―事業内容を教えてください。
中小企業やフリーランス向けに請求書を現金化(短期貸付)するサービスを提供しています。通常、請求書を発行してから入金まで30~90日程度かかるところ、Fundboxを利用すれば、すぐに請求書を現金化することができます。
利用方法は簡単です。自社の会計データソフトを接続してデータを読み込み、現金化したい請求書データをクリックするだけ。するとFundboxが取引先データや過去の受注データを自動的に分析し、貸し付けの可否、手数料を即時に判断します。利用者は質問に答えたり、書類を提出したりする必要は一切ありません。
Image: Fundbox
―平均的なローン金額は?
顧客によって金額は異なりますが、1000ドルから7万5000ドルの間です。
―ローンの金利はどのくらいですか?
当社は、金利という形ではフィーをいただいていません。なぜなら請求書に書かれている金額は、もともと利用者のものですから。そのかわりに、私たちは請求書ごとにリスクフィーを頂戴しています。もしも請求書のリスクが高い場合、現金化の承認がおりないこともあります。逆に安全な請求書であれば、低いリスクフィーで現金化が可能です。
リスクフィーについては、当社のサイト上でシミュレーションが可能です。ためしに1万ドルの金額を入れてみましょう。すると、3ヶ月で482~782ドルの手数料がかかるというシミュレーションが出てきますね。
―どんなユーザーがサービスを利用しているのですか。
請求書を発行する事業者であれば、すべてが対象となります。現在の利用者はIT業者に限りません。Webエンジニア、写真家、庭師などのフリーランスも含まれています。
―どうやって請求書のリスクを判断しているのですか?
独自のアルゴリズムで自動判断しています。クライアントが持つ会計システムや支払いシステムから請求書のデータを自動分析しています。人が判断しているわけではなく、100%自動判断となっています。
―請求書のなかに、詐欺が含まれていることもありえます。どうやって見破るのですか。
詐欺にはパターンがあります。膨大な詐欺のケースを人工知能に読み込ませ、パターンを分析して、見破れるようになっています。
―1ヶ月の取扱額はどれくらいですか。
取扱額は開示していません。しかしながら、大手企業との提携が決まっており、これから取扱額はさらに増えていくでしょう。
―請求書を現金化する際の資金はどうやって用意していますか。
提携している銀行やヘッジファンド、プライベートエクイティーファンドなどから資金が出ています。そして当社が顧客からいただいたフィーの一部を資金の供給元に還元しています。
―そもそもこのビジネスを始めたきっかけはなんですか。
当時、まだ手がつけられていないビジネスだったからです。私が起業したころ、BtoC向けビジネスが盛んで、BtoBに手を突ける起業家は少なかったと思います。しかし、金融分野のBtoBビジネスは経済に与える影響が大きいと思い、このビジネスを選びました。また、私の母が起業家で、資金繰りに苦労している姿をよく見ていました。ですから、私がこの資金繰りの問題を解決したいと思ったのです。
―グローバル展開についてどんな計画を持っていますか。
いまは米国のみの展開ですが、今後は、中国やイギリス、オーストラリア、日本への展開に興味を持っています。2016年中には海外展開を始める予定です。海外展開する際は、ぜひ現地の金融関係の企業と組みたいですね。銀行やクレジットカード会社、決済代行業者や会計システムの会社も良いですね。
―今後、既存の金融機関とも競合していくようになります。どう考えていますか。
現在、Fintechは金融市場のうちのわずか2%しか占めていません。金融業界は規制が多く、すぐに変革をすることは難しいですが、着実にFintechが既存の金融業界を破壊していくだろうと思います。
またFintechのスタートアップ自体もどんどんプレーヤーが増えていき、そしてその多くが淘汰されていくでしょう。最後に生き残ったスタートアップは、現在の銀行やクレジットカード会社より大きくなるかもしれませんね。当社もそうなれるように顧客を増やしていきます。
―最後に今後のビジョンを教えてください。
今後も中小企業・フリーランスの資金繰りを助けていきたいと思います。彼らにとって、資金は酸素のようなものです。資金をしっかり供給して、彼らが本業のビジネスに集中できる環境づくりを目指していきます。