AIや超高速ネットワーク技術、そしてIoTやコネクテッドデバイスなどから得られるビッグデータを活用して、より安全で快適、持続可能かつレジリエンスの高い都市を実現し、人々の生活の質を向上させるー世界中の数多くの自治体がスマートシティ構想を掲げ、大手企業そしてスタートアップと組んで様々な取り組みを行っています。また、自治体の先進的な事例を表彰するイベント、あるいはスタートアップによるピッチコンテストなども世界各地で盛んに開催されています。今回は、スマートシティに関連するテーマを11に分けて、テーマごとに代表的なスタートアップを紹介します。

※本記事はTECHBLITZが配信した「Smart City Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまたは本記事末フォームまでお問い合わせください。

<目次>
スマートシティが都市の諸問題を解消する
スマートシティ、11の注目カテゴリー
1. 都市交通のスマート化
2. MaaS
3. 自動配送サービス
4. スマートパーキング&EV充電インフラ
5. エネルギーと資源の効率運用
6. 都市部でのクリーンエネルギー発電
7. 環境モニタリング&ゴミ処理
8. レジリエンス
9. スマート公共サービス
10. 地域活性化&観光
11. 都市開発シミュレーション

スマートシティが都市の諸問題を解消する

 スマートシティは、既に成熟した先進諸国の都市をより便利に、より快適にするだけではありません。成長する都市が直面するだろう問題の解決にも寄与することが期待されています。国連によると、2050年に世界の総人口は97億人に達し、2018年時点で総人口の55%を占めていた都市人口の割合が、同年には68%にまで高まると予測されています。都市の拡大と都市人口の増加は、環境負荷の増大や住宅不足、交通渋滞といった問題をともないます。また、都市の自然災害に対する脆弱性を指摘する声もあります。このような問題を一気に解消する万能薬は存在しませんが、スマートシティが解決策のひとつになるだろうと考えられてます。

スマートシティ、11の注目カテゴリー

Image: Smart City Trend Report

1. 都市交通のスマート化

 街中に設置されたカメラや IoTデバイスなどから得られるデータを、渋滞解消や事故防止あるいは安全な都市計画設計に活用する事例が増えています。今後コネクテッドカーの普及が進み、車同士(Vehicle-to-Vehicle : V2V)、車と都市インフラなどの間(Vehicle-to-Everything : V2X)で直接通信が行われるようになることで、より快適かつ安全な都市交通の実現が期待されています。

Hayden AI
AIとエッジデバイスによるセーフシティシステム
所在地 Oakland, California, US
創設年 2019年
資金調達額累計 $10.3 M / Seed
出資者 Berkeley SkyDeck, Autotech Ventures, Alumni Ventures Group, etc.
URL https://www.hayden.ai
AIとエッジデバイスを用いて道路交通状況や街の安全を確認するスマートシティプラットフォームを開発。様々なエッジデバイスから送られてくるデータをAIを用いてリアルタイムに解析し、マップ上で表示する。交通事故などの際はアラートが表示され迅速な対応が可能になるほか、事故リスクが高い箇所を事前に予測、都市計画に関わるインサイトを提供するなど、安全で快適な街づくりに役立つ。
Image : Hayden AI HP
Eye-Net
次世代の交通事故防止ソリューション
所在地 Ness Ziona, Israel
創設年 2018年
資金調達額累計 Undisclosed
出資者 Undisclosed
URL https://eyenet-mobile.com/
道路利用者の安全を守る、セルラー通信をベースとしたV2X(Vehicle-to-Everything) 交通事故防止システムを開発。スクーター / バイク / 自動車 / 歩行者などとの街中での衝突の可能性を未然に察し、スマホアプリなどを介して警告を発する。従来の自動車用の前方衝突予測センサーでは予測できない「角を曲がったところ」で起こりえる危険も予知。夜間や悪天候などの悪条件下でも作動する。
Image : Eye-Net HP

