【東南アジアVC】主役は起業家。「シリコンバレー式」で東南アジアスタートアップ の成長を加速

【東南アジアVC】主役は起業家。「シリコンバレー式」で東南アジアスタートアップ の成長を加速

South East Asia / Singapore / VC / Golden Gate Ventures
2020/02/26
2011年の設立以来、シンガポールを拠点に東南アジアのスタートアップを支援するGolden Gate Ventures。45社以上への投資実績があり、投資先は7カ国に及ぶ。シリコンバレー経験者3人が創った同社は、シリコンバレーのよいところを東南アジアに持ち込み、現地の起業家から厚い信頼を得ている。東南アジアのエコシステムの今、そして、スタートアップは日本に何を期待するのか、今回はFounding PartnerのVinnie Lauria氏に東南アジアのインサイトを聞いた。

多様性が成功の素

―Golden Gate Ventures(以下GGV)は、東南アジア投資におけるVCの先駆け的存在ですが、他のVCとの違いを教えてください。

 当社の創業メンバーは3人共シリコンバレー経験者です。例えば、シリコンバレーでは、ライバル企業のメンバーと飲みに行き仕事の話をすることは珍しいことではありません。投資、雇用、顧客についてなど何でも話題に上がります。こうした関係性は、シリコンバレー以外ではみかけません。シリコンバレーで浸透していた、開放的で透明性が高く、包括的なやり方が、頭の回線を組み替え世界の見方を変えます。

 これがシリコンバレーの魔法であり、機会を広げています。私たちは、起業家が最も重要な存在だというアプローチに徹し、シリコンバレーの魔法を東南アジアに持ち込み、企業の育成に関わりたいと考えています。この考え方が他社との違いの一つです。

 他には、当社のダイバーシティに富んだチーム構成も他社とは違う点です。チームメンバー18人は、東南アジア諸国のローカルメンバーを含むアジア出身者を主に、アメリカやヨーロッパ出身者で、国籍は8カ国です。メンバーがダイバーシティに富んでいる点も、人種のるつぼであるシリコンバレー式です。シリコンバレーの起業家のうち、51%が米国外の出身者で、GoogleやFacebookなど、大企業の共同創設者の中には米国外の出身者が最低でも1名は含まれています。バックグランドの異なるメンバーが、同じ問題に取り組むと、異なるソリューションを考え出します。これが、シリコンバレーの魔法を創っている要素の一つだと思います。

 異なるバックグランドを持つ多国籍メンバーが、それぞれの視点から同じ課題に取組む、これがGGVです。

Vinnie Lauria
Golden Gate Ventures
Founding Partner
高校時代よりソフトウェア開発者として活動。ボストン大学にて、コンピューターエンジニアリングの学位を取得、経営学も学ぶ。米国シリコンバレーにて、ロケーションベースのチャットサービスを提供するMeetro設立後、フォーラムのホスティングプラットフォームLeforaを設立し10万以上のコミュニティを持つまでに育てた実績がある。Lefora社は、米国カリフォルニア州に本部を置く、オンラインフォーラムネットワーク大手のCrowdGather社が2010年に買収した。10,000人以上のメンバーを持つ、シリコンバレーNew Tech Meetupの設立にも関わる。2011年にGolden Gate Venturesを共同で設立、創業パートナーに就任。
 

未来を予測するデータの使い方

―投資先の選定プロセスにおける、判断基準についてお話しください。

 最も基本的な基準は、東南アジア特有の企業であることです。これは、自分たちの実体験から学んだことの一つで、例えば米国企業、または米国内のユーザーを対象とした製品をローンチするのであれば、米国で起業すべきです。東南アジアで起業していないスタートアップから売り込みを受けることが多いので、あえてこれを最初に持ってきました。

 米国のVCと同じように、1000万〜3000万ドル程度の規模で投資するスタートアップに対しては、適切な範囲で調査を行います。調査で最も重視しているのが、創設者やマネジメントがどういう人物なのかということと、起業した理由です。彼らのバックグランドや、市場に何をもたらすのか、そして、市場の勢力図にどうフィットするのか。こうした定量化ができないことの確認に多くの時間を費やします。

 投資先の発掘には、データを使うこともあります。例えば、2年前にPAPERというインドネシアの企業に出資しました。PAPERは、中小企業向けにインボイス・ファイナンシング・プラットフォームを提供しており、中小企業がサブスクリプションの回収に利用している決済会社から情報を得ていました。PAPERの創業者に、「顧客の中に、成功している企業がいたら教えて」と聞いてみたところ、1社教えてくれました。その会社が回収している金額を確認してから、当社からアプローチしました。この企業は、意図的に資金調達はしていなかったそうなので、VCからの突然のアプローチに驚いていましたね。

 GGVには、GGV Brainと呼んでいる内部データがあります。ここには、手作業で入力した企業情報に、タグ付けし分類した、3,000以上の情報が登録されています。それと、グローバル展開している民間企業から購入したデータベースを活用しています。

 中国では消費者はオンラインまたは店舗のどちらで製品を購入しているのか、Eコマースと店舗の割合や、その比率が同じになったのはいつなのか、その当時どういった事業を始める企業があったのか、というような情報を7年前から現在まで、データセットとして得た上で、どの企業が現在も順調なのか確認します。

 例えば、ソーシャルコマースへの投資は長い間避けてきましたが、2019年初頭にソーシャルコマース企業に投資を行いました。これは、データセットが機会だと示していたからです。データセットを使い発掘した投資先は成長する確信がありますので、他社に出し抜かれる前に会いに行き、会ってから24時間以内にタームシートを渡し、1週間以内には銀行口座への振込を完了しています。

後編はこちら

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