設定不要、自動メトリクス収集、高速で効率的
―まずはNetdata設立の経緯を教えてください。
Netdata以前の職で、インフラストラクチャをクラウドに移行していた時に、多くの問題に直面しました。問題を検知するために、手に入るモニタリングソリューションを全て試しましたが、解決できる物がありませんでした。だんだん腹が立ってきて、自分で解決しようと、週末や空いた時間を使い開発を進めました。そして、大量の情報を管理、処理、取扱い、スケールすることを前提に設計した、トラブルシューティングツールNetdataを構築したのです。Netdataは、下から上へ調査するのではなく、ズームインすることで、何が起きているかを正確に把握します。飛行機に乗りながら、上空に上がるのではなく、地上の通りにズームインするようなイメージです。
当時の会社で直面していた問題を解決した後、2016年3月にNetdataをオープンソースとして公開したところ、口コミで爆発的に広まり、多くの方が愛用するツールになりました。2018年に当時の会社を辞め、Netdataを扱う会社を設立しました。現在でも1日の新規ユニークユーザ数は約10,000人で、70万ダウンロードされています。
データサイエンスの専門知識なしで簡単に使えるシンプルなモニタリングツール
―他のモニタリングツールとの違いを聞かせていただけますか。
Netdataは、他のモニタリングツールと比べ、10倍の頻度で、約20から30倍メトリックを収集します。
また、200から300倍の作業を実行しながら、より高速で、結果を即時に提供するので、より効率的です。
導入も簡単で、特別な準備は不要です。Netdataをインストールするだけで、データ収集機能、データベースやUIを直ぐに使えます。自己完結型なので、対象となる全てのコンピュータ、全てのシステムやコンテナ、IoTデバイスにインストールする必要がありますが、インストールすると、ゼロ構成で、メトリクスに数百のダッシュボードとアラーム機能が組み込まれます。
その他のツールは、モニタリングシステムを構築するプラットフォームを提供しているため、使用するためのスキルが必要ですが、Netdataには専門知識が全て揃っているので、スキルがなくても使え、使いながら学ぶことができます。
―オープンソースで提供していますが、収益化はどのようにお考えですか。
私は、知識の分配であるオープンソースというやり方が大好きなので、ずっとオープンソースとして提供してきましたし、今後もオープンソースとして無料で提供を続けたいと考えています。Netdataを改善し維持するために大きなチームを養っていますが、無料提供を続けることを前提にビジネスモデルを検討しました。
オープンソースのNetdataをディストリビューションデータベースとして使うことで、私たちはデータを1ヶ所に集めることはしないため、コスト負担を避けスケーラビリティの問題を解決することができます。SaaSですが、基本機能は無料にします。Slack、ReproやCloudFlareと同じビジネスモデルで、高度なセキュリティ機能などを追加したモデルを、サブスクリプションでご提供する予定です。
エンゲージメントが高い、健全なコミュニティを構築
―今後の目標として世界展開も視野に入っていますか。
すでに世界中で使っていただています。そして、当社のチームも世界各地にいます。私はギリシャ人ですが、サンフランシスコを拠点にしていて、エンジニアチームは主にヨーロッパを拠点にしています。マーケティングと営業担当者は米国内にいます。社員は35人で、オーストラリアやロシアと、ドイツ、イタリア、ポーランドなどヨーロッパ全域、ブラジルやチリなどラテンアメリカの21カ国に散らばっています。
―日本でも使っている方がいらっしゃいますね。日本の読者にメッセージをください。
Netdataは一度使うと後戻りができないと言われているツールです。まだ使ったことがない方には是非一度使っていただきたいです。
IoTなど、複雑なユースケースにおいても思想的なモニタリングツールですし、クラウドやコンピュータネットワークにも最適です。オンプレミスでも使えます。
そして、TwitterにあるNetdataのコミュニティを一度覗いてみてください。多くの方がNetdataに夢中になっていることがわかると思います。