Image: Xmentoys & Orange Deer studio/Shutterstock.com
近年は気候変動対策として、世界的に脱炭素・低炭素の流れと化石燃料離れが続いています。米国でもバイデン大統領の就任により、パリ協定への復帰、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が加速することが見込まれています。激動の時代にあるといっても過言ではない石油ガス業界。今回はその中でも特に注目を集めるテーマを6に分けて、テーマごとに代表的なスタートアップを紹介します。

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※本記事はTECHBLITZが配信した「Oil and Gas Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまでお問い合わせください。

<目次>
変わりゆく石油ガス企業、スタートアップ
オイルテック、注目の6カテゴリ
1. 地中データ分析&資源探査
2. 生産最適化 & DX
3. リスクマネジメント
4. モニタリング・インスペクション
5. CO2 排出量の削減・回収・利用
6. 取引の効率化プラットフォーム

変わりゆく石油ガス企業、スタートアップ

 石油ガス業界には、既存エネルギーの生産や利用における効率化を図りつつ、将来を見越しクリーンエネルギー社会への適応を進めるという、器用な舵取りが求められているといえます。もうひとつの顕著な動きは、データサイエンス、デジタルトランスフォーメーション (DX) 分野への投資や提携です。石油ガス業界には非常に豊富なデータが存在するものの、あまりに複雑で、これまで活用しきれていなかったといわれていますが、人工知能やビッグデータ分析技術の発展にともない、ここへきてデータの力を上流から下流まで、さまざまな工程で利用するケースが目立ってきています。不確実な経済および事業環境のなか、止まることなく変容を遂げていくだろう石油ガス企業や同分野のスタートアップの動きから今後も目が離せません。

オイルテック、注目の6カテゴリ

1. 地中データ分析&資源探査

 石油ガス開発において新たな掘削地点を特定するのは、非常に高い専門知識、多大なコストと時間が必要となります。極めて複雑で判断の難しい地 質や年代などの地中データを、機械学習やデータサイエンスの力を活用、分析・可視化することで、探査や採掘の意思決定をサポートします。また、海底など厳しい環境下での資源探査を支援する技術の開発も進んでいます。

Earth Science Analytics
資源探査活動を支援する AIソフトウェアソリューション
所在地 Norway
創設年 2016年
資金調達額累計 $11.4 M / Series B
出資者 Saudi Aramco Energy Ventures, Equinor Ventures, Sumitomo Corporation, etc.
URL https://earthanalytics.ai
石油ガス開発企業向けに、AIを活用した高精度の地質 / 地層 / 貯留層分析ソフトウェアを開発。「地質学者による地質学者のためのソフトウェア」を標榜し、データサイエンスと地球科学、機械学習を用いて、詳細な地中モデル分析を実現する。
Image : Earth Science Analytics HP
Tenzor Geo
低周波信号を使った海底資源探査ソリューション
所在地 UK (Scotland)
創設年 2018年
資金調達額累計 $0.2 M / Grant
出資者 Scottish EDGE, TechX
URL https://www.tenzorgeo.co.uk
低周波信号を使ったマイクロ地震測定技術で海底資源の探査を支援。人工的に地震波を発生させ、跳ね返ってくるデータから地質構造を読み解く地震探査において、地震計 (OBS) を船舶から順次海底に投下し、低周波信号を聞き取る。従来の地震探査手法よりも、低コスト、柔軟、正確に炭化水素鉱床の位置を特定できる。
Image : Tenzor Geo HP

2. 生産最適化 & DX

 この分野には、最新の工学や化学技術を活用して直接的に資源の回収率向上を実現するソリューションから、フラッキングのための水の安定供給、海底など低温環境下で坑井を温めるヒーターケーブル、パイプラインのスループットを増加させる添加剤の開発など、生産率向上の制約要因を取り除くソリューションまで極めて多様です。さらに、ビックデータや社内に蓄積された「ナレッジ」を組み合わせ最適解を求めるデータドリブンな予測・最適化ツールも提供されています。

Reach Production Solutions
地下資源向けガス圧縮技術
所在地 US
創設年 2010年
資金調達額累計 $32.1 M / Later Stage VC
出資者 Chevron Technology Ventures, Equinor Technology Ventures, etc.
URL https://www.reachps.com
油井やガス田の生産性を回復・向上させるガス圧縮技術を開発。冷却システムによってガスを40分の1まで圧縮させる独自技術に、圧縮率を調整するコンプレッサーなどを組み合わせたスタンドアローンのリフトマシンにより、生産量を最大化していく。
Image : Reach Production Solutions HP
Ambyint
石油ガス業界向け生産最適化AIソフトウェア
所在地 Canada
創設年 2015年
資金調達額累計 $29.0 M / Series B
出資者 Equinor, GE Ventures, Mercury Fund, etc.
URL https://www.ambyint.com
油田に関連する膨大なデータと高解像度データセットをトレーニングデータとして用いたAIで、油田やリフトシステムの運用および製造ワークフローの最適化に関するインサイトを提供。顧客企業は生産量の最大7%増加、オペレーションコストの最大30%削減を実現。
Image : Ambyint HP

3. リスクマネジメント

 石油ガスの掘削、生産現場やインフラ建設現場は危険や予期せぬトラブルとも無縁ではありません。人工知能やデータを活用したモニタリング、リアルタイムアラートにより問題を未然に防ぎ、現場作業員とインフラを守る予測ソリューションの導入が進んでいます。

