水道の流れ、水圧、温度を把握
―どんなサービスを提供していますか?
私たちは家庭の水利用のモニタリングと制御システムを提供しています。家庭内の水栓にハードウェアを取り付けると、その家庭でどのように水が使われているか、すべての情報を把握することができるようになります。流れ、水圧、温度について把握し、水を止めることもできます。
家庭の水漏れを防止
―どんな問題を解決しますか?
1つは、壊滅的な家庭内の水害を防ぐということ。米国では毎年2%程度の家庭が、水があふれるなどして何らかのダメージを受けています。被害規模は総額で130億ドルにも及びます。水害が住宅の保険金請求の主な要因ともなっています。
私たちのシステムは、家庭の水システムをきちんと維持し、こうした被害を防ぐことができます。金銭的な問題もさることながら、家が水害にあうと心理的にも非常に大きなダメージを受けるので、予防することはとても大事です。
もう1つの大きな問題は、水の無駄遣いをなくすことです。米国では家庭の水利用の13%は漏水によるものだというデータがあります。1兆ガロンの水が1年に失われていることになります。都市部は水道代が上昇傾向にあり、家計にも自然保護にもやさしくありません。私たちの技術ならば1分間に1滴の漏水も発見し、防ぐことができます。
Image: Flo Technologies
アルゴリズムで警告を送信
―どのようにAIを使っているのですか?
水の情報から、機械学習のAIでアルゴリズムを割り出します。何か通常と異なる動きがあったときや、水圧が強すぎるなどして被害をもたらす可能性があれば、オーナーに警告をテキストメッセージやメール、電話で送ります。
配管の専門家の父親と起業
―どうしてこのビジネスを始めたのですか。
私の父は30年配管領域で働いていて、配管技術で色々な発明をしていました。私たちは父のことを配管のマッドサイエンティストと呼んでいたくらい、配管に情熱を持っている人でした。
10年ほど前、父は配管産業が保険会社からのクレームに直面しているのを見ており、何千件ものケースで何が原因だったかを突き止める専門家になっていました。それで、新しい世代には新しい解決策が必要だと言っていました。
実際に、私自身も数年前に父親と住んでいたときに、家で壊滅的な水漏れを経験しました。週末に家を留守にしていたとき、私たちの家の2階の水道で1つのコネクターが壊れたのです。多額のお金もかかりましたし、6週間もホテルで暮らす羽目になりました。
その後、父が今の製品のプロトタイプとなるものを作ってきたときに、私は「これこそ未来の配管になる」と衝撃を受け、会社を辞めて起業することにしました。私は結婚したばかりでしたし、せっかくいい仕事も得ていたのに、と父は反対しましたが、説得して保険会社から投資を受けて起業にこぎつけたのです。
―グローバル展開についてどう考えていますか。
米国以外の展開についても考えてはおり、日本やオーストラリアも候補です。保険やハードウェアの販売で協業できる企業とのコラボレーションも考えたいですね。