2. MaaS

 モビリティと移動を「サービス」として提供する MaaS(Mobility as a Services)は、都市部の混雑を抑制し、CO₂ 排出量の削減を図っていくうえでも重要な役割を果たします。世界中で多種多様なモビリティサービスが誕生していますが、本ページでは、MaaS ビジネスの土台となるプラットフォームを提供するスタートアップと、ルートや移動手段の検索、予約・支払い、そして乗車までをカバーするマルチモーダル・モビリティ・プラットフォームを開発するスタートアップを 1 社ずつ紹介します。

Ridecell
フリートビジネスを支えるバックエンドプラットフォーム
所在地 San Francisco, California, US
創設年 2019年
資金調達額累計 $134.8 M / Series C
出資者 Khosla Ventures, Andreessen Horowitz, Woven Capital, Denso, Sony Innovation Fund, BMW i Ventures, etc.
URL https://ridecell.com/
カーシェアリングやライドシェア、レンタル、ロジスティックス、マルチモーダルサービスなどの事業者向けに、フリートIoT自動化プラットフォームを提供。センサーや複数のITシステムからのデータを統合し、有用なインサイトを提供、車両をリモート制御するとともに、ワークフローの自動化を実現する。
Image : Ridecell HP
Velocia
モビリティ・リワードプラットフォーム
所在地 Toronto, Canada
創設年 2018年
資金調達額累計 $0.1 M / Seed
出資者 Toyota Tsusho Canada, Techstars, etc.
URL https://www.velocia.io/
公共交通機関を含むマルチモーダル交通サービスの利用者にインセンティブを与えることで、自動車による都市交通渋滞の解消を促すMaaSプラットフォーム。たとえば米マイアミでは、自家用車での通勤から他の交通手段(徒歩、自転車、eスクーター、カープール、公共交通機関の利用など)に転換した通勤者に、アプリ経由で仮想通貨Velosを付与。Velosはエコシステム内で使用でき、交通系アプリと連携させることで運賃の割引やライドシェアのクレジットに充当することができる。
Image : Velocia HP

3. 自動配送サービス

 人の移動のみならず、モノの移動もスマートシティの重要な要素です。自動運転ロボットやドローン技術を活用した食品や医薬品、商品の自動配送サービスの実用化、そして実証実験が世界各地で進められています。センサーやレーダーを搭載したコネクテッド・モビリティと都市がデータをやりとりすることで、より安全で確実な自動配送サービスが実現すると期待されています。

Nuro
ラストマイルデリバリーに特化した自動運転ロボット
所在地 Mountain View, California, US
創設年 2016年
資金調達額累計 $1.5 B / Series C
出資者 SoftBank Group, Greylock Partners, Woven Capital, Fidelity Management and Research Company, etc.
URL https://www.nuro.ai
近距離区間の物品配達「ラストマイル デリバリー」に特化した完全無人の自動運転ロボットを開発。Googleの自律走行車(現 Waymo)の開発メンバーが創業。LiDAR、カメラ、レーダーが搭載されており、前方車両の走行状況や歩行者の存在を検知して安全に運転、あるいは停止する。モバイルアプリ上で注文の配送状況を追跡でき、到着後アクセスコードを入力すると解錠できる仕組みとなっている。
Image : Nuro HP
Matternet
ドローンによるオンデマンドのデリバリーソリューション
所在地 Mountain View, California, US
創設年 2011年
資金調達額累計 $31.1 M / Series B
出資者 Boeing HorizonX Ventures, Sony Innovation Fund, Andreessen Horowitz, Swiss Post, Daimler, etc
URL https://mttr.net
ドローンによるオンデマンドのデリバリーソリューションを提供。配達ドローンと、独自のドローン制御&配送システムの開発により、受発注の管理から配送ルートの検索、オペレーションまでを一元管理することができる。荷物の受け渡しやドローンの充電基地局の役割を果たす「Station」を組み合わせ、省人化を実現。飛行距離は1回の充電で約20km、最大積載量は約2kg。医療機関、Eコマース、物流企業などにエンドツーエンドのサービスを提供している。
Image : Matternet HP

