バーチャルインフルエンサーはストーリーやナラティブで人々を魅了する
―まずはBrudについて教えていただけますか。
Brudは、キャラクターを通じてストーリーを伝える新しい方法を創造し、様々な媒体に繋げる、トランスメディア(メディア横断的コンテンツ)のスタジオとなることを目指しています。
例えば、Marvelのキャラクターとカーダシアン家の中間といったイメージで、ストーリー性のあるキャラクターを生み出し、そのキャラクターを中心にビジネスを構築しています。
―御社のビジネスモデルを教えてください。
収益源は複数あります。当社のキャラクター「Lil Miquela」は、192万フォロワー(取材時)がいるバーチャルインスタグラマーです。「Lil Miquela」は、Samsungのアンバサダーや、Pradaなどアパレル系とのタイアップ、The Coachella Festival(音楽フェスティバル)でホストを担当したこともあります。人間のインフルエンサーと同じように、ブランドとのタイアップや、企業とのパートナーシップから得る収入と、歌手活動、映画やテレビ番組の出演、オリジナルグッズの販売などからも収入を得ています。
リアルに融合した仮想キャラクターが人々を空間コンピューティングに導く
―御社の中期目標と長期的なビジョンを教えてください。
当面の目標は、コミュニティイベントの拡充と、より良いサービスやコンテンツの提供、そしてストーリー性を深め、キャラクターをより魅力的にすることです。
長期的にはキャラクターを、例えばmetaverse(メタバース:コンピューターによる仮想空間)での探検をナビゲートする際にユーザが使うインターフェースにしたいです。つまり、ARなど空間コンピューティングで最初に使うホーム画面的な存在になることを目指しています。人々が、従来のプラットフォームから、新しいプラットフォームに移行する時に、Fandom(ファンダム:大規模なファンコミュニティ Fan+Kingdom)があるキャラクターは橋渡し役を担えるはずです。
現在は、ARなどの空間コンピューティングが浸透した時に、スムーズに移行できるよう、プラットフォームにとらわれない巨大なファン層の構築に注力しています。
―競合はいますか。
アジアには似た会社は沢山あります。ホログラム映像のポップスターがいますよね。日本の初音ミクが特に印象的です。初音ミクはユーザが彼女の声を使って様々なことができます。二次創作を一部認めているビジネスモデルで当社が目指すものとは少し違います。当社は、ストーリー性のあるキャラクターを作り、キャラクターを運用する、DisneyやMarvelのようなビジネスモデルを目指しています。
違う文化に対して支配的にならず、キャラクターのストーリー性を保ちたい
―日本ブランドとコラボレーションしたことはありますか。また、日本で展開する予定があれば教えてください。
日本のブランドでは、m-floのVERBALとデザイナーYOONが立ち上げたAMBUSH®(アンブッシュ)とコラボしたことがあります。
当社は、海外で展開するのであれば、キャラクターのストーリー性が現地の文化に対して支配的にならないようにしたいので、現地の方や様々な分野の方々から学びたいと考えています。
日本には、ゲーム、ライブストリーミング配信やテレビまで、ストーリーを伝える新しい方法を模索している企業がいますし、プラットフォームを持っている企業、流通に強い企業や、技術を持っている企業もいます。私たちは全ての分野でそれぞれの企業に耳を傾け、特に優れた、かっこいいことをやっている人と繋がりたいです。
当社に興味を持ってくださる方がいれば、気軽に連絡してください。是非お話したいです。