インターネットサービスが増え続けるこの時代のニーズに合わせ、異なるインターネットサービスを簡単に連動させるAPIプラットフォームである「IFTTT」。現在のユーザー数は2000万人で、世界で利用されるサービスとして成長を遂げている。今回はCo-Founderで、Chief Design OfficerのLinden Tibbets氏に話を聞いた。

Uberが到着したら、Amazon Alexaが教えてくれる

―まずIFTTTの提供するサービスについて教えてください。

 異なるインターネットサービス同士を連動させるAPIプラットフォームを開発しています。IFTTTのサービス名の由来は「If This Then That(もしこうしたら、ああする)」です。例えば「Uberが到着したら、Amazon Alexaで通知を送る」といったように、異なるインターネットサービスが自動で連動するように設定できるのです。

 プラットフォーム上では「Applet」というTriggerとActionで構成されているインターネットサービス同士の統合システムを作ることができます。自分の好きなようにAppletをカスタマイズでき、他の人が作成したAppletを利用することもできます。

Linden Tibbets
IFTTT
Co-Founder & Chief Design Officer
Santa Clara大学にてコンピュータエンジニアの学士を取得。ゲーム会社であるElectronic Arts、デザインファームのIDEOでの勤務などを経て、2010年にIFTTTを創業。

―なぜIFTTTを開発したのでしょうか。どんな課題を解決しているのですか。

 今後、社会に存在する全てのもの、サービスがインターネットサービス化されると思っています。そして、インターネットサービス化が進めば進むほど、サービス間での情報の共有、サービス同士の機能の連動等が必要になるでしょう。

 自動車メーカーの例を出して考えてみます。近い将来、車はSpotifyやNetflixなどのコンテンツ、ガレージのリモート操作、家のセキュリティーカメラなど、ありとあらゆるインターネットサービスをつなぐことが可能になるでしょう。ただその際、自動車メーカーが自分たちで他社の異なるインターネットサービスと連動させるためのAPIを一つひとつ開発することは考えにくいですよね。

 一方、車と連動するアプリケーションを作るアプリ開発者は、トヨタ用にAPIを作るだけでなく、日産やホンダなどの自動車メーカーとも連動するよう、それぞれのAPIを作らなければなりません。iOSやAndroidに対応するAPIを、さまざまなブランド向けに作ることは大変な労力であり、この課題を私たちは解決したいと思っているのです。

―どうマネタイズしていますか。

 顧客は、私たちのプラットフォーム上に登録されている全てのブランドから料金をいただいています。ユーザーの利用は無料ですが、将来的にはユーザーからのマネタイズも考えています。

IFTTTにとって日本は5番目にユーザーが多い

―日本展開、海外展開について教えてください。

 幸いにも、多くのグローバル企業と取引が始まっており、いま顧客の50%がアメリカ企業、残りの50%がヨーロッパやアジアのグローバル企業となっています。日本企業はソニーやヤマハ、LINEなど17社が顧客です。

 ユーザーは世界中に約2000万人おり、日本市場はIFTTTにとって5番目に大きい市場です。しかし、今の段階ではチームもまだ小さく、サービスのインターフェイスは英語以外の言語ではローカライズしていません。

Image: IFTTT

―今後の中期的な目標と長期的なビジョンを教えてください。

 日々の生活の中で「どうしたら2つのサービスを統合できるのだろう」と考えながら歩く人はいませんよね。しかし、Facebookのログインボタンで他のサービスにログインすることは2つのサービスを統合することであり、Facebookのログインボタンは本質的には統合システムなのです。ですから、中期的な目標としてはIFTTTの統合システムをFacebookのログインボタンと同じくらい簡易的なものにすることです。

 長期的なビジョンは、テクノロジー市場における課題を全て取り除くことです。現在ユーザーはこのサービスが自分のiPhoneやAndroid、またはAmazon AlexaやGoogle Assistantでもちゃんと作動するか確認する必要があるなど、インターネットサービスが増加すればするほど、専門的知識がより求められます。また、個人情報を漏洩されたり、乱用されて広告のターゲットにされるなど、これらのことを心配しなくてもすむ世界を作りたいと思っています。



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