人工知能を搭載したデータ活用プラットフォームを提供
―御社のサービスについて教えてください。
当社は、データというのは保存や処理するためのものではなく、何かに活用してこそ意味があるものだと考えており、そのために必要なプラットフォームを企業に提供しています。AI(人工知能)を駆使したテクノロジーによって検索などの体験を向上させることで、よりパーソナルで顧客やユーザーのニーズに合ったサービスを実現します。
―具体的に、どのような製品があるのでしょうか?
代表的な製品は主に3つあります。まず、「Fusion Server」。これは情報検索にスピードおよびスキルを付与するものです。次に、データやその利用体験を強化するための「Fusion AI」です。ユーザーが検索する情報の内容を真に理解し、その目的を知ることにより、よりパーソナライズされたデータフィードを提示します。最後に、「Fusion App Studio」ですが、これは先ほどの製品にUIを実装し、機械学習による結果を生成するためのものです。
この他にも、多くのソリューションがありますが、当社のサービスを利用することで、データの活用法やデータ関連の体験が向上し、生産性や効率性がアップします。当社のサービスをご利用いただく顧客の、そのまた先の顧客にもきっと満足していただけると思います。
―顧客が御社の製品を実装する場合、どのくらいの期間がかかりますか?
当社のAIモジュールは、用途を特化した製品になりますので、すぐに実装可能な状態にまでできあがっており、顧客のニーズに合わせて我々が必要な準備を行います。顧客の手を煩わせることなく、通常は1週間以内に運用開始していただけます。
Image: LucidWork
パーソナライズされたオススメ情報を表示
―御社のプラットフォームの具体的な活用例を教えてもらえますか?
たとえば、あるカメラ販売会社のヘルプデスクが、当社のプラットフォームを活用したとします。その企業では、バッテリーの利用方法に関する問い合わせ件数が多いとしましょう。サイトにアクセスすると、システムが利用者に合った参考情報を提示します。つまり、カメラ購入者には、問い合わせ件数の多いバッテリーに関する内容が多く提示されることになります。そうなれば、ヘルプデスクのコールセンターに質問しなくても、その購入者の疑問は解消されることになります。また、この人物の過去の購入履歴をたどれば、まったくの初心者なのか、それともプロのカメラマンなのか、予測を立てることができます。もしプロだと判断されれば、プロ仕様のおすすめ製品を表示することもできるわけです。
―まさにパーソナライズされた検索体験というわけですね。セキュリティ対策はどのようにしているのですか?
セキュリティレベルも、収集したデータにセキュリティをかけたいのか、文書の作成者以外閲覧できないようにするのか、など、顧客のニーズに合わせて選べる仕様になっています。今はEUの情報保護規制もありますし、日本にも同様の規制があると思いますが、そちらにも対応しています。
―競合他社と比べて、御社独自の強みは何だと思いますか?
たしかに、他社も我々同様にAIを使って検索体験を向上させるサービスを提供しています。しかし、当社ではデータを使ったパーソナライゼーションにAIなどの技術を使用していますので、言語の壁にぶつかることもありませんし、検索サイト以外でも応用できます。他社はデータ管理を行い、我々はデータ活用のプラットフォームを提供している点が大きな違いであり、我々の強みです。
―具体的なクライアントやターゲット層を挙げてもらえますか?
当社では、データの結合やユーザー体験の向上を望む業界をターゲットにしています。カスタマーサポートや社員向けのウェブサイトなどを持ち、あるいはデータや、データを活用した意思決定によって従業員や顧客へのサービス向上を目指す企業であれば、我々が問題解決のソリューションを提供できるでしょう。具体的には、金融業界で多くの顧客を抱えています。不正防止や調査、マネーロンダリング対策、資産管理など、顧客体験やカスタマーサービスの観点から、大いに活用していただいています。
―金融業界が主要な顧客層だということですが、もう少し具体的な運用法を教えてください。
金融機関には、取引データや文書データ、顧客情報や第三者機関によるマネーロンダリング情報まで、あらゆるデータが置かれており、まずは、それらを安全に管理したうえで、従業員などと共有しなければなりません。また、顧客へのパーソナライズされたサービスの提供や、情報のパターンから違法行為を発見するなど、我々のシステムを有効利用していただけるのです。つまり、不正防止、知識管理、資産管理の3つがサービスの中心になっています。
Image: LucidWork
日本の大手企業も注目、経験豊富なCEOがけん引する新ビジネスが世界へ羽ばたく
―CEOに就任するまでの経緯についてお聞かせください。
若いころはエンジニアとして働いていました。それから数年間、あらゆるシステムの開発や構築に携わり、その後はSplunkというスタートアップに入社しました。徐々にビジネス開発や統合、エコシステムにもかかわることになり、マイクロソフトやVMwareなどの大手企業に、Splunkの技術を統合してもらうために奔走しました。それからは日本やシンガポールなど、海外にも拡大していきました。その会社に8年ほど務める中で、LucidWorksに出会ったのです。
当時LucidWorksは、無料のオープンソースプロジェクトを展開していました。そこで、より商業的なプラットフォームを開発していきたい、ということで、私に声がかかったのです。LucidWorksに入社後は、機械学習やAIをプラットフォームに組み込み、事業に活用するというビジネスを担当しました。このような新しいビジネスを盛り上げていくため、私がCEOに就任することになったのです。
―国際的なビジネスの経験もお持ちのようですが、日本市場に進出する予定はありますか?
日本企業とは以前から取引しています。Yahoo!JapanやNTT、日立などです。今後出会いたいのは、クライアントのニーズやギャップを理解してくれるパートナーですね。ぜひ、新たな顧客獲得やジョイントベンチャーなど、前向きに進めていければと思っています。自前のセールスチームを有し、専門分野のある中規模の企業を想定しています。
―すでに日本にパートナーがおられるということですが、具体的なビジネスについて、可能な限り教えていただけますか?
たとえば、Yahoo!JapanとはBananaというプロジェクトを共同開発しました。これは検索による分析と洞察を実行するツールで、世界中で何千という人々や組織に利用していただき、データのビジュアル化やビジネスインテリジェンス関連問題の解消に役立っています。
―最後に、将来のビジョンについてお聞かせください。
今、進めているビジネスを今後も継続していきたいと思っています。顧客の皆さんが、我々のビジョンやロードマップを喜んでくれていますから。独立系企業として、今後は太平洋アジア諸国やヨーロッパにも拡大していきたいと考えています。