コミュニケーションがチャット中心に
―ここ数年の環境変化をどう見ていますか。
ビジネス上のコミュニケーション方法について急激な変化を感じます。WhatsApp、日本ではLINEなど、様々な国でチャットアプリがでてきていますよね。つい最近インドに行ってきましたが、WhatsAppやFacebookメッセンジャー、iMessageなどがよく使われていました。 消費者は企業と親しみが感じられるリアルタイムのメッセージでやり取りをしたいと思っていて、企業側もそういった消費者が好む方法でやりとりをしたいわけです。銀行や旅行の予約、ヘルスケアなどBtoCのケースもあれば、BtoBのケースもあります。私たちはビジネス上のやりとりにより良い「会話経験」をもたらしたいのです。
企業にソリューションを提供
―強みはどのような点にありますか
チャット内に地図の表示を組み入れたり選択肢を提示するなど、企業側が独自にUIをカスタマイズできるチャット機能を提供してきました。最近は、チャットだけではなく、ウェブサイトやもともと企業が持っているアプリなど多様なチャネルでのコミュニケーションに対して総合的にソリューションを提供しています。Eメールや別のメッセージアプリ、SMSなど異なるメッセージチャネルでのやりとりをすべて一括で見ることができます。
メッセージが送られたときに、それは読まれているのか、返信が来ているのか、実際に商品購入につながったのか、満足しているのか、その後も顧客でいてくれているのか。こうしたことを把握しながら、何度も顧客とのやりとりをすることで関係性を構築していこうという企業が増えています。膨大な会話データは顧客を理解する上で貴重な判断材料になります。
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顧客との関係構築にデータを活用
―具体的にどのようなことが可能ですか
たとえば米小売り大手のNordstromでは、Shrunk Clubというサービスを提供しています。これはコンシェルジュが消費者に衣服を選ぶお手伝いをするようなサービスなのですが、数百万の会話データをベースにしたところ、90%くらいの精度で、最初の会話から30日以内に商品を購入するかどうかを予測できるようになりました。買ってくれなさそうであれば、将来的な顧客になってくれるよう関係性構築を目指す対応に移ります。どのような対応をするのがいいのかは膨大なデータからAIや機械学習が教えてくれるわけです。
年率100%成長、より大企業向けに
―ビジネスは伸びていますか
現在、顧客企業は450社あまり。オーストラリア、シンガポール、インド、ヨーロッパ、ラテンアメリカ…ときわめてグローバルです。2016年以降、大企業向けに規模の大きな案件が増え、2017年で100%の成長率を記録しています。米国ではNordstromやWeight Watchers、Staples、日本ではNTTなどが大手顧客です。リクルートホールディングスはホットペッパーなどのアプリケーションで当初お客さんとしてやりとりをしていましたが、今は投資もしてくれています。MUFJも一緒に仕事をしています。
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日本市場にも期待
―日本市場にさらなる関心はありますか
日本には拠点はありませんが、継続的に来日して顧客企業やパートナー企業とのコミュニケーションをとっています。現在TISが技術的なパートナーとして日本語でのサポートを現地で提供してくれていますが、将来的によりもっと協業を増やしていきたいと考えています。小売りやヘルスケア、金融など米国や他のアジアで成功している業種を中心に、顧客とのコミュニケーション方法を考え直したいと思っている日本企業にサービスを提供していきたいと考えています。