Urbint
作業にともなう危険性を可視化するリスクマネジメントツール
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $35.0 M / Series B
出資者 Salesforce Ventures, Energy Impact Partners, etc.
URL https://urbint.com
AAIを活用し、現場のリスク予測、作業員の安全を確保するソリューションを提供。採掘や建設作業のタスクを数百種のチケットに細分化、過去の履歴や現場状況、気象データ等を総合的に判断しリスクをスコアリング。ハイリスクの作業を特定し、事前に対策を講ずることが可能となる。
Image : Urbint HP
Osperity Informatics
重工業向けリモート監視ソリューション
所在地 Canada
創設年 2012年
資金調達額累計 $5.8 M / Series B
出資者 Shell Ventures, Texas HALO Fund, etc.
URL https://osperity.com
エネルギーや建設、鉱業会社の現場で働く従業員の安全状況、設備や機器の稼働状況をカメラとコンピュータビジョンでモニタリング。異常を検知するとリアルタイムで監督者にアラートを発する。AIデータ解析による故障予知などにより、点検目的の現場訪問数も半減できる。
Image : Osperity Informatics HP

4. モニタリング・インスペクション

 時間と労力、コストを要するインフラ検査では、ドローンやロボット、IoT 技術の活用が進んでいます。パイプラインなど広範にわたる検査や、プラント内の危険をともなう現場あるいはアクセスが難しい設備の検査において、人間の作業員に代わり困難な作業を担っています。

SkyX
長距離飛行ドローンによるパイプラインのモニタリング
所在地 Canada
創設年 2015年
資金調達額累計 $13.5 M / Series C
出資者 Drone Fund, Almond Tree Enterprise, Kuang-Chi Science
URL https://skyx.com
自律飛行ドローンがパイプラインを空中撮影、AI、コンピュータビジョンと地図情報ソフトを組み合わせたシステムで分析するパイプライン監視ソリューションを提供。プラットフォーム上で、パイプラインの外観状況や時系列変化、問題の特定と予測などを可視化する。
Image : SkyX HP
INGU
小型センサーでパイプライン内部を監視
所在地 Canada
創設年 2014年
資金調達額累計 $6.6 M / Series A
出資者 Energy Innovation Capital, Chevron Technology Ventures, 500 Startups, etc.
URL https://ingu.com
石油や天然ガスなどのパイプライン内を移動しながら点検を行う小型モバイルセンサー。稼働中のパイプライン内を自律的に巡回、液漏れや管の損傷、磁気の異常、堆積物などを検出。8インチ未満の小径にも対応、マイナス20°~プラス60°Cの温度差、最大1,450psiの高圧にも耐える。
Image : INGU HP

5. CO2 排出量の削減・回収・利用

石油や天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて、エネルギーを得る際に排出される CO2。地球温暖化の原因であるとされ、炭素を排出しない社会への転換が急がれていますが、プラントなどから排出される CO2 を直接取り込み、単に貯留するのみならず、それを原料として燃料や肥料に変換する技術、あるいは薬品や飲料、建材などの生産過程で利用するなど、いわば廃棄物から収益を生む技術の開発も加速しています。

Opus 12
化石燃料の廃棄物CO2を原料に 燃料や化学物質を生産
所在地 US
創設年 2015年
資金調達額累計 $0.4 M / Seed
出資者 Techstars, DCVC, StartX (Stanford-StartX Fund), etc.
URL https://www.opus-12.com
化石燃料を燃焼した際に廃棄物として排出されるCO2を原料にエチレン、バイオガスなど16種の燃料や化学物質を生産する技術を開発。小型の化学反応装置で3万7千本分の木に相当する光合成能力を再現。水と電気を用いた低コスト技術で、CO2排出量を削減すると同時に、新たな収入源を生み出すことができる。
Image : Opus 12 HP
Clairion (旧 MercuRemoval)
産業排出ガスから有害物質を除去
所在地 Israel
創設年 2015年
資金調達額累計 Undisclosed
出資者 Undisclosed
URL https://clairion.com
産業用プラントや火力発電所などで発生する排ガスから、独自開発の吸収液剤を活用し水銀などの有害物質を効果的に除去するシステムを開発。水銀の他、硫黄酸化物や窒素酸化物も除去でき、これらは硝酸塩や肥料といった商業的価値の高い副産物として利用可能。
Image : Clairion (旧 MercuRemoval) HP

6. 取引の効率化プラットフォーム

石油ガス資源の取引のライフサイクルに効率化をもたらすプラットフォーム、サプライチェーン全体の透明性や合理性を実現するプラットフォームにも注目が集まっています。リアルタイムのデータを一元管理するものから、ブロックチェーン技術を取り入れたものまで多岐にわたります。

Validere
石油・ガスの品質をリアルタイムで可視化
所在地 Canada
創設年 2014年
資金調達額累計 $25.0 M / Series A
出資者 Greylock Partners, Y Combinator, ZhenFund, etc.
URL https://validere.com
石油や天然ガスの品質をリアルタイムで分析するプラットフォームを提供。IoTデバイスを介し現場から得られるデータや市場情報、外部ラボデータなどを単一プラットフォームに統合。資源の品質をより正確に把握し、物流コストや取引価格を予測、収益を最大化していくことができる。
Image : Validere HP
Data Gumbo
ブロックチェーンで 石油ガスサプライチェーンを効率化
所在地 US
創設年 2016年
資金調達額累計 $15.0 M / Series B
出資者 Saudi Aramco Energy Ventures, Equinor Technology Ventures, etc.
URL https://www.datagumbo.com
石油ガス、建設、製造業界向けに、ブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクトを提供。データを暗号化された分散型台帳に統合することで、取引にこれまでにないスピード、正確性、可視性、透明性、効率性をもたらす。
Image : Data Gumbo HP

※紹介している企業情報は、「Oil and Gas Trend Report」制作当時のものです。
※本記事はTECHBLITZが配信した「Oil and Gas Trend Report」をダイジェストで紹介したものです。レポートをご覧になりたい方はこちらまでお問い合わせください。

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