4. スマートパーキング&EV充電インフラ

 駐車場を探したり、空きを待っている車が、都市部の交通渋滞を引き起こすとともに、無駄な排気ガスの発生要因になっています。空車情報をリアルタイムで可視化するスマートパーキング技術により、ドライバーのイライラだけでなく無駄な走行をなくし、環境負荷を軽減することができます。また環境負荷の軽減にはモビリティの電動化、そして充電インフラの整備も重要です。下記では、スペースの限られた都市部での導入が待たれるワイヤレス充電とダイナミックチャージング技術の開発に取り組むスタートアップを取り上げます。

JustPark
駐車場のオンデマンド検索アプリ
所在地 London, UK
創設年 2006年
資金調達額累計 $23.1 M / Series B
出資者 LocalGlobe, Index Ventures, BMW i Ventures, etc.
URL https://www.justpark.com/
駐車場を探すドライバーと、駐車スペースの提供者を結びつけるマッチングプラットフォーム。民間および公営駐車場に加え、商業施設、更にはガレージをシェアする個人の駐車場が登録されており、ドライバーはアプリ経由でリアルタイムの空き状況を検索し、予約・支払いまで完了することができる。
Image : JustPark HP
WiTricity
EVのワイヤレス充電ソリューション
所在地 Watertown, Massachusetts, US
創設年 2007年
資金調達額累計 $139.8 M / Later Stage
出資者 Intel Capital, Mitsubishi Corporation, Toyota Motor, General Electric Ventures, Foxconn Technology, etc.
URL https://witricity.com/
MITでの磁界共鳴方式の電力伝送研究をベースにワイヤレス充電ソリューションを開発。自動車メーカーやサプライヤーと連携し、これまで個人のガレージ向けワイヤレス充電パッド、公共駐車場に埋め込むことのできる充電デバイスなどを提供。同社は、移動中のモビリティの充電を可能とするダイナミック・チャージング技術の開発にも取り組んでいる。
Image : WiTricity HP

5. エネルギーと資源の効率運用

 屋内外の公共スペースにおけるエネルギーの効率利用、省エネルギー化もスマートシティに欠かせない要素です。本ページでは、既存建築物のエネルギーの効率向上を支援するソリューションと、IoT を活用し街灯をスマート化する技術を取り上げました。

BlocPower
古い建物のエネルギー性能を分析・改善
所在地 Brooklyn, New York, US
創設年 2014年
資金調達額累計 $75.9 M / Series A
出資者 Goldman Sachs Urban Investment Group, Salesforce Ventures, Andreessen Horowitz, etc.
URL https://www.blocpower.io/
独自に開発したソフトウェアを用いて、既存の建物のエネルギー性能を分析し、各建物に適した省エネプロジェクトを通して、顧客の年間エネルギーコストの削減を後押しする。主なターゲットは、自治体の公共施設や商業ビル。顧客は、頭金なしで、スマート冷暖房・給湯・照明システムを導入でき、導入後速やかにランニングコストの削減を享受できる。機器導入後のエネルギー消費モニタリングやメンテナンスまで包括的にサポート。
Image : BlocPower HP
CIMCON Lighting
スマート街灯制御
(2021年にQuantelaが買収。2023年6月追記)
所在地 Burlington, Massachusetts, US
創設年 2012年
資金調達額累計 $59.3 M / Series C
出資者 Energy Impact Partners, Energy Clean Energy Venture Group, Massachusetts Clean Energy Center, etc.
URL https://www.cimconlighting.com/
IoTセンサーによって街灯を遠隔制御する調光ソリューション。外付けのIoTセンサーとクラウドの管理ソフトウェアによって、街灯や屋外照明をスマートに制御し、エネルギー消費の削減を図ることができる。また照明器具に設置されたコントローラーが、走行車両や気温などのパラメーターを監視し、情報を中央管理ソフトウェアに送信。都市の安全や生活の質の向上に利用できる。
Image : CIMCON Lighting HP

