家具のレンタル・リースを誰でも簡単に
―CasaOneを設立した経緯を教えてください。
私はスタートアップを企業後、ベンチャーキャピタルでEIR(客員起業家)を経験し、その後、Bessemer Venture Partnersで投資家として働きました。
私はこの会社を起業するまで、家具における経験や知識はありませんでした。しかし、EIRとして働いていた時、米国の賃貸不動産業界に家具完備の物件を提供するスタートアップが増えていることを知りました。
今日の企業では移転が頻繁に行われ、働く人もそれに伴って移動します。これは特に若い世代に顕著で、彼らの関心は家具の購入よりも、家具完備の物件に向かっています。米国の賃貸不動産で家具完備なものは、住宅では5%を下回り、商業施設では皆無です。
またFF&E(什器備品)は家具完備の物件を扱う不動産管理会社の支出のなかでも大きな部分を占めます。家具支出が大きいのはホスピタリティ産業や消費者にとっても同様です。米国では、毎年およそ2000億ドルが家具の購入などに費やされています。
家具を一度購入すると、転居・事業所移転のたびに高コストで移動させる必要があります。私はこの方式は人が頻繁に移動する時代には機能しないと考えます。実際、世界中で膨大な家具が粗大ごみとなっています。これはエコロジーの観点からも問題です。
車同様に、家具のシェアエコノミーも発展して、家具を借りられるようになれば、と考え、創業に至りました。
―どのようなサービスでしょうか。
引っ越しする時、HPにアクセスすれば、リビング、ダイニング、ベッドルームそれぞれにおいて必要な家具を選ぶことができます。選んだら、当社が搬入、設置をコーディネートします。あとは毎月レンタル・リース料を支払うだけです。
テクノロジーによる家具のリアルタイムでの在庫管理や、グローバルなサプライチェーンも強みです。
私はこのサービスを、個人向け、ビジネス向け、両方で展開しています。個人向け事業をCasaOneで、ビジネス事業はBureauOneというもう一つの会社で展開しています。
―ビジネスモデルはどのようになっていますか。
3つの柱があります。家具のレンタル・リース、家具を運ぶためのロジスティクス、家具の保険・ファイナンスでの収益化を図っています。
家具を誰でも使える公共財に
―現在はどの都市で利用できますか。
サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、シカゴ、ワシントンDC、ニューヨーク、ニュージャージー、フィラデルフィア、コネティカットの10都市で利用できます。
―国際展開の予定はあるでしょうか。
今後は国際的にも展開したいです。最初はロンドンを考えています。
日本も大きな市場です。日本の不動産会社ともパートナーシップを組むことができたらと思います。
―今後のビジョンを教えてください。
入居時にはすぐ使用でき、退去時には簡単に返せるように、家具を誰もがすぐに使える、電気やインターネットと同様の公共財にしたいと考えています。