不動産投資のハードルを下げる
―PeerStreetを創業した経緯を教えてください。
私は不動産専門の弁護士として、不動産業界のシステム全体において大変な非効率性を目にしてきました。不動産の購入者にとっても、賃貸業者にとってもアンバランスな仕組みでした。またマーケットの資金もアンバランスで、不動産投資は平均的な投資家にとって手が届かないのです。
私はテック企業に転身して、効率的なプラットフォームやマーケットが構築されていることを知りました。そこで私は、より良いプラットフォームを作ることを考えました。不動産投資が一般投資家にとって手の届きやすいものにすることです。
通常、平均的な投資家は不動産投資のエクスポージャー(リスクにさらされる度合い)について知ることがありません。不動産投資のプロセスでは非常に多くの仲介業者がおり、彼らが手数料を取ることで不動産の価値が中抜きされ、それが投資家にとって高くついているのです。私は、仲介業者を排することで、投資家が直接投資を行い、投資コストを抑えられるようなプラットフォームを構想しました。
データ解析を駆使したローン商品
―具体的にどういった事業を展開しているのでしょうか。
米国の不動産の規模は世界最大で、非常に大きな金額の資産クラスがあり、ほとんどの投資家にとって魅力があります。不動産投資にはいくつかのタイプがあります。不動産を購入し所有すること、不動産株に投資すること。その他には、担保付きの不動産債務に投資することです。不動産債務投資はとても良いアセットですが、多くの投資家がアクセスできるものではありません。
当社は不動産ローンや不動産債務を集約し、それが一定の品質があるかを確認した上でキュレートします。そして投資家の方にそれらに投資していただきます。
投資家は仲介業者を最小限に、ユニークな資産に直接アクセスでき、より大きな利益を得られます。ローンを貸す業者もまた資金を調達してローンを提供できます。そうした好循環ができあがっています。
当社はデータを非常に重要な要素だと位置付けています。ビッグデータを利用して、ローンや不動産の価値、市場で何が起こっているのかなどを分析しており、これらは投資品質の重要な要素なのです。プラットフォームにローンが出てからもデータを分析することにより、より良いアセットを提供することができます。
ファイナンスや不動産投資のディスラプション
―グローバルでも事業を展開していますか。
直接の国際的なディールとしては最近、欧州系銀行との取引に最終合意しました。これが当社にとって初めての国際展開です。欧州でも事業を拡大していく方向です。
日本も良い市場の一つとみています。日本においても、良い投資家や、ジョイントベンチャーのできるパートナー企業が見つかればと思っています。
―当面の目標と、長期的なビジョンについて教えてもらえますか。
当面の目標は、このまま事業を成長させていくことです。当社は現在、単一家族向け不動産を購入する投資家へのローンのほか、複数のローン商品にフォーカスしています。
長期的なビジョンとして、我々はローンファイナンスや不動産投資のシステムをディスラプトできると信じています。透明性とデータによって、誰もがメリットを享受できると確信しています。