6. 都市部でのクリーンエネルギー発電

 都市で消費されるエネルギーの自給自足、地産地消に貢献する技術の開発も進められています。温室効果ガス排出量の削減にも寄与するこれらの技術は、人口の多い都市部での導入を想定して、性能や安全性のみならず、省スペースであること、静音性やデザインにも配慮がなされています。

Vortex Bladeless
プロペラを必要としない風力発電機
所在地 Madrid, SpainS
創設年 2013年
資金調達額累計 $1.9 M / Unknown
出資者 Techstars, Horizon 2020, Fundación Repsol Entrepreneurs Fund, etc
URL https://vortexbladeless.com/
空気の渦巻き現象と流体力学を応用し、羽なし風力発電機を開発。地面に垂直に埋められた弾力性のある円筒形の柱が振動することで発電する。従来の風力発電機と比較してシンプルな構造であるため、生産コスト、メンテナンスコストを大幅に抑えることができる。軽量、静音で、住宅地での利用にも適し、野生動物にも優しい。風速3mから発電でき、1基につき約100W/hの発電量を想定。
Image : Vortex Bladeless HP
Platio
ソーラー技術を組み込んだ舗装材を開発
所在地 Budapest, Hungary
創設年 2015年
資金調達額累計 $0.6 M / Seed
出資者 Hiventures, Agile Accelerator, Horizon 2020
URL https://platiosolar.com/
高性能の太陽電池を埋め込んだ、再生プラスチックを活用した舗装材を開発。歩道や駐車場、公共スペースの一部に同舗装材を取り入れることで、街灯や広告ディスプレイの電力源、EVの充電にソーラーエネルギーを利用できる。追加的な設置スペースを必要とせず、負荷や衝撃、傷に強い。屋根に設置するソーラーパネルに比べてメンテナンスが容易で、デザイン性にも優れる。
Image : Platio HP

7. 環境モニタリング&ゴミ処理

 オフィスや工場、住宅が密集する都市部には、自動車や発電施設から排出される排気ガス、工場などで発生する廃棄物や廃水、密集した住宅地からのゴミや排水など、環境汚染物源がそこかしこに存在します。テクノロジーを活用した環境汚染対策、持続可能で健康的な社会の実現もスマートシティの重要な柱のひとつです。

Clarity Movement
IoTセンサーを活用し都市の大気をモニタリング
所在地 Berkeley, California, US
創設年 2014年
資金調達額累計 $7.1 M / Series A
出資者 SOSV, HAX, Amasia, etc.
URL https://www.clarity.io/
IoTを活用した大気センシング技術とデータ分析により、高精度な大気質モニタリングソリューションを展開。大気データを可視化することで大気汚染に対する理解を深め、人々の健康に資するアクションを取るよう自治体、コミュニティ、企業を後押しする。微粒子状物質(PM₁ / PM₂-₅ / PM₁₀)、二酸化窒素(NO₂)、総揮発性有機化合物(TVOC)などの測定が可能。世界55カ国、80超の都市で導入されている。
Image : Clarity Movement HP
BigBelly
収集時期・場所を最適化する先進的なゴミ箱
所在地 Needham, Massachusetts, US
創設年 2003年
資金調達額累計 $4.3 M / Unknown
出資者 McCarthy Capital, Massachusetts Capital Resource, Massachusetts Green Energy Fund, etc.
URL https://bigbelly.com/
センサー搭載の高性能ゴミ箱を活用した、都市向けの廃棄物マネジメントシステム。太陽光で稼働するスマートゴミ箱を路上に設置。内部センサーでゴミの収集量を把握し、適宜ゴミを上から押し込むことで通常の8倍のゴミを収容する。ゴミ箱が一杯になると、管理システムに収集タイミングを通知。収集情報を元に、ゴミ箱の配置を最適化することも可能。
Image : BigBelly HP

