企業のサイバーリスクを分析し、保険会社と再保険会社のリスクを軽減
―まずはCyberCubeのサービスについて教えていただけますか。
21世紀の企業活動において、サイバーセキュリティは、最も重要なリスクであり、常につきまとう脅威です。そのため、リスクを理解することや、リスクを軽減するために適切な措置が行えているか、状況を把握することが非常に重要です。そして、企業におけるサイバーセキュリティリスクは、年々増加していることから、保険が重要な役割を担うと私たちは考えています。
当社は、保険会社および再保険会社向けに2種類のサービスを提供しています。一つは、法人向けサイバー保険の被保険者が持つリスクを分析するサービスです。アンダーライターは、当社のプラットフォームにアクセスし、被保険者である企業の名前を検索するだけで、その企業のサイバーセキュリティを分析したデータを入手でき、引受の可否を判断する際に活用できます。もう一つは、多くの企業を同時に分析し、破滅的なサイバー攻撃の、バランスシートに対する影響範囲をモデリングするサービスです。
7~8年前は、サイバーリスクは重要視されていませんでした。しかし現在では、米国の保険加入者はサイバーリスクを一番のリスクと見なしています。サイバー保険市場は米国を中心に成長し、ヨーロッパでも市場が拡大しています。アジア地域に関しても、過去1から2年の間で、法人向けのサイバー保険商品が増えてきています。
優れたモデリングと分析には優れた大規模データが必要
―サービスの特徴を教えてください。
当社は、世界最大規模の、脅威インテリジェンスネットワークを運用するシマンテック社からスピンオフした会社です。シマンテック社が保有する大規模なサイバーセキュリティデータに加え、データパートナー24社から得るデータを使いサイバーセキュリティのトレンド把握、企業の分析やモデリングを行っています。優れたデータを大規模で使っていること、これが当社のサービスを際立たせています。
Image: CyberCube
―米国内だけでなく世界規模のデータを活用しているということですね。どういった企業が御社の顧客になっていますか。
現在は、サイバー保険の最大手再保険会社4社の内3社と、世界的な大手保険会社が複数社当社のサービスを使っています。
日本には顧客はまだいませんが、当社のような保険業界のテクノロジー系スタートアップにとって、日本市場は重要で魅力的な市場です。
―どういった意味で日本市場が魅力的なのでしょうか。
日本の損害保険市場は世界的に見ても最大規模で、国内の市場規模も大きいこと、そして、日本の大手保険会社が、欧米の保険会社との業務提携やM&Aを通じて海外事業基盤を拡大していることが魅力です。
日本の保険会社や再保険会社に合わせたサービスを提供したい
―今後、日本での展開を視野に入れているということですね。
日本のサイバー保険市場は、初期段階にあり、日本の損害保険業界にとって数少ない成長市場の一つです。当社は、数ヶ月前から日本市場への進出に向けた活動を始めています。日本の保険会社や再保険会社の関係者と会うために日本にも何回か行きました。
日本の保険会社や再保険会社にとって、サイバー保険商品の収益性を高めるプラットフォームとなるためには、当社がどのように関わればいいのか、これを見極めることがまず第一歩です。今は、日本の保険会社や再保険会社を理解することに注力します。そして、将来的には、日本にもオフィスを設けたいと考えています。