Joe Britt
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三菱UFJ銀行 デジタル企画部米州ヘッド
齊藤 健一
シリコンバレーで「金融×IoT」の新サービス開発
―今回の協業の狙いを教えてください。
齊藤:IoTが進化する近い将来に向け、私たちは「金融×IoT」で新たなサービスを開発すべく、Aferoさんとシリコンバレーで協業を始めることにしました。具体的には、例えば、これまで提供の難しかったマイクロペイメント(少額決済)の分野に取り組む他、IoT社会で生まれるあらゆるユースケースを想定し、プロジェクト化を進めていきます。
Britt:IoT社会においては、決済サービスの進化は、間違いなく求められます。MUFGとは、これまで継続して議論を進めてきた結果、信頼できる誠実なパートナーと捉え、協業することになりました。これから、IoTの分野において、新しい決済手段の提供に取り組んでいきます。
―今回の協業でAferoが担う主なポイントは何でしょうか?
Britt:私たちは、セキュリティの水準が極めて高く、導入企業の開発負荷の少ないIoTプラットフォームを提供しています。その為、導入企業が個別にプラットフォームを構築したり、管理する必要がなくなり、商品やサービスの市場投入サイクルを劇的に早くすることが可能となります。このプラットフォームを活用した金融サービスをMUFGと一緒に具体化することが主なポイントです。
―具体的にどんなことができるようになるのでしょうか。
Britt:まず、私たちはマイクロペイメントに着目しています。例えば、自動販売機や公衆の洗濯機決済など、実用的なケースに取り組んでいきます。将来的には、こんなことができるようになるでしょう。アパートの短期賃貸をする場合、賃貸料金を低く抑えておき、ユーザーがエアコンや洗濯機など、利用した分に応じて追加課金できるようになります。逆に、ユーザーはオプションが必要なければ費用を節約できるというわけです。これはあくまで一例ですが、他にも色々なケースが考えられます。
金融は他業態のサービス変化を捉えて対応すべき
―なぜ三菱UFJ銀行はIoTの領域に着目したのですか?
齊藤:私たちの注力分野は、主にはフィンテックですが、それ以外にも他業態のサービス変化に合わせて、どんな金融サービスを生み出せるかと、いつも考えています。日本の技術政策においても、サイバー空間とフィジカル空間の融合が提唱されていますよね。決済サービスも、その融合される新たな空間に、自然と組み込まれることなると思います。そうした近未来の姿を実現するため、Aferoさんのようなパートナーと取り組んでいこうと考えたのです。
―両社の出会いから協業に至る経緯は何でしたか。
齊藤:最初に出会ったのは2年前で、「優秀な技術者集団」という印象を持ちました。マネジメントのJoeさんやShinさんのリーダーシップが素晴らしく、優秀なエンジニアが多く集まっていました。
ただ、正直なところ、当時は金融サービスとどう融合させるか、具体化しきれませんでした。しかし、先ほどお話ししたような環境変化も踏まえ、時間をかけてディスカッションをしていく中で、IoT社会と金融サービスの組み合わせで実現できるサービスの中身と、エンドユーザーのニーズがそれぞれ具体化し、今回の協業に至りました。今はさまざまなプロジェクトの可能性について議論しているところです。
Britt:とても面白い領域です。私もこの分野で、一緒にチャレンジすることが大変楽しみです。
齊藤:金融機関が提供するサービスは、供給者側の視点が先行してしまえば、もう成功することはないと思っています。他業態の変化にアンテナを張り、その変化と連動する形で金融サービスを提供していく必要があります。今後、人とモノが繋がり、あらゆる情報が共有される世界と、人々の行動変化をうまく捉えれば、これまでにない新たな価値をお客さまに提供できると考えています。