8. レジリエンス

 レジリエンス(適応し回復する力、あるいは強靭さ)を高め、災害に強い街づくりを進めていくことも大切です。脆弱性とリスクを分析して災害に備えること、そして実際に災害が発生した時に迅速かつ適切な対策をとるために必要なデータが揃っていることが、被害の軽減に直結すると言われています。以下では防災と減災、そしてレジリエンス強化のためのテクノロジーを提供するスタートアップを取り上げます。

Edgybees
ARドローンで災害救助の効率化を実現
所在地 Gaithersburg, Maryland, US
創設年 2016年
資金調達額累計 $19.5 M / Series A
出資者 8VC, Motorola Solutions Venture Capital, LG Technology Ventures, Verizon Ventures, etc.
URL https://edgybees.com/
AR技術とドローンを用いて災害現場の救助活動を効率化するソリューションを提供。カメラやセンサーを搭載したドローンが撮影するライブ映像に、ガス管や水道管などのカスタム情報をタグ付けし、複雑な環境の拡張現実世界をリアルタイムで構築。災害現場に関する情報を正確に把握することでチーム内でのコミュニケーションがスムーズになり、効率的かつ安全な救助活動につながる。
Image : Edgybees HP
One Concern
自然災害の被害状況を瞬時に予測
所在地 Menlo Park, California, US
創設年 2015年
資金調達額累計 $152.3 M / Unknown
出資者 Sompo Japan Nipponkoa, New Enterprise Associates, Sozo Ventures, etc.
URL https://www.oneconcern.com/
機械学習を利用し、地震や洪水、山火事などの自然災害の被害状況を予測・計測するシステムを開発。被害のシミュレーションを行うことで、災害に対し脆弱な地域や構造を認識でき、災害に備えた都市計画の策定が可能となる。また、実際の災害時にはどのエリアがより深刻な被害を受けているかを把握し、迅速な意思決定や効果的な救命救援活動に役立てることができる。
Image : One Concern HP

9. スマート公共サービス

 行政手続きのデジタル化や情報開示、デジタル技術を活用した市民参加の推進など、自治体行政のスマート化も求められています。「GovTech」と呼ばれるこの分野には様々な角度からのアプローチが存在しますが、本レポートでは、市民の声を拾い上げるテクノロジーと、行政の業務効率化を図るクラウドプラットフォームを紹介します。

ZenCity
AIでSNSから「市民の声」を抽出
所在地 Tel Aviv, Israel
創設年 2015年
資金調達額累計 $51.2 M / Unknown
出資者 Salesforce Ventures, Canaan Partners Israel, Vertex Ventures, M12, etc.
URL https://zencity.io/
AIとマシンラーニングを用いて「市民の声」を抽出し、地方自治体に届けるスマートシティ・プラットフォームを開発。地域のインフラ関連情報や、SNSに流れる住民の声を集約し、自然言語処理技術を用いてカテゴライズ。地域やジャンルごとに今話題となっている「ホットワード」として見える化する。地方自治体は、民意を反映した都市開発や公共インフラの改善に活用することができる。
Image : ZenCity HP
OpenGov
自治体行政に特化した包括的なERPソリューション
所在地 Redwood City, California, US
創設年 2012年
資金調達額累計 $128.0 M / Series D
出資者 Andreessen Horowitz, Alumni Ventures Group, Thrive Capital, etc.
URL https://opengov.com/
自治体行政向けのクラウドERPソリューションを提供。使い勝手のよいクラウドプラットフォーム上で、予算の策定から実行、結果確認まで行うことができ、予算編成や執行にまつわる煩雑な作業を合理化。関連データは随時レポート化され、市民もアクセス可能。警察や消防による事件・事故対応件数、図書館の利用状況、電気メーター設置数といった非財務データも取り込み、予算配分の最適化、公共インフラの改善、住民サービスの向上などに役立てていくことができる。
Image : OpenGov HP

