのでしょうか?
私はNUBURUの前にも2つのスタートアップを手がけてきました。その中で、レーザー技術の将来性を感じ、2人の友人とともにNUBURUを設立しました。多くの投資家に我々のアイデアを披露したところ、賛同してくださる方がたくさんいて、手ごたえを感じました。それでこの製品を世に送り出そうと決意したのです。
―今後日本企業と提携する、あるいは日本の市場に参入する予定はありますか?
もちろんです。今も日本には注目しています。前の会社にいた時も日本企業と取引があり、非常に関係も良好でした。日本は大好きな国の1つでもあるので、資金集めから市場参入時に協力していただける企業まで、幅広くパートナーを歓迎します。
強いて言うなら、バッテリー製造業者やコンピューターシステムおよびPCコンポーネント、電気製品のメーカーを希望しています。もちろん、貴金属や電気自動車関連企業も。実際、このような日本企業と今もお付き合いさせていただいています。
―世界展開についてはいかがでしょう?
今はアメリカにしかオフィスがありませんが、日本をはじめ中国や韓国、ヨーロッパ、イギリス、台湾などに代理店がありますので、すでに世界の電子製品メーカーと取引をしています。
―ありがとうございます。では、最後に将来の展望をお聞かせください。
NUBURUは青色レーザー業界のマーケットリーダーを自認しています。特に、電子機器業界への製品提供にかけては主力企業だと考えています。今度も技術を磨き、高輝度な次世代レーザーを開発し、アプリケーションの世界へも足を踏み入れ、従来のレーザーとは一線を画した効率的で信頼性の高い製品を提供し続けていきたいと思います。