プロジェクトに合わせてフリーランサーを編成し、効率的なソフトウェア開発を行えるプラットフォームとして注目されるGigster。2018年7月からは電通国際情報サービスの子会社であるISIDアメリカとの提携、2019年7月には電通日本本社との提携も始めた。CEOのChristopher Keene氏に聞いた。

(2021年にIonic Partnersが買収。2023年6月追記)

大企業のソフトウェア開発をシリコンバレーの速さで

―Gigsterはどのような仕組みの開発プラットフォームでしょうか。

 優秀なフリーランサーのグローバルなネットワーク、SlackやGitHubやアマゾンウェブサービスなどのような最新のコラボレーションツールを駆使して、クライアントの開発をシリコンバレーの速さで実現します。目指すところは企業のイノベーション力を高めることです。

―競合と比較して、御社の強みはどこにあると考えていますか。

 当社は開発に必要な人材を通常なら数週間から数か月かかってしまうところ、2日で編成できます。これはユニークで我々にしかできないことだと思っています。

Christopher Keene
Gigster
CEO
スタンフォード大学でコンピュータサイエンスを学び、ペンシルベニア大学ウォートン校でMBA。マッキンゼー&カンパニーを経て、1991年にカリフォルニアに渡りソフトウェア会社を起業、1999年にIPO。他にも数社のソフトウェア会社の経営を経て、2018年10月に現職。
 

ISIDと業務提携

―御社は電通国際サービスの子会社であるISIDアメリカと業務提携しましたね。どのような事例があるでしょうか。

 一つには、キヤノンUSAとの協業で、「RAISE Photography Community」アプリがあります。これはプロの写真家によるコミュニティアプリで、登録すれば写真家の撮った数多くの写真を閲覧できます。写真はすべてタグ付けされ、写真をクリックすれば撮影に使用されたカメラの種類まで判明します。コミュニティを通して、光や構図など撮影技術に関することまで学べます。

 当社はRAISEアプリの開発を手掛けています。50種類以上のコンピュータビジョンモデリングを活用してタグ付けしており、現在も新たなモデリングを構築中です。

 当社が開発を手掛けるアプリの半数以上は、人工知能(AI)、機械学習、コンピュータビジョン、自然言語処理を活用しており、開発したアプリはクライアントのカスタマーエクスペリエンス戦略を促す存在となっています。

製造業のデジタルトランスフォーメーション

―御社は2019年7月に電通日本本社と共同で、ジョイントベンチャーのGNUSを設立しましたね。

 GNUSは日本にフォーカスした事業で、Gigsterのプラットフォームを活用しながら、日本語を話せるフリーランスのソフトウェア開発者・デザイナー・プロジェクトマネージャーのネットワークを構築しています。電通の一事業であり、電通の広告事業担当者はクライアントに、GNUSのネットワークを活用してクライアントのイノベーションを進めることや、クライアントの消費者を満足させるようなアプリを開発することを提案できます。GNUSにはシリコンバレーのノウハウと日本人フリーランサーのネットワークがあります。

―日本では今後、どのように事業を拡大していこうと考えていますか。

 「デジタルサービスも進めていかなければならないが、ノウハウがない」というメーカーと提携していきたいです。

 また長期的には、ソフトウェア開発の他にも、マーケティング、カスタマーサクセス、ITオペレーションなどに関わる複雑なプロセスをGigsterのプラットフォームを通じて改善していければと考えています。



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