Image: Gigster
フリーランスのソフトウェア開発者とプロダクトマネジャーのネットワークを持ち、オンデマンドでトップクラスの開発チームを提供するGigster。ソフトウェアを開発したい企業の人材不足に応じる一方で、開発者たちに好きな場所で必要な時に働く新しい働き方も提供する。CTOで共同創業者のDebo Olaosebikan氏に聞いた。

Debo Olaosebikan
Gigster
Co-founder & CTO
コーネル大学物理学の博士課程から、2014年にGigster創業。

ソフトウェア開発の人材不足に対応

―どのような問題を解決しようとしているのでしょうか。

 今やあらゆる企業がソフトウェア企業になりつつあるわけですが、同じ課題に直面します。開発すべきソフトが多すぎて、それを実現するための人材が足りないのです。Gigsterはソフトウェア開発におけるフリーランスのトップ人材のネットワークを提供し、企業の需要に応えられる仕組みを作っています。Uberが運転手、Airbnbがスペースに対して提供しているのに似ていますね。

 こんなソフトが欲しいというアイディアを持っている企業がGigsterのサイトを訪れれば、需要に合ったエリートのソフトウェア開発者とプロダクトマネジャーがオンデマンドでつきます。Gigsterは最適な人材のマッチングを手がけ、ソフトウェアが信頼できて効率的に運用されるように手助けができます。

 Web、モバイル、機械学習やAIの3領域に関して、ゼロからソフトを構築することもできますし、既にあるアプリケーションに追加の開発をすることもできます。バグを見つけてというニーズではなく、たとえばiOSのアプリはあるけどアンドロイドバージョンを作りたいとか、アプリはあるけどまだ機械学習を導入していなくてもっとスマートにしたいといったニーズに対応することができます。開発後の改善にも関わり続けられます。

Image: Gigster

プロジェクトマネジメントも対応

―どのようにプロジェクトを管理しているのですか?

 ソフト開発は、予算内で納めることや、期限内に終わらせることが非常に難しい仕事です。我々はプロダクトマネジャーがついて、こうしたマネジメントも含めて提供しています。問題が発生しないように予防すること、発生したときに何が問題だったのか突き止めて解決すること、こうした全体管理の責任も負います。固定した値段でアウトプットを保証するのは極めてユニークだと思います。

 そもそも中には、当初解決したい問題も使いたい技術もわかっているけれど、実際に何が必要なのかが明確ではないという企業もあります。こうした顧客に対して、AIでどんなことができるかを説明したり、一緒に考えたりする創造のためのセッションも提供しています。「どうしてこのタスクが並んでいるのですか? これは本当に必要ですか? ビジネスの目的は何でしたか? どうしたらより早く、より良く実現できますか?」といったことを問いかけ続けることにも価値があります。

―どのようにサービスの質を担保していますか?

 Gigsterのネットワークに入るのには厳しい審査があり、長い順番待ちとなっています。面接を通過してからも、信頼を得るためにレベルアップしていきます。こうした厳選されたメンバーの中から、過去の経験、スキル、誰と働いたことがあるかといったことから顧客のニーズに合うチームを作っています。

 競合はアクセンチュアやデトロイトなどのコンサルティング企業だと思っています。彼らと比べた我々の強みは、スピードの速さと最新の技術を使えること、データが集まれば集まるほど開発の改善がみられるところではないでしょうか。

自身の職探しがきっかけ

―どうしてこのビジネスを始めたのですか?

 2012年までコーネル大学で物理学の博士課程にいました。そのときにソフトウェアのスタートアップを作っていたのですが、これに取り組むためにシリコンバレーに引っ越しました。ところが、この時の収入は月600ドル。ベイエリアで暮らすには十分ではないし、これが私の市場価値ではない、正規の仕事を得られればもっと稼げると思っていました。

 でも一方で、本当にそうか? どうやったらそんな仕事が得られる? サイトに登録する? 友達にメールする?と考えると、サイトにプロフィールをアップして、他の人と競争するのがしんどく感じました。

 そのときに、あるプロジェクトで現在のCEOで共同創業者のRogerに会いました。彼と1年半一緒に働く中で、一緒に様々な優秀な開発者ではあるけど市場とのアクセスがないという人はたくさんいるのではないかと、Gigsterのもとになるアイデアが出てきました。素晴らしい開発者たちが集まるプラットフォームを作れれば、ソフト開発をより効率的に進めることもできるようになるし、新しい働き方を提供することもできると考えました。

ソフトウェアをユニバーサルに

―今後の展望を聞かせてください。

 ソフトウェアが世界を引っ張っていくと思っているのですが、一方で、ソフトウェアへのアクセスは非常に不平等なのが現実です。我々の夢は、ソフトウェアにアクセスしたい人すべてにアクセスができるようにすること。電気が発明されたときに、最初は使える人が限られていたのがだんだん広まっていったように、ソフトウェアもユニバーサルになっていくと思うんです。将来、たとえば私の母がコンピューターに話しかけるだけで何かを作ることができるくらい、個人にも行き届くような世界を作りたいですね。

 もう1つは、9時から17時まで会社に座っているような働き方から、タイのビーチだろうが自宅だろうが、どこでも好きな場所で、必要な時に働ける働き方をして、生み出した価値だけ得ることができるという新しい働き方をもっと多くの人ができるようになる世界も作っていきたいです。短期的には米国以外にも私たちのツールとネットワークを広めたいです。ISIDと提携をはじめましたが、日本企業との他のパートナーシップも歓迎します。



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