編集部からのお知らせ:東南アジア圏の有望スタートアップ情報をまとめた「Southeast Asia Startups 50」を提供しています。こちらからお問い合わせください。
Eコマースやフィンテック、ヘルスケアに注目
―Open Spaceは東南アジアのスタートアップに投資しています。どんな業界に注目して投資していますか。
東南アジアは非常に大きな市場です。言語や規制が多様であるという難しさもありますが、Eコマースやフィンテックが広がる可能性が高く、私たちはこうしたスタートアップが成長するお手伝いをしています。
―ユニコーン企業は今後どんどん出てきそうでしょうか。
ユニコーンになるかどうかは重要ではありません。すべての会社が巨額の資金を調達する必要はないですからね。
とはいえ、どの業界にもユニコーンが生まれる可能性はあります。特にヘルスケア業界は大きな期待ができます。ちょうど投資先のHaloDocというスタートアップは、6500万ドルの資金調達をしました。農業も今後大きな期待ができますね。
People、Product、Exitを重視
―東南アジアではどんなスタートアップが成功しますか。
一時期、たとえば米国でのヘルスケアシステムを見て、それを東南アジアで試してみようという動きがありましたが、根本的にビジネスモデルが違うということが分かりました。結局、現地市場を理解し、新たなモデルを作ることが必要で、Go-Jekもそうやって成功しました。
私たちはPPEというフレームワークでビジネスを考えていて、はじめのPはPeople。チームが優れたビジネスモデルを考えられる必要があります。次のPはProductが十分大きなマーケットを持っているか。そして、最後はExit。出口戦略を考えられるかですね。
シンガポールは博士号の保有者も多く、本質的な研究も進んでおり、インキュベーション施設もあります。こういったものでイノベーションが促進される機会が東南アジアにはあると思います。
専門家が集まったフラットな組織
―他のベンチャーキャピタルと比べた強みはどこにありますか。
フルタイムのデジタルマーケターや人事の専門家などのスタッフがタイやインドネシア、ベトナムなどに常駐しています。タイにはタイ人の、ベトナムにはベトナム人の現地に精通したスタッフがいることも強みです。
私たちは「潜在能力開発」と呼んでいて、システムの立ち上げや人材の採用プロセス構築などをお手伝いします。コンサルティングと呼ぶ人もいるかもしれませんが、私たちは実際にプロジェクトの成功に責任を持っています。
―どのようにベンチャーキャピタルを運営していますか。意思決定はどのように行なっているのでしょう。
今は私とFounderのShaneがポートフォリオを見ていますが、メンバーも増えてきて次世代の育成もしています。1人の人間が全てを知っていると思い込むことは間違いですし、効率がいいとは言えません。メンバーは特定の専門を持っています。たとえばEコマースの専門家の中でも、女性向けEコマース、フィンテックの中でもインドネシアのフィンテックに精通しているメンバーなど、私より詳しい領域を持っている人たちがいます。
私の意見は他のメンバーよりも強いかもしれませんが、それは私がFounderだからではなく、他のメンバーより経験を重ね、多くの事柄を見ているからでしょう。私はヒエラルキーよりも個人のインテリジェンスの強さが重要だと考えています。ですから私たちはとてもフラットな組織を心がけており、我々が自身を「OpenSpace」と呼んでいる理由でもあります。
コーポレートVCにも注目
―CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、特に日本企業についてはどう見ていますか。
CVCは単に経済的なリターンだけを見ているわけではなく戦略的で長期的視野で見ているので、エコシステムで非常に重要な役割を果たしていると思います。プロダクトや物流を共有できる可能性もあります。
とりわけ日本企業は長期的視野を持ち、思慮深い印象ですね。日本企業は意思決定に時間がかかりますが、その分、スタートアップへコミットするため、とても素晴らしいと思います。
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