実店舗を持つ飲食・小売店にAIと機械学習による顧客分析・マーケティングのデジタルツールを提供し、クライアントの収益向上につなげてきたPunchh。創業したSastry Penumarthy氏に聞いた。

カスタマーリレーションが成長の鍵

―どのような経緯で創業されたのでしょうか。

 私はSiebel Systems(2006年Oracleが買収)というソフトウェア企業でカスタマーリレーションマネジメント事業に携わったことがありました。そこでのクライアントは、General Electric、AT&T、Wells Fargo、Citibankといった大手企業でした。

 私達が感じていたのは、オンライン販売業者はカスタマー個別の属性や購買履歴に基づいて最適な情報を提供するパーソナライズによってカスタマーの関心を掴むだけでなく、カスタマーにとって真に便利で価値のあるものを提供し、急成長しているということでした。彼らはカスタマーの最初の購入時からその属性やデジタルアイデンティティに加え、利用金額や「どの商品が購入されているか」等のデータをベースにデータドリブンなマーケティングをしています。

 しかし、実店舗を持つ販売業者はオンライン販売業者と違い、それらのデータを取得することは簡単なことではありません。いまだに約90%の購買が実店舗で行われているなか、彼らは購買者が誰なのかなどのデータを取得することができないのです。実店舗を持つ販売業者がEコマースの業者と競争するにはこれは致命的です。我々はこの問題を解決するためPunchhを創業しました。

Sastry Penumarthy
Punchh
Co-founder/VP Strategy
シカゴ大学院MBA修了。ソフトウェア企業で大手企業を対象にしたカスタマーリレーションマネジメントなどを経験。2010年にPunchhを共同創業し、戦略的提携・パートナーシップを統括する。
 

3つのプロダクトで実店舗のマーケティングを支援

―ありがとうございます。では御社のプロダクトについて教えてください。

 われわれのプロダクトは「Punchh Loyalty」「Punchh Offers」「Punchh Acquire」の3つです。(取材時)

 Punchh Loyaltyは、ロイヤリティつまりカスタマーのブランドに対する信頼構築プログラムです。カスタマーへリワードを提供することで、カスタマーがインセンティブを感じると同時にビジネスを活発化させます。カスタマーの様々な行動から利益につなげる手段をわかりやすい形で提供します。Punch Loyaltyでは既存のブランド等がやっている来店または購入時の顧客へのリワード提供だけでなく、売買以外の行動、例えば友人への紹介、インターネットやソーシャルメディアの利用、店舗の呼び掛けるチャリティへの寄付といった行動もリワード対象としています。

 Punchh Offersは、プロモーションやクーポンなどが利益のために機能しているかどうかを追跡し検証するプログラムです。

 Punch Acquireは、オムニチャネルマーケティングや分析を最適化し、カスタマーの商品購入を促進するプログラムです。多くの顧客獲得プロダクトは顧客へのメールの送信やSNS投稿から顧客の購買につながっているのか等はわかりませんでした。そこで我々はこの二つを独自の方法でつなぎ、購買につながっているのか分析しています。また既存のソリューションは既存のカスタマーのみを対象としていましたが、我々はデータを用い、新規のカスタマーにも応用しています。例えば、同じような購買行動をしているカスタマーのデータをもとに、新規で購入したカスタマーにクーポンを発行するというようなことです。

―GoogleやFacebookやSalesforceといった、デジタルマーケティングの代表的企業にないような御社の強みはどこにあると考えていますか。

 先ほどもお話してきましたが、彼らはキャンペーンと実店舗での実際の購買行動をつなげることができません。そこが彼らと私たちの違いです。また競合関係にあるSalesforceですが、Marketing Cloudとはパートナーとして協業しています。

 特定の業種で言えば、レストラン業界などは他社よりも広く深いソリューションを提供できます。

 私たちはマーケティングプラットフォームの中でも、大手企業向けの数少ないプラットフォームです。我々のプラットフォームは2,000以上のツールを利用している企業や、世界中に店舗を持つ企業に利用していただけるものです。これらが私たちの強みです。

日本の小売業界にも注目

―日本市場をどのように見ているでしょうか。

 日本は巨大な市場で、セブンイレブンやローソンなどいくつか大きな小売ブランドがあり、小売業界にはユニークな収益構造があります。当社も日本市場に参入するうえでビジネスパートナーを探しています。例えばEコマースや決済に関するパートナーです。

 競争が激化し、市場環境が激変しているなかで、カスタマーエクスペリエンスやカスタマーリレーションの再構築を目指す日本の販売業者とも話す機会を持ちたいと考えています。



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