Image: Mobalytics
ゲーマーのプレイスタイルを分析し、スキル向上を支援するMobalytics。AIがゲーム内のデータを分析し、プレーヤーに改善点のアドバイスを行うことで、パーソナルアシスタントのような役割を果たす。自身もゲーマーとして活動していた創業者でChief Science OfficerのAmine Issa氏に話を聞いた。

TechCrunchのスタートアップバトルで優勝

――創業のきっかけは何ですか。

 子供の頃から大のゲーム好きで、コナミ、カプコン、スクウェア・エニックス、任天堂などの様々なビデオゲームで遊んでいました。大人になった後も、ゲーマーとして活動を続けていて、チームで大会に出場して優勝したこともあります。

 ゲームをする中でふと疑問に思ったのは「ゲームが上手なプレイヤーは、なぜうまいのか」ということでした。チームには分析的な人や本能的な人など、いろんなタイプの人間がいました。彼らは皆、ゲームがうまいけど、何が違うのだろうと。

Amine Issa
Mobalytics
Co-Founder & Chief Science Officer
2003年にLebanese American Universityで生物学の学士を取得。2004年にUniversity of Floridaで生物医学と医療工学の修士を取得。Mayo Clinic Graduate Schoolで生物医学工学で博士号を取得。2016年、人間のパフォーマンスに関する研究とゲーマーとしての経験をもとにMobalyticsを創業し、Chief Science Officerに就任。
 そこで大学院では人間のパフォーマンスに焦点を当て、アスリート、戦闘機パイロット、海軍特殊部隊、登山家などの集団を研究しました。特に戦闘機のパイロットを研究したところ、彼らはゲーマーと非常に似ているとわかりました。彼らは椅子に座り、様々な情報を見て、その情報を統合し、ハンドルを使って操作します。さらに私は「ゲームが上手なプレイヤーはなぜうまくなのか」というテーマで研究を続けました。

 その後、少し研究に疲れてしまい、休暇をとっていたところ、私に転機が訪れました。のちに共同創設者となるBogdanともう1人の同僚の3人で、TechCrunchのスタートアップバトルに参加したのです。ゲームのパフォーマンスを分析・改善するツールを持ち込み、幸運にも優勝することができました。これがきっかけで、Mobalyticsを創業することになりました。

Image: Mobalytics 2016年の「Disrupt SF」Startup Battlefieldにて優勝。

ジムのパーソナルトレーナーのように、ゲームプレイヤーに助言

――どんなサービスを提供しているのでしょうか。

 ゲーマー向けにゲームのパフォーマンスを分析・改善するためのパーソナルゲーミングアシスタントを開発しています。ゲームのAPIから入手したデータを使用し、機械学習でそのデータを解析し、ゲームプレイヤーのパフォーマンスを分析・改善することができます。

 ゲームプレイヤーは自分のプレイの強み、弱みを明確にでき、パフォーマンスを向上させるためのパーソナライズされたアドバイスを受けることができます。今は「League of Legends」「VALORANT」「Teamfight Tactics」「Legends of Runeterra」の4つのゲームをカバーしています。

――強みはどのような点ですか。

 特定のゲームでうまくなるための情報は多くあり、ユーザーはどの情報が信頼できるのか判断できません。

 私たちは、どんなプレイヤーなのか、どんなプレイスタイルなのか等を考慮して、改善が必要な点を助言します。弱点を強化するだけでなく、プレイヤーは自由に他のスキルを鍛えてもらって構いません。

 ジムのようなものです。胸筋を鍛えたいなら、ベンチプレスを提供します。でも、ジムにある他の機械も使っていいですよ、といった感じです。プレイヤーには選択の自由があるのです。

――BtoCのサービスですが、どんなビジネスモデルを採用していますか。

 フリーミアムモデルを採用しています。無料のユーザーを収益化するために広告も掲載していますが、中核となるビジネスモデルはサブスクリプションです。現在は無料ユーザーを含め、月間700万人が私たちのサービスを使っています。

ゲームが普段の生活の一部になる日も遠くない

――ゲーム市場の今後についてどう考えていますか。

 現在、世界では20億人ほどのゲーマーが携帯、パソコン、ゲーム機など様々なプラットフォームでプレイをしています。私たちは、その中の小さな業界であるマルチプレイヤーPCゲームに焦点をあてています。それゆえ、まだまだ成長の余地があるのです。

 ゲーム人口はこれからどんどん増えていきます。ポテンシャルは無限大で、20年後、30年後の未来では、ゲームをしていない人を見つける方が難しくなるでしょう。教育がゲーム内で行われる日も来るかもしれません。実際のところ、すでに全国共通テストをゲーム形式で提供しようとしている会社がたくさん出現してきています。

――日本のマーケットに進出することは考えていますか。

 私たちは常に、ローカライゼーションや翻訳を手伝ってくれる熱意を持った仲間を探しています。また、サーバーを増やし、ノードを世界中の様々な場所に作ることで、他国のユーザーのレスポンスタイムを増やすことも予定しています。

 私たちのプロダクトはネット上で使用するバーチャルなものです。人々はどこにいてもゲームをプレイしますから、プレイヤーのためになる機能を開発し続けることが目標です。



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