スタートアップ・エコシステム拠点形成に取り組む京都府と、一般社団法人 京都知恵産業創造の森、TECHBLITZが開催したオンラインイベント「スタートアップ・アライアンス・リンク」。第7回は、「京都の技術力で創る メディカル・ヘルステックの未来」をテーマに、医療・ヘルステック企業7社の代表らが登壇した。独自開発のAI技術による培地コスト削減や、医療テキストに特化した言語処理技術など、学術研究が盛んな京都ならではのスタートアップが顔を揃えた。

<目次>
1. 大学発、エイジング化粧品の新成分
2. 独自開発のAI技術で培地コストをダウン
3. 乳がん患者の「術後」に寄り添う
4. 医療言語処理技術でカルテをもっと利用しやすくく
5. 皮膚常在菌を守り、肌トラブルを防ぐ
6. 治療効果の見える化で「がん個別化医療」を
7. 使用者負担のない睡眠・呼吸障害ソリューション

1. 大学発、エイジング化粧品の新成分

ナールスコーポレーション
登壇者:代表取締役 川崎 元士氏
所在地 京都市西京区京都大学桂 船井交流センター 102
創設年 2012年
URL https://www.nahls.jp/
 ナールスコーポレーションは、エイジングケアをサポートする新成分「ナールスゲン」の製造販売を目的として設立された大学発研究開発型ベンチャー企業。ナールスゲンは、ヒト皮膚の表皮細胞を活性化し、抗酸化物質としてよく知られるグルタチオンの産生を促進する機能を持ち、内因性グルタチオンは、紫外線などによる活性酸素種の発生を抑制して、細胞の傷害などを抑える働きがある。京都大学と大阪市立大学との共同研究の成果を基に世界で初めて開発された。
image: ナールスコーポレーション HP

2. 独自開発のAI技術で培地コストをダウン

ソラリスバイオ
登壇者:代表取締役 石川 格靖氏
所在地 京都府相楽郡精華町光台1-7 けいはんなプラザ・ラボ棟5階
創設年 2023年
URL https://solallisbio.com/
 ソラリスバイオは2023年に設立されたばかりの再生医療関連企業。AIによる独自技術で細胞製剤の培地コストを最大45%ダウンできるのがアピールポイントだ。「Stem Design」シリーズは、細胞製造の全工程を動物原料不含または異種生物原料不含にすることが可能となるように、細胞製剤の開発に必要な液剤を広く取り揃えており、特にヒト間葉系幹細胞(MSC)に特化した処方設計のラインナップとなっている。製品は国内で製造している。
image: ソラリスバイオ HP

3. 乳がん患者の「術後」に寄り添う

レナートサイエンス
登壇者:代表取締役 長谷川 雪憲氏
所在地 京都市左京区吉田上阿達町17番地 地域経済牽引拠点2階
創設年 2021年
URL https://renatoscience.com/index.html
 レナートサイエンスは、乳がん切除後乳房再建・豊胸手術における課題に苦しむ患者や医師に対して、革新的な方法での解決をもたらすというミッションを掲げて起業された。手術による体への負担を小さくし、整容的にも自由度が高い人工脂肪の開発に取り組んでいる。生体内で分解吸収され自家脂肪に置換される人工脂肪の実用化を目指しており、実現すれば人工脂肪を埋入(移植)するだけで乳房を再生することが可能となる。すでに、「自家組織犠牲なし」「自然な形態、触感」「高い安全性」といった既存の課題をクリアしている。
image: レナートサイエンス HP

4. 医療言語処理技術でカルテをもっと利用しやすく

エニシア
登壇者:代表取締役 小東 茂夫氏
所在地 京都市左京区吉田下阿達町46−29 京都大学 医薬系総合研究棟
創設年 2017年
URL https://enishia-inc.co.jp/
 エニシアは、医療に特化した自然言語処理技術でカルテをもっと利用しやすくすることを目指す。サービスの根幹となるのは、機械で分析することが困難な医療テキストを解析・整理する独自の言語処理技術「SATOMI(Summarization And Translation Of Medical Information)」。現場の医師を圧迫している書類作成やデータ整理などの事務作業を効率化し、診療や医学研究、人材育成などのメイン業務に集中できる環境づくりを目標に掲げている。
image: エニシア HP

5. 皮膚常在菌を守り、肌トラブルを防ぐ

ジヨイ・クル
登壇者:代表取締役 宮崎 孔志氏
所在地 京都府京田辺市水取門田16-1
創設年 2020年
URL https://joycle.jp/
 ジョイ・クルは、肌の健康維持に皮膚常在菌が大きな役割を担っていることに着目した肌トラブル緩和技術を提供する。現代は防腐剤や殺菌剤を使うことにより、肌の健康を守ってくれる皮膚常在菌にダメージを与える生活様式が根付いていることが問題で、特定のアレルギー症が増加することも研究結果として分かってきているという。代表取締役の宮崎氏は、京都府立大学大学院生命環境科学研究科の准教授で、現在は病原細菌の毒素制御方法について取り組んでいる。
image: ジヨイ・クル HP

6. 治療効果の見える化で「がん個別化医療」を

京ダイアグノスティクス
登壇者:代表取締役社長 小西 一豪氏
所在地 京都市左京区聖護院川原町53番地
京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター2階
創設年 2016年
URL https://www.kyo-diagnostics.jp/
 京ダイアグノティクスは、京都大学医学研究科の研究成果を基に設立され、次世代のがん診断関連製品・サービスを開発している。まだ社会実装されていない「がん個別化医療」の実現を目指しており、がんスフェロイド細胞を選択的かつ効率的に培養する技術を有する。京都大学の産官学連携制度「産学共同講座」を活用し、京都大、SCREENホールディングス、AFIテクノロジーとの共同研究にも取り組んでいる。
image: 京ダイアグノスティクス HP

7. 使用者負担のない睡眠・呼吸障害ソリューション

マリ
登壇者:研究開発本部長 奥村 成皓氏
所在地 京都市下京区中堂寺粟田町91 京都リサーチパーク9号館104号室
創設年 2017年
URL https://marisleep.co.jp/
 マリは、使用者に負担のない非接触睡眠・呼吸障害のソリューションの開発を手掛ける。同社の研究開発チームは、デジタル信号処理、音波解析・処理技術、ミリ波レーダ計測・解析技術など、睡眠・呼吸状態を非接触で検知するための技術に長けている。CEOの瀧宏文氏は大学教員時代に医用超音波分野においてデジタル信号処理技術を研究しており、米国音響学会での招待講演など多くの実績を有する。
image: マリ HP



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