目次
・プロダクトの強みは「API連携サービス」
・マネーフォワードがリード投資家として出資
・オープンで安全な金融の未来のために
プロダクトの強みは「API連携サービス」
―Meshが提供するプロダクトについて教えてください。
私たちのプロダクトは、直接消費者に提供するのではなく、金融サービスを提供する企業に提供しています。私たちの主要な顧客は金融機関、フィンテック企業、決済会社、暗号資産会社です。顧客企業はAPIによってさまざまな金融サービスとの接続を容易に構築できます。例えば、アプリのユーザーに暗号資産での支払いを提供したい場合、ブロックチェーンについて詳しくなくても、MeshのAPIを通じてユーザーの暗号資産関連のアカウントに接続させる機能を提供できます。個々のサービスの統合をする必要はなく、MeshのAPIを使用すれば、統合された300のサービスが利用できます。
私たちのプロダクトの特徴は、基本的にグローバルに利用できることです。REST APIやプログラミング言語は、人が話す言語や出身国に関係なく使えます。米国で構築されたシステムであっても、日本やコロンビア、中東、欧州の企業でも使用できるのです。
私たちは「今後10年で地球上の全ての企業がフィンテック企業になる」と考えています。現在3.6兆ドルの金融市場は2030年までに7.2兆ドルになると予想されており、その市場規模の大部分は決済および関連業界からのものです。私たちは、次世代の金融市場のリーダーを目指しています。
―競合と比較した際の差別化点は?
市場には多くのプレイヤーが存在していますが、多くの場合がスクレイピング技術を元にデータを読み取る「参照系」金融サービスを提供するのみで、私たちのようにAPI連携サービスには力を入れていません。多くの競合は10〜15年の歴史を持ち、歴史ある基盤の上にサービスを構築しているので、新たな概念での構築が難しいと考えます。私たちはまっさらな状態で新しくスタートし、これまでにない独自のサービスを構築しました。スタートアップの競合も存在しますが、規模が小さいです。私たちはスタートアップのDNAを持ちながら、広範囲なサービスの統合を構築し、それを取り巻く市場を築くためのリソースを有している点が優れていると考えています。
―どのようなビジネスモデルですか?
ビジネスモデルはシンプルで、2つのタイプがあります。1つは、読み取りアクセスを提供するモデルで、接続されたアカウントのユーザー数に基づいて課金します。もう1つは、資産移転時のトランザクショナルモデルで、VisaやStripeのように、移転する資産のボリュームに基づいて手数料が発生します。
マネーフォワードがリード投資家として出資
―これまでの経歴と、創業の経緯をお聞かせください。
私はシリアル起業家で、最初に創業したNoPasswordでは約10年前にパスワードレス認証を実現しました。その当時はこの分野で早すぎた感がありましたが、現在では一般的になっています。NoPasswordは大手金融機関などの大規模な顧客を持ち、後にリモートワーク関連のソリューションを提供するLogMeIn(現GoTo Technologies USA)に買収されました。
NoPasswordは金融セクターの顧客が多かったこともあり、その後のキャリアでも金融関連に進むことになりました。Meshの立ち上げ時の目標は、異なる金融機関のアカウントをユーザーが1カ所で管理できる仕組みを構築することでした。私たちは、他の創業者やフィンテック企業と話をする中で、市場の既存ソリューションがニーズを満たしていないことを確信しました。そして、APIベースの統合によって、情報の読み取りだけでなく書き込み・転送アクセスも可能な技術を開発しました。私たちは、NoPassword時代から持つ安全な認証プラットフォーム構築の経験があり、それをMeshにも活用したのです。
私たちは、消費者が金融市場において自由に自分の「目的地」を選ぶことができるべきだという信念を持っています。しかし、現在の金融市場は断片化されており、さまざまなサービスが孤立しています。この問題の一部は、オープンバンキングを業界のさまざまな場所で推進することにより解決していますが、多様化する金融サービスは完全には接続されていません。
私は、暗号資産が金融セクターにとっての救世主になりうると考えています。一部の銀行家はこれを脅威と感じるかもしれませんが、私たちは、現在生じているさまざまな境界線を解決できる技術だと考えています。Meshでは暗号資産サービスも含め、すでに300以上のサービスを統合しています。
―2023年のシリーズAラウンドではマネーフォワードがリード投資家として出資しました。日本市場についてはどのようにお考えですか。
2024年はアジアや日本市場への進出を計画しています。グローバル展開は最優先事項で、世界有数の暗号資産取引所やウォレットと協力したユースケースを作っていきたいと思っています。また、暗号資産のプレイヤーだけでなく、銀行などとの統合を拡大して国境を超えた通貨の移動サービスを提供したいと考えています。
私たちはマネーフォワードと特別な関係にあり、彼らは大手との関係構築、日本の投資家や企業との連携など、さまざまな支援を通じて日本市場をナビゲートしてくれています。彼らもまたAPI提供に動いており、私たちの素晴らしいパートナーとなっています。私たちはマネーフォワードのような、ブランドが確立された企業とともにビジネスを拡大していくことを期待しています。
私は日本の文化や人々の大ファンです。日本の文化や人々に深い敬意を抱いています。日本は世界でもトップクラスの経済規模を持っています。私たちは日本でのビジネス拡大を望んでおり、スタートアップとの連携に積極的なパートナーと仕事をすることに興味があります。
image: Mesh
オープンで安全な金融の未来のために
―長期ビジョンと、将来のパートナーに対するメッセージをお願いします。
私たちは、日本に限らず、世界中の金融アプリや銀行などと協力して、グローバルなプラットフォームを拡張し、エンドユーザーに安全で使いやすい体験を提供できるようにしたいと考えています。長期的には、銀行口座、暗号資産アカウント、投資アカウントなどをコントロールしたい全ての人がMeshを使用し、アカウントを接続して全てを管理することが最も安全で確実な方法であると感じていただくことを目指しています。
私たちは、金融の未来はオープンで安全あると信じており、そのビジョンを実現し、構築するプレイヤーになるつもりです。しかし、これを単独で達成することはできません。世界中の優れた企業と協力して、そのビジョンを共に構築していきたいです。
私はこれまで数多くの企業の意思決定者との対話を通じて、企業が抱えている課題をMeshが解決できることを認識しました。この記事をご覧の皆さんにも、皆さんが抱える課題を共有していただき、私たちが皆さんのチームの一員のように、一緒に物事を構築する助けになりたいと願っています。日本でのビジネスにも非常に期待していますので、ぜひ解決したい課題についてお聞かせください。
image: Mesh