GoogleやMicrosoft、Intelをはじめとするテック企業が採用する、成果に焦点をあてた目標設定・管理フレームワーク「OKR(Objectives and Key Results)」。GtmhubはOKRフレームワークに則ったビジネス管理・自動化のプラットフォームを提供する企業だ。2021年1月には3000万ドルのシリーズBの資金調達を行った(これまでの資金調達累計は3900万ドル)。エンジニアで、アジャイル開発の経験からOKRサービス提供の着想を得たというCEOのIvan Osmakと、UX/UI担当のJordan Angelovに聞いた。

常にやるべきことにフォーカスできるアジャイル開発から、OKR事業を着想

――Gtmhub設立の経緯を教えてください。

Ivan:私たちは以前テクノロジー企業で勤務していて、その企業はとても早いスピードで成長していました。80名だった社員が3年で1000名に増えるといった状況で、そのときに気が付いたのは「会社が混乱していた」ということです。

 そこで私たちはソフトウェアエンジニアで、アジャイル開発を行っていました。混乱する会社の中で、私たちの開発は機敏で、変化に対応できていました。その会社は買収され、私たちはその1年後に退社して起業するのですが、そのとき、会社全体が自分たちのエンジニアリングと同じように行動する、OKR活用のアイデアを思いついたのです。

 アジャイル開発では、3年先の計画を立てることはありませんが、目の前のシンプルな課題を設定して解決することを短期間で実施します。それによって変化に素早く対応できるのです。  

Ivan Osmak
Gtmhub
Co-Founder & CEO
大学(Vienna University of Economics and Business)在学中からフリーランスでプログラム開発者をおこなっており、Progress Softwareで「Sitefinity CMS」の製品開発担当副社長やVP Engineering、VP Technologyなどを歴任した後、2015年にGtmhubを創業しCTOに。2016年からCEOに。

Jordan:私たちが起業したころは、OKRはそれほど注目されていませんでした。今ではいろいろなツールがありますが、私たちは競合よりも1〜2年先行して始めることができました。

Jordan Angelov
Gtmhub
Co-founder, Head of UX/UI
Gtmhub共同創業者のひとりで、現在はUX/UI をリードする立場。日本(鎌倉)での居住経験あり。

170以上のシステムと連携し、企業のデータ収集・分析を自動化

――GtmhubのビジネスモデルはSaaSですか? プロダクトの特徴は何でしょう。

Ivan:収益モデルはシンプルで、月額制のサブスクリプションモデルです。私たちはプロダクト開発に専念しています。コンサルティングやトレーニングを希望している企業へは、外部のパートナーと提携してサポートしています。 Jordan:Gtmhubには、会社の運営を円滑に行うための基本的ツールがそろっています。個人やチームが設定した目標をわかりやすく示すダッシュボードを備えており、経営者や管理職、すべてのメンバーがその達成状況を確認できます。各メンバーは日々の業務が正しいかどうかに気がつけるのです。また、10名程度のスタートアップから、数万人規模の大企業まで同じように使えるスケーラビリティも備えています。

――OKRツールは多くありますが、競合優位性は何でしょうか。

Ivan:組織に必要なことは、従業員全員が正しい情報を知ることです。週単位で目標の達成状況を確認するためにさまざまな作業を行っている組織は多いと思います。GtmhubはSalesforceやGoogle Analyticsのデータベースをはじめ、販売、会計、開発、分析など約170以上のシステムと連携が可能です。これによってデータ集計の必要がなくなります。もし、2万人の組織でこれらのデータ連携作業を人力で行っていたら、かなりの労力です。つまり、多くの時間を節約できるのです。

 時間の節約をするだけでなく、状況確認のうえ判断を行い、それが正しいかどうかを評価することができます。これまでは週次で行っていた状況確認も、30分〜1時間単位で行われることになります。つまり、短いサイクルで状況を確認してやるべきことを判断できるのです。

 競合と根本的に異なる点を挙げるなら、より「一瞬」での判断ができるということになります。私たちは20年ほど前からさまざまなデータの処理に取り組んでいて、すべてを自動化したいと考え、あらゆる摩擦や障害を取り除いた結果を提供したいと考えているのです。

現在はスケールアップのフェーズ。4年連続3倍成長を目指す

――2020年は2019年の3倍成長したと聞きました。その要因は何でしょうか?

Ivan:3年連続で3倍成長をしています。それほど大きな会社ではありませんので、大企業に比べると3倍にするのは容易です。しかも扱っているプロダクトはソフトウェアですので、物流など必要なく、スケールアップが簡単です。また、先ほどJordanが言ったように、市場への投入が早かったというのもあります。

 そして、2020年にはパンデミックが起きました。多くの企業がデジタル変革に取り組んでいましたが、それは3年後、5年後を見据えていたかもしれません。しかし、皆が一気に自宅で仕事をするようになったのです。多くの企業で皆が集まる会議が減り、社員が何をしているのかがわらなくなりました。そこで私たちの市場も加速しているのです。

――現在抱えている課題はありますか?

Jordan:現在はチームを拡大することです。我々のビジョンに賛同するメンバーを見つけなければなりません。また、大企業の顧客に対応する体制を構築するという課題もあります。

Ivan:我々はスケールアップの段階にあります。私たちはこれまでの活動から、お客様が何を求めているかを理解しました。そして改善すべき点もたくさんあります。お客様からのリクエストは、毎週200件も届いています。

 ですから、今回の資金調達によって研究開発チームの人員を50名ほど増やしてこれに対応します。販売組織も拡大していきます。今回得た資金は、革新的な最高の製品をお客様に提供すること、お客様に成功していただくことに注力するために活用します。

――現在はグローバルに事業を展開していますか? また日本への進出は考えていますか?

Ivan:およそ80カ国で利用されています。アメリカが最も多くユーザーの30%を占めています。次にEUのドイツやフランス、3番目はイギリスです。Jordanは創業時に日本に住んでいたので、日本については彼が詳しいです。

Jordan:日本にも顧客はいますが、アメリカに比べると非常に少数です。私は日本への進出は難しいと考えています。日本以外の地域は、翻訳するだけで参入できますが、私は多くの企業が日本市場で失敗するのを目の当たりにしてきました。製品だけでなく、マーケティング、セールス、カスタマーサービスも含めて真剣に取り組まなければならないと考えています。

Ivan:日本は期待される文化が他の地域と異なるため、ビジネスの大部分を引き受けて、市場に働きかけてくれるパートナーが必要だと考えています。

――今後の展望を教えてください。

Ivan:私たちは自身のビジネスも計測・評価していますので、2021年も前年比3倍の成長が可能だと考えています。長期的なビジョンとして、私たちが実現したいのは、Gtmhubを使えば、その企業に何が起きているかをより的確にアドバイスできるようすることです。

 例えば、Googleマップで目的の経路を検索すると、最適なルートを示してくれますね。Gtmhubでは、機械学習やAIを使って、たとえば「企業がコストを削減したい」と考えているなら「そのために3つの手段があります」と示すなど、ビジネスがどのように運営されているかを把握し、より効果的に経営するためサポートができるツールになることを目指しているのです。



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