Webで記事を読む際、「いいね!」や「ツイート」と並んで見かける「ポケット」のボタン。今回紹介する「Pocket」は、そのポケットボタンのサービスだ。「Pocket」は忙しいときでも簡単にWeb記事を保存でき、あとで読み返せるツール。2007年にサンフランシスコで生まれたこのサービスは、いま世界で2100万ユーザー、1500アプリと連携するまでに成長している。今回は創業者でCEOのNate Weiner氏に、サービスの特徴、日本展開などについて聞いた。

Nate Weiner
Pocket
Founder / CEO
ウィスコンシン大学オークレア校卒。Webデザイナーとして個人事業主で活動していた際に、現在の「Pocket」の原型となるサービスを個人で開発。2007年にPocketを設立し、Founder/CEOに就任。

「あとで読む」機能に加え オススメ記事のレコメンド機能も搭載

―まず「Pocket」のサービス概要を教えてもらえますか。

 「Pocket」は、Web上の情報保存ツールです。Webサイトで面白いと思った記事やビデオなどを「あとで見る」ために、簡単に保存することができます。 「Pocket」で保存したコンテンツは、電車や飛行機の中などオフラインの環境でも楽しむことができます。またスマホやパソコン、タブレットなど、どのデバイスでも見ることができます。

 現在のユーザー数は2100万人で、1500以上のアプリと連携し、これまでに20億もの記事が保存されています。

―ほかにもWebコンテンツの保存ツールがあるなかで、御社の強みは何ですか。

 ユーザーが良質なコンテンツに出会える仕組みがあることです。現在は情報流通のスピードがとても速くなっています。どんどん新しい情報が入ってくるため、Twitterはほんの2~3分、ニュースメディアでも2~3時間で情報が流れてしまいます。どんなに良い情報も気づかずに見過ごしてしまうことがあるのです。

 そこで、「Pocket」では、どれだけ多くの人がそのコンテンツを保存したかがわかるようにしています。保存数が多いコンテンツほど、良質なコンテンツの可能性が高いといえ、ユーザーがコンテンツを探す手助けになっています。また、ユーザーにとってオススメのコンテンツをレコメンドしています。これらの仕組みによって、ユーザーは多くの情報が流通する中でも、良質なコンテンツに出会うことができるのです。

―どうやってユーザーにオススメのコンテンツをレコメンドしているのですか。

 2つあります。1つ目は、ユーザーが保存するコンテンツの傾向をこちらで分析して、好みに合いそうなコンテンツを自動的にレコメンドします。2つ目は、ユーザーは「Pocket」内で友達をフォローすることができ、その友達が保存したコンテンツをレコメンドしています。

―私も「Pocket」でたくさんコンテンツを保存していますが、全部見切れなくて困っています(笑)。これを解決する方法はありますか?

 実は、ユーザーが保存したコンテンツのうち、もう一度見に戻ってくるのは、そのうちの50%程度です。つまり、ユーザーは自分が読む量の倍近くを保存しているわけです。でも、別にそれはそれでいいと思います。何も保存したすべてのコンテンツを見る必要はありませんからね。

2つのマネタイズ方法

―「Pocket」のサービス自体は無料でも使えます。どうやってマネタイズしていますか。

 2つあります。1つ目は、有料版のプレミアム機能の提供。有料版では強力な検索機能や、Web上からコンテンツが消えても閲覧できる永久保存機能などを搭載しています。日本版では1ヶ月500円で提供していますね。2つ目は、スポンサー記事の配信。2016年2月から無料ユーザー向けに、ユーザーの興味に合ったスポンサー記事を配信しています。

―そもそも「Pocket」を始めた経緯を教えてもらえますか?

 2007年、私は米国のミネソタ州で、個人のWebデザイナーとして働いていました。当時はまだアプリが存在しない時代で、趣味でよく便利なWebツールを開発していました。当時、私は興味のあるWebコンテンツを見つけるたび、自分自身にそのリンクをメールで送っていたのですが、リンクを見返すのを忘れてしまったり、リンクがどこにあるかわからなくなったりして、不便に感じていました。

 そこで、まずは自分のためにFirefoxの拡張ツールとして、「Pocekt」の原型となるツールを作りました。すると、それが便利で、他人からの評判もよかったので、ビジネス化することにしました。それが「Pocket」立ち上げのきっかけです。

 私一人で立ち上げた当社も、現在は社員20名に増えました。デザイナー、エンジニア、ビジネス分析のチームがありますが、みんな「Pocket」を毎日使っています。「使って楽しく、見た目も素晴らしい」、そういうサービスを作りたいとみんな考えています。これは当社の重要な企業文化ですね。

ユーザーが良質なコンテンツに 出会える仕組みを作る

―2014年に「Pocket」の日本語版をリリースしましたね。

 「Pocket」にとって、日本はアメリカに次いで2番目にユーザーの多い市場です。うれしいことに、日本の多くのWebメディアに「Pocket」のボタンがついているようです。ユーザーの方も、メディアの方も、どんどん使ってほしいですね。パートナー企業も募集中です。

―最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

 「Pocket」という名前は、フレンドリーで、使えば使うほど便利になるツールにしたいという思いで名づけました。エリア、ユーザー、デバイスが変わろうとも、この方針は変わりません。今後もユーザーが良質なコンテンツに出会える、便利なツールを作っていきます。



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