どの車にも簡単に導入可能なAPI
―Smartcarを創業する上でインスピレーションとなったことを教えてください。
私がSmartcarを起業した理由は、ビジネス的な側面と技術的な側面があります。
技術的な側面から話しますと、私は所有する車に搭載するアプリケーションを開発しようとしていました。しかしそれが非常に難しいことに気付いたのです。日本、米国、欧州問わず、どの国のOEMでも困難でした。まずソフトウェアディベロッパーに対してのサイトすらなかったのです。今日ソフトウェアディベロッパーは、携帯電話、タブレット、コンピューターのアプリを作れますが、車のアプリも作れないかと考えました。
ビジネス的な側面から言えば、私の気付いた技術的問題を解決することは、自動車業界にとって価値があると考えました。
洗車や内装クリーニングまで、業務時間の短縮を実現
―開発している車のAPIとはどういったものでしょうか。
当社のAPIは、当社のホームページ上でアカウントを作ってAPIキーさえ入手さえすれば、所有する車で簡単に利用できるようになっています。カーシェアリングでも、カーレンタルでも、自動車保険でも、車両管理でも、車に関連したビジネスに携わるソフトウェアエンジニアなら誰でも利用することができます。
サインアップしてから15~20分で、車の場所を特定できたり、遠隔で車をロックしたりできます。その後、その企業が作っている実際のプロダクトやサービスに組み入れます。ほとんどの企業は3~4日で導入できます。我々はAPIを提供することに特化し、その後のサポート等はお客さまにお任せしています。
―具体的にはどんな利用ケースがありますか。
洗車サービスを例にとりましょう。洗車する時には所有者が車で駐車場に来て、車を停めて洗車を依頼します。洗車は1日当たりの回転が多くなればなるほど収入が多くなります。しかし、顧客が洗車を依頼した際に、車を探すのに10~15分もかかってしまうことがあります。当社のAPIを利用すれば、車の場所がすぐに分かります。これで洗車にかかる時間を5分短縮できます。
もう一つの例には、車の内装のクリーニングがあります。これもまた業者が車の持ち主に対し、外へ出て、車のロックを解除するように依頼する必要がありました。その調整に10~15分も余分にかかり、1件依頼があるごとに30分も余分にかかっていました。当社のAPIを利用すれば、1件の依頼にかかる時間を半減でき、結果として依頼件数を倍にすることができます。
車を通して人々の自由を実現したい
―当面の目標と、長期的なビジョンについて教えてもらえますか。
当面の目標は、社内のチームビルディングです。強いリーダーを据え、2020年には人員を現在の倍にしたいと考えています。長期的なビジョンは、車を通して人々の自由を実現することです。米国では、車がないと色々な場所に行けず、成功することは決してできません。もはや車は基本的人権に関わる必需品で、あれば便利な贅沢品ではありません。私達は車に関わる様々な問題をソフトウェアの力で解決します。
―海外展開の構想を教えてください。
現在は米国のみで展開していますが、将来的にはヨーロッパでも成功すると考えています。
日本展開については規制や文化の違いといった課題がありますが、当社のビジョンに共感する日本のOEMと組めればと思っています。