10. 地域活性化&観光

 スマートシティ化が地域の活性化につながることが理想です。更に、スマートシティは都市で暮らし働く人々のみならず、観光客にとっても快適な環境を提供します。本ページでは位置情報を活用して観光客にユニークな体験を提供する旅行アプリ、そして地域経済の活性化という観点から、人々の地元での消費を後押しするデジタル地域通貨とリワードシステムを展開するスタートアップ企業を取り上げました。

Colu
仮想の地域通貨を用いてローカルエリアの活性化
所在地 Tel Aviv, Israel
創設年 2014年
資金調達額累計 $20.7 M / Early Stage
出資者 IDB Development, Aleph, BoxGroup, Digital Currency Group, Spark Capital, etc.
URL https://colu.com/
仮想通貨を用いたコミュニティのリワードプラットフォームを開発。同社のアプリを利用し、地域商店で買い物をするとリワードとして地域仮想通貨が付与される。貯めた仮想通貨は加盟店舗での買い物時に利用できる。GPS機能で近くのお店を検索することができ、参加店舗はターゲットマーケティングのツールとしても活用できる。「Shop Local」を後押しし、消費者とコミュニティのつながりを深めることで地域の活性化を促す。
Image : Colu HP
Mappo
旅行者に観光地の興味深い情報や体験を提供
所在地 Tel Aviv, Israel
創設年 2016年
資金調達額累計 $1.8 M / Unknown
出資者 IMPACT Accelerator, Israel Innovation Authority, The Time, etc.
URL https://mappo.world/
位置情報をベースにしたその土地ならではのストーリーなど、旅先での新しい旅行体験を提供する観光アプリ。独自のAIエンジンで、書籍 / ポッドキャスト / 歌詞 / テキスト等のソースをスキャンし、特定の場所に関連する情報や文章の引用など膨大なデータを抽出。その場所について言及している段落を認識し、適切かつ刺激的なコンテンツをユーザーの好みに応じて提供する。
Image : Mappo HP

11. 都市開発シミュレーション

 高精度なシミュレーションやモデリングを通して住民の快適な暮らしを実現する、スマートシティの開発を支援する都市開発・計画ツールも提供されています。特に近年では、デジタルツイン技術を用いて都市をデジタル空間上に再現し、収集されたデータを利活用してシミュレーションを行い、潜在的な問題を予見し、開発計画の最適化を図っていくアプローチが注目を集めています。

UrbanFootprint
都市の未来を高精度にシミュレート
所在地 Berkeley, California, US
創設年 2014年
資金調達額累計 $18.0 M / Series A
出資者 Radicle Impact, Social Capital, Valo Ventures, etc.
URL https://urbanfootprint.com/
将来の都市像のモデリングを高精度かつ簡単に行えるシミュレーションプラットフォーム。自治体などが公開するデータを収集し、独自のアルゴリズムで70超のデータ属性にし、1億以上の区画に細分化。これにより評価したい地域を指定すると、地域の現状や既存インフラ、交通網、ハザードマップなどの情報がマップとして視覚化される。商業施設の建設や都市政策が都市にもたらす影響や効果などもシミュレートできる。
Image : UrbanFootprint HP
Nomoko
デジタルツイン上で変化をインタラクティブに可視化
所在地 Zürich, Switzerland
創設年 2015年
資金調達額累計 $7.7 M / Unknown
出資者 Horizon 2020, Impact51, Comet Labs, etc.
URL https://nomoko.world/
都市スケールの正確な3Dデジタルツインをセンチ〜ミリ単位の精度で生成するとともに、デジタルツイン上に空間アプリケーションを構築するツールを開発。交通量や歩行者の流れ、人々の消費パターンなど、様々なデータソースから得られる多様な関連データをシームレスに統合し、時間の経過や天候の違いなどによって起こる変化を3Dモデルの上でインタラクティブに可視化することができる。
Image : Nomoko HP

※紹介している企業情報は、「Smart City Trend Report」制作当時のものです。
※本記事はTECHBLITZが配信した「Smart City Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまでお問い合わせください。

レポート記事
都市交通や自治体行政のスマート化…スマートシティ関連のトレンドが掴める「Smart City Trend Report」

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