FanAIはeスポーツ分野やエンターテインメントなどの分野で、オーディエンスのオフラインアトリビューション分析を可能にしたプラットフォームを提供する企業だ。今回はFounderのJohannes Waldstein氏に話を聞いた。

デジタルオーディエンスの消費を可視化

―まずはFanAI設立の経緯を教えていただけますか。

 FanAIは、私にとって設立5社目となるスタートアップで、大規模な小売業向けに消費者のデータ分析サービス等を提供するdunnhumbyでの経験から着想を得ました。デジタルオーディエンスを対象に、dunnhumbyが提供するアトリビューション分析プラットフォームと同様のデータ分析ができたら「凄いな」と思ったのがFanAI設立のきっかけです。

 設立時からスポーツやエンターテインメント分野での展開を考えていましたが、まずは特に急成長しているeスポーツに特化し、2016年にサービスをローンチしました。2019年からはスポーツとエンターテインメント分野などで対象を広げています。

Johannes Waldstein
FanAI
Founder
Thomas Aquinas Collegeにて哲学、歴史、数学などリベラルアーツを学ぶ。2003年にチェコ共和国で、プリペイドギフトカードのLife Style Cards SROを設立。dunnhumbyのProduct Managerなど、企業に務めながらデータやデータ分析分野のスタートアップを複数社設立。2016年にFanAIを設立し、CEOに就任。
 

実際の消費データを使い、eスポーツのデジタルオーディエンスを分析する唯一のプラットフォーム

―御社のプラットフォームでは、具体的にどういったデータを提供しているのでしょうか。

 当社のプラットフォームでは、eスポーツのチームリーグ、ゲームパブリッシャーやスポーツ団体から得たデータを独自のアルゴリズムを使い、人口統計学的属性や心理学的属性を加えデータ価値を高めています。そして、当社の一番の特徴は、このデータをリテーラーに利用してもらえる点です。

 当社の顧客は、複数のスポンサーシップやデジタルマーケティングキャンペーンを行っている大企業で、例えば、eスポーツの視聴者の氏名、連絡先、年齢やデバイスIDなどのデータに、過去12ヶ月に顧客の商品をどれだけ購入したかと言った、実際の消費データをマッチさせ、分析データとして提供しています。最適なセグメント生成や、異なるオーディエンスの比較、スポンサーシップが商品購入にどれだけつながっているか、購入場所は実店舗またはオンラインストアか、モバイル端末が使われているかなどをデータで把握することができます。

 また、ファン層の理解を深め、効果的なターゲティングと適切なコンテンツ提供を目的に、主催者やゲームパブリッシャーなどにも、当社のプラットフォームをご利用いただいています。新規スポンサーシップの獲得や、既存スポンサーに対するパフォーマンス報告に当社のデータが活用されています。

2021年には日本を始めとするAPAC地域に本格参入

―現在はアメリカ国内での展開のみですか。

 既存顧客のほとんどが米国をベースにしていますが、日本の大手ゲームパブリッシャーのカプコンや、韓国やヨーロッパにも数社ですが顧客がいます。

―アジア市場への本格参入もお考えですか。

 アジア市場は、ゲームコンテンツ数もゲーマー人口も多いです。そして、特に若いゲーマー人口が多く、モバイル志向が強いです。加えて、2019年11月に行ったシリーズAで、丸紅が当社のリードインベスターになり、中国のファンドも入ったため、日本、韓国、中国とその他のアジア・パシフィック諸国を重視していきます。そして、2021年までに、アジア・パシフィック市場への本格参入を目